撮影を終え、スパイスを振り直す。ようやく、ピントが「味」に合った。 コンロの上で、オリーブオイルが激しくパチパチと音を立てている。 片手にOM-1、レンズは 17mm F1.8(34mm相当)。 タケノコの繊維まで克明に切り取ろうとフライパンに肉薄するが、不意に弾けた「油跳ね」が、レンズの表面と、カメラを持つ右手を容赦なく襲う。 「……痛っ、これ以上は無理だ」 前玉を汚したくないという機材保護の本能に、皮膚が直接感じる熱と痛みが加わる。 17mmという画角は、情報の密度を上げるために被写体との物理的距離を詰めることを強いるが、調理中のフライパンは、もはや安全な観測を許さない「戦域」だ。 無理に…