唯言。この言葉には人間ひとりひとりが持つ個人的な思いや感覚という意味が込められています。独自の体験や感性は個々人の間に差異を生みだし、私たちが生きる世界に奥行きを与えてくれます。しかし効率化が叫ばれる現代社会において、その人にしか分からない情報はしばしばノイズとして見捨てられてしまうものです。 そんな時代に私たちは、大切な人へ宛てた「遺言」のように情や人間味の宿った情報伝達の関係性を生み出すことを本展のテーマとして掲げました。単なる文字や数値のデータには表現しきれない、血の通った情報が作品たちには込められています。来場者のみなさまが作品と触れ合う中で、見知らぬ誰かの「生」に思いを馳せていただけ…