図書館で薔薇十字団の基本図書と言われるアンドレーエ作、種村季弘訳、1993年刊行、2002年復旧版刊行された「化学の結婚」を借りてきた。 語感としての「化学」は、いまの時代であれば奇妙に聞こえる。無味乾燥な元素記号暗記科目、としてしか私のなかでは認識していないからだ。 だが、1586年生まれのアンドレーエにとっての「化学」とは、錬金術のことである。化学とは錬金術、この世のくびきから人を軽やかに解き放つ可能性のある、素晴らしい学問としての「錬金術」のことなのである。 錬金術、というものに昔から興味がある。ニアリーイコールで「魔法」となるが、それよりもより身近で実際に探求すべきもの、かつてあった学…