資本制社会における賃金労働者は、二重の意味で自由な労働者である。 「二重の意味で」とは、第一に、奴隷ではなく、(労働力の所有者として)自由に契約できる主体ということであり、第二に、生産手段をもたない(生産手段から自由な)主体ということである。 これは重要なポイントである。というのは、崩壊した旧・ソ連の評価において、「社会主義だった」という共産党的大マヌケはさておき、今なお「ソビエト型経済」といった曖昧模糊(あいまいもこ)な判断停止のままで旧・ソ連崩壊後の歳月を空費している者たちが存在するからである。 スターリン(あるいは毛 沢東)が君臨した時代のソ連邦(あるいは中国)の政治システムは、特権的党…