『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』パオロ・コニェッティ他/関口英子、橋本勝雄、アンドレア・ラオス編(国書刊行会) 日本オリジナルの21世紀イタリア文学アンソロジー。 小野正嗣による序文が収録されていますが、内容にがっつり踏み込んでいるうえに、無理に日本との同時性にかこつけたり、作品の社会問題にばかり焦点を当てたりと、収録作がつまらなそうにしか感じられない序文の内容に、いきなり読む気を削がれます。 翻訳は下手ではないのですが、無味乾燥な訳文なのでどの作品も同じに見えてしまいました。現代イタリアの作家の誰も彼もがこんな薄っぺらい文体ではないはずです。 「雨の季節」パオロ・コニェッテ…