ヌメ革の表面にパラフィン加工をした革を見つけました。 擦ると白かった表皮から少し、革本来の色が覗かせました。 ハリがあり、耐久性もある。 じっくりと育つ革だと感じ、靴にしてみたくなりました。 出来上がりは真っ白で。 次第に飴色に変化する靴。 物語は私の頭の中で、むくむくと出来上がっていました。 しかし。 その想像は、ラスティングの最中に脆く崩れました。 その白く雪のような表皮が、作業中の膝の上で取れてしまうのです。 釘を使い、 木型にそれをそわせるために強く引っ張ると、その度に白は剥がれます。 膝の上でのベンチワークに耐えられずこぼれ、 本来の革が現れる姿は、想像していたそれとは違うものでした…