北康利『白洲次郎 占領を背負った男』(2005年)について(その2)。 前回記事で、日本国憲法のGHQ草案では国会が一院制とされていた件について、この本は参考文献にも挙げている古関彰一『新憲法の誕生』(1995年)で既に指摘されていた真相(ケーディスは日本政府との取引材料として戦略的にこの条項を入れた)を無視している、という話を書いた。 しかし、改めて調べてみたところ、この件は先行研究の軽視どころの話ではなかった。まず、北はこの件についてこんなふうに書いている。[1] このとき、松本が勇気を振り絞って口を開いた。 「一つ申し上げておきたいが、二院制というのはただなんとなく二つあるというのではな…