Fishmansのポリドール三部作は「純度の高いポップス」や「究極のドリーミーポップ」などと形容してもよいのかもしれない。だがそのような簡単な説明で片付けられるほど薄いものでも決してあるまい。音の配置、その純度の高さ。歌詞における世界の純度の高さ。トータルでのポップスとしてのクリアさ。澄みきり視界が開けている世界。完全なる覚醒のもとで目覚めた朝の思考であるかのように。水準なるものを生み出す世間という不思議な機関から逸脱した上で、ポップスとしての懐の広さと覚醒感をも持ち合わせているこれらの音楽は、人が人としての形のままで天に昇りながらも、その作り出す影は地上を軽やかに歩み進んでいるかのごとく響く…