2024年5月某日 木版画家の川瀬巴水展を見に八王子夢美術館に行く。横浜から八王子まで、横浜線の各駅停車の電車に乗る。新横浜、菊名、町田と知っている駅に挟まれた、初めて通る駅を通り過ぎていきながら、朝吹真理子さんの「Timeless」を読む。八王子に着く頃、2章に分けられた「Timeless 1」を読み終えた。 語り手のうみは恋愛感情をお互い持たない相手と結婚する。結婚相手のアミは好きな人と子どもを作ることが怖い、という。アミがそう思う理由は、アミ以前の出来事だが今に重なる過去にある。うみの語りには、東京の過去が織り混ざる。歩いている道は、かつて江姫の弔いが行われ、香木が焚かれていた道でもある…