「主人の言説」は人々に規範的な命令を与える権力の言説であり、「大学の言説」は大学が担う知や科学の言説であると指摘した。「大学の言説」とは、科学的言説であり、事実を表明するものなので、それ自体は、主人の言説のような命令性をもたない。しかし昨今では、健康番組の内容の権威を保証するように、価値自由であるはずの知——「大学の言説」が、大衆の無知と不安をいいことに、「主人の言説」化している。「喫煙は癌になる確率」が高いという「大学の言説」は、「喫煙するな」という「主人の言説」として機能している。ジジェクは以上のように批判するのである。 「ヒステリーの言説」とは、権力に抵抗する言説であった。これに対し「精…