「ゴングが鳴って、世界タイトル戦が決まった感じだね。幻の右で国会に行きますよ」 平成7年(1995)2月3日夜、東京・中野にある自宅で、報道陣を前に衆院選出馬を表明したガッツ石松は、カメラマンの要望にこたえて、往年のファイティングポーズを決めながら、こう言って意欲を語った。 ガッツが当時、自民党幹事長の森喜朗氏から衆院選立候補の打診を受けたのは、前年のことだった。 この年の6月、当時、野に下っていた自民党では結党以来初めて、衆院選の候補者公募を決定。 方法は自薦と他薦の二通りで、ガッツは都議会議長ら9人により、東京9区(練馬区)の自民公認候補として衆院選に出馬することになったのである。 「初め…