イギリスのミステリ作家。1920年オックスフォード生まれ。→ P・D・ジェイムズ 1962年、「詩人警官」アダム・ダルグリッシュを主人公とする『女の顔を覆え』(Cover Her Face)でデビュー。『女には向かない職業』(An Unsuitable Job for a Women)の女性探偵コーデリア・グレイが有名。SFディストピア小説『人類の子供たち』が、2006年に『トゥモロー・ワールド』の題で映画化。2014年11月27日に94歳で死去。
6月になりました。🐌 5月は一番いい季節のはずなのに、調子が悪くて あまり記事が書けませんでした。⤵ スローペースが続くかもしれませんが、気長にお待ち いただけたらうれしいです💛 P.D.ジェイムズ作品、4冊目です。 今回もかなりボロボロのポケミス版が届きました。 (昭和56年発行) ↓ 食べたり飲んだりしながら本を読む人は多いと思いますが、 本自体が水濡れでぱっこぱこです。 特に借り物の本は気をつけないといけませんね。 さて、ジェイムズ氏の作品はとりあえずこれで最後にしようと 思っていましたが、期待を裏切らないいい出来の作品でした。 私が“いい出来”なんて偉そうに評価するのはおこがましい け…
今日は通院。明日も通院。明日から雨が続くみたいで 嫌だなあ~ 「皮膚の下の頭蓋骨」(P.D.ジェイムズ 著/小泉喜美子 訳)を 読みました。 Amazonの画像では、前作「女には向かない職業」と 同じ装幀の文庫が出てきましたが、 実際図書館には、昭和61年発行のハヤカワ・ポケミス版 (ハヤカワポケットミステリ)しかありませんでした。 ↓ 字が小さくて二段組で読むのに時間がかかるうえ、 家族には「黄ばんだ本!」と呆れられ・・・ 「違うよ! ポケミスはほんまに黄色いねん!」と 言い返し・・・ ハヤカワのポケミスは、本当に本の天地と小口が黄色く ビニールのカバーが付いていて、値段も文庫より高く、 私…
今日は雨☔の順番( ^ω^)・・・ 「女には向かない職業」(P.D.ジェイムズ 著/小泉喜美子 訳) を読みました。 この作品は、読者になっている“本猿”さんの ブログの記事を読んで、読みたくなりました。 図書館で借りた文庫は2012年発行で、装幀が違います。 最近買い直されたのかピカピカの新品みたいにきれいでした。 (図書館本では珍しいです) 「女には向かない職業」というタイトルは 原題“AN UNSUITABLE JOB FOR A WOMAN” のほぼ直訳ですが、現代ではジェンダー的に ひっかかる人がいるかもしれません。 ハヤカワミステリでの初版が1975年ですから、 そのへんは仕方ない…
「女の顔を覆え」(P.D.ジェイムズ 著/山室まりあ 訳)を 読みました。 図書館から届いたのは、予想通りボロボロの ハヤカワポケミス版でした。 ↓ ページをめくると破れるんじゃないかと冷や冷やしました。 P.D.ジェイムズ氏の作品は、「女には向かない職業」、 「皮膚の下の頭蓋骨」に続き3作目です。 前2作は、女性探偵コーデリアのシリーズでしたが、 今作は、ダルグリッシュ主任警部のシリーズで ジェイムズ氏の処女作になります。 オーソドックスな“フーダニット”(Who (has)done it)の ミステリー。 イギリスの旧家マクシー家で、若いメイドのサリーが 殺される。 マクシー家には、余命わ…
このTogetterが興味深かった。 アルツハイマーになった作家(アガサ・クリスティなど)の文章を調べた論文が面白い「兆候は40代から始まっている」 - Togetter 作家の文章が年齢によってどのような変化をもたらすのかを調べた結果、アガサ・クリスティーの文章は歳を重ねるごとに、若い頃の作品に比べ、繰り返しが増え、語彙は減り、繰り返しは増え、構文は単純になった。対してP・D・ジェイムズは晩年の作品もその文章は若い頃となんら異なることはなかった。 クリスティーの文章の変化はアルツハイマーによる脳の衰えがもたらしたのではないかとしている。クリスティーは晩年に至るまで年に一作品発表していたが、7…
フランスの赤ワイン「レ・コティーユ・ピノ・ノワール(LES COTILLES PINOT NOIR)2021」 ブルゴーニュで家族経営を貫く生産者ドメーヌ・ルー・ペール・エ・フィスの赤ワイン。 ブルゴーニュとその他地域のピノ・ノワールをブレンドした1本だが、ライトボディなので飲みやすく、エレガントな味わい。 ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたアメリカ映画「ブレイブ ワン」。 2007年の作品。 原題「THE BRAVE ONE」 監督ニール・ジョーダン、出演ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュース、メアリー・スティーンバージェンほか。 恋人を暴漢に殺され…
www.shochiku-tokyu.co.jp『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)で飛躍し、後には『ゼロ・グラビティ』(2013)、『ROMA/ローマ』(2018)などを監督するアルフォンソ・キュアロンによる作品。 暴力と無秩序が蔓延る2027年の近未来を舞台に、国家官僚のセオが反政府組織の元妻ジュリアンに強制的に協力させられることとなり、窮地に立たされる姿が描かれます。 小説を原作としたSFサスペンスをキュアロン監督が斬新に映像化しているのが見どころ。中でも戦争シーンの緊迫感をワンショット(風)に演出したシーンは見応え抜群となっています。 第79回アカデミー賞(2007)では…
奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) (ポプラ文庫クラシック) 小学生のころ、読書の先達は親友だった。 親友が「これ、面白いよ」と紹介してくれた本に次々にハマる。 そのころの学校図書館には、個人の貸し出しカードとそれぞれの図書のカードがあり、個人カードの進み具合と図書のカードの自分の名前の位置を気にしたものだった。 私の前に借りたのは誰か・・・とか。 少年探偵団シリーズ、ホームズシリーズ、ルパンシリーズと次々にハマる。 大人用の本ではなく、少年少女用のシリーズだった。 その時の表紙絵がこれと同じかどうかまでは覚えていないが、amazonで見たときは驚いた。 そうそう、こんな雰囲気の表紙だ。 高…
読書が計画通りに行きません。無念です。でももう、しょうがないかなと諦めてもいます。日本語日本文学専攻のわりに読むのが遅く、せいぜい週に二冊というところなので、あまり欲張って計画倒れが重なるのも切ないです。今年は一層、快適さ重視で読書を楽しみたいです。 2023 年はよい本を読めました。「なんだかなー」と思うような本は一冊しかありませんでした。運が良かったです。今後も運頼りにどんどん読みたい。 以下、印象に残った本の読書メモです。 🚋 金井真紀『日本に住んでる世界のひと』、岡真理『ガザに地下鉄が走る日』🚋 2024 年最初に見た映画は『イミテーション・ゲーム』(2014 モルテン・ティルドゥム)…
『ウィンダム図書館の奇妙な事件』ジル・ペイトン・ウォルシュ 猪俣美江子/訳 東京創元社[創元推理文庫] 2023.12.06読了 保健室の先生って、優しかったよなぁ。小学校でも中学校でもその記憶はある。私は保健室に入り浸る生徒ではなかったけれど、包容感のあるあの部屋と先生の雰囲気はどこでも同じなのだろうか。若くて綺麗な先生であれば男子生徒は甘えるだろうし、ある程度歳をとった方であっても、その独特の優しさには安心感を覚える。 この小説の主人公は、セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師イモージェン・クワイである。小中学校の保険の先生とは少し異なる立ち位置だが、やることは同じで、主な仕事は学生たち…
英国の本格ミステリー作家には、女流が多い。女王クリスティをはじめセイヤーズやアリンガムから近年のP・D・ジェイムズなど枚挙にいとまがない。そんな中で、最近まで日本に紹介されていなかった大家がいる。それが本書の作者E・C・R・ロラック。匿名作家であり、死後キャロル・カーナックと同一人物であることが明かされている。 作者は70作近いミステリーを発表していて、一番多いのがマクドナルド首席警部を探偵役にしたもので46編ある。1931年の「The Murder on the Burrows」でデビューした作者のレギュラー探偵である。本書(1938年発表)では、彼が自らの車に乗せられた死体を発見することか…
●『叫びの穴』 A・J・リース 論創社 読了。 なんとも地味で重厚な描写が続き、読み進めるのにちょいと覚悟が要る作品である。その読み味はクロフツの地味さではなく、P・D・ジェイムズの重厚さである。ノーフォークの北海沿岸に位置して、強風が吹き荒れ周囲の湿地に浸食されつつある僻村の描写は、寒々として湿気が迫ってくるようだ。 真相に至る筋道が、多く(伏字)に依存しているのがちょっと好みから外れるけれども、書かれた時代を考えればどうということはない。ちゃんと書こうとしてもどうせ伏字ばかりになってしまうからキーワードだけ書くけれども、とある伏線に関心した。意外性の演出にも感心した。陰鬱な描写は上にも書い…
2週間ぐらい前のこと、NHK-Gの今般のガザーイスラエル戦闘の専門家討論で、軍事的攻撃でこどもが傷つく、死ぬ、その情報に触れた他の人間は、なんとかこれを食い止めねばならない、だけど現状どうしようもなくて、そこで大きな無力感に囚われる、という主旨の発言があったと思う。自分よりも若い世代への顧慮、その生命と身体の安全への顧慮は、人間性の発露にして、もはや文明人としての嗜みのひとつであろう。それが、たとえ敵方のこどもたちに対しても。 P・D・ジェイムズ『人類の子供たち』では、こどもが一切生まれなくなった近未来社会で、ある日、世界でいちばん若い人間が死ぬ。これは、世界的な大ニュースとなり、悲嘆にくれた…
とりあえず、生きてます。 備忘録として、読んだ本やこれから読む本をリストアップ。ジェイソン流 お金の増やし方 [ 厚切りジェイソン ] 厚切り氏を続けて。日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy【電子書籍】[ 厚切りジェイソン ] 山本ゆりセンセの電子レンジレシピ本。syunkonカフェごはんレンジでもっと!絶品レシピ (e-MOOK) [ 山本 ゆり ]お豆腐と豚肉とキャベツのレシピ、 リピートしました。 海外ミステリ・ハンドブック (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ 早川書房 ]好きなタイプのミステリが多くて、 参考になりました。P.D. ジェイムズが短編を書いていないとか、 作品数が思ったよ…
『灯台』P・D・ジェイムズ 青木久惠/訳 早川書房[ハヤカワ・ポケット・ミステリ] 2023.7.30読了 今年に入って初めて、久しぶりのジェイムズ作品。この作品は、2005年に彼女がなんと85歳の時に刊行された小説だ。筆の衰えを全く感じさせない、濃密なミステリーで存分に満足できた。 イギリス・コーンウォール沖のカム島という架空の孤島が舞台である。ここには住人もわずか、招かれる人もVIPな限られた人たちだけ。周囲を海に囲まれたこの島である人物が不穏な死を遂げる。タイトルにもなっている灯台で何が起きたのか、誰がこの事件に関わってくるのかー。 ダルグリッシュ警視や、相棒であるケイト・ミスキン警部、…
2023 年を半分すごしましたので、読書記録を公開します。半年分あって漠然としているので、簡単に。 印象に残っていること エルキュール・ポワロのシリーズを最初から最後まで、順番通りに読んでみるというのを合間合間にやっていて、今年ついに『カーテン』までたどりつきました。シリーズ前半では、アイデアの豊富さに驚き、中盤ではテーマが定まっていくところにわくわくし、後半では繰り返し登場するモチーフに胸が痛むという読書体験でした。ポワロ最後の事件となる『カーテン』は時系列に矛盾があり、それでも書き直さなかったところに、痛ましさを感じました。その流れで今度はジェーン・マープルのシリーズを読み直しています。改…
本書は、以前「女には向かない職業」を紹介したP・D・ジェイムズのデビュー作。1962年発表の本書で、英国では高名な探偵であるアダム・ダルグリッシュ主任警部(後に警視)が登場する。作者の筆は田舎町の情景や事件の背景にある人間描写に定評があり、重厚な作風と言われる。その反面冗長との評価もあり、僕はどちらかと言うと後者を支持する。だから「女には・・・」の紹介文に書いたように、本格ミステリーなのに苦手な作家なのだ。 特に後年の作品は長い。とても600ページを読み通す根気はないのだが、本書の頃はまだ350ページほど。これなら読めるかもと思って買って来た。田舎町マーティンゲールの屋敷を構えるマクシー家では…
「職人的作家」と聞いて誰を想像するだろうか。ミステリ界で言えば400冊近い作品を残した笹沢左保は間違いなく「職人」であっただろうし、デビューから50年以上の間ハイペースで休むことなく書き続けた西村京太郎も「職人」の鑑のような作家である。海外だと寡作ながら玄人好みの作品を生み出したP. D. ジェイムズや常に一定以上の質の作品を出し続けたエド・マクベインあたりが「職人」のイメージに近いか。 個人的にそんな「職人」感が最も強いと思っている作家の一人がヒラリー・ウォーである。戦後間もない1947年にデビューして以来50作ほどのミステリを遺した警察小説の巨匠であるが、何よりも「職人」らしさを感じさせる…
(本書のほか、『旅人の首』の内容に言及しています。) 出版社というのは、作家にとっては身近な存在であるはずなので、舞台にしやすいのだろうか(いや、むしろ、しにくいのか。本を出してもらっているわけだから)。ニコラス・ブレイクの1957年の長編『章の終わり』[i]は、ロンドンの老舗出版社の一室で作家が殺害されるというミステリである。 この手の作品では、カーター・ディクスンとジョン・ロードの合作『エレヴェーター殺人事件』(1939年)、もっと新しいところでP・D・ジェイムズの『原罪』(1994年)あたりが思い浮かぶ。ブレイクの本書は、あんなに厚くないが、ジェイムズの小説の雰囲気に近いだろうか。登場人…