南野は、森保監督がPKのキッカーを立候補制で決めることをその時まで知らなかった。しかし、延長戦で決着がつかず、全員で集まったものの、自ら手を挙げる選手は現れない。5秒ほどがたった。 「じゃあ、俺が行く」 試合後、スタジアムからチーム宿舎へ移動するバスに乗る直前、森保監督から声をかけられた。「PK、1番に蹴ってくれてありがとう」。感謝の言葉はさらに続いた。「大会では大変な役回りになったけど、嫌な顔一つせず、チームを支えてくれてありがとう」。監督の言葉に答えようとする顔はぐしゃぐしゃだった。「PK外して、すみませんでした」 欧州のビッグクラブ、リバプール(イングランド)などを経て迎えた初出場のW杯…