米国ワシントン・ポスト紙に2007年6月14日記載された旧日本軍の「従軍慰安婦」に関する有料意見広告。
米国下院マイク・ホンダ議員の提出した「慰安婦をめぐる対日謝罪要求決議案」の採択阻止を目的として記載されたと推測されており、2007年4月に同紙に掲載された広告「慰安婦に関する真実」に対抗するものとなっている。
提出者は、44人の与野党国会議員(自民党・民主党・その他)や何人かの有名人がそれに名を連ねた(下記参照)。
慰安婦に関する5つの事実を主張するもの。要旨は
FACT1:陸軍省の「軍慰安所従業婦募集に関する件」等の文書に言及し、これらを当局の取締りを示す証拠として解釈した上で、「売春を強制された」と明示した歴史文書はないとしている。
FACT2:業者の取締りをしていたことを示す当時の朝鮮の新聞記事の紹介。
FACT3:強制連行があったと明確になっているスマラン事件を取り上げ、これは軍による軍規違反者の取り締まり事例だとしている。
FACT4:下院の決議案は、元慰安婦の証言が基礎になっているとし、元慰安婦は最初は強制されたと言わなかったが、反日キャンペーンの後変化し、強制されたと言うようになったとしている。
FACT5:慰安婦は性奴隷ではなく、世界中で一般的な公娼(licensed prostitution)制度の下に働いていた。高収入であり処遇は良好であった者もいるとしている。
「慰安婦強制性否定のワシントン・ポスト全面広告(英文と翻訳)」美しい壺日記
http://dj19.blog86.fc2.com/blog-entry-83.html
本広告の発表前までに下院決議案は、提案初期段階の6名から135名までに増加し、「慰安婦をめぐる対日謝罪要求決議案」は2007年6月26日米下院外交委員会は大差で可決した。
6月27日のNHK9時のニュースは、「アメリカでは慰安婦にさせられて苦しい思いをした女性が存在する以上、日本政府に広い意味での責任があるのだ」が一般的。「日本の有志議員の反論は事実の細部に拘りすぎで、親日派でも人権問題という大局に光を当てていないと批判的な意見が一般的で、このまま議論しても何も得るものはないとの厳しさ」だと報じた。
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、TBS、テレビ朝日などはこの広告が米国下院を刺激し、決議案採択を促進した模様だと報じている。
「『慰安婦をめぐる対日謝罪要求決議案』提案者推移」Gazing at the Celestial Blue
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-174.html
中川義雄(参院北海道),土井亨(宮城1),亀岡偉民(福島1),渡部篤(比例福島4),岡部英明(比例茨城5),薗浦健太郎(千葉5),平将明(東京4),松本文明(東京7),島村宜伸(東京16),松本洋平(東京19),小川友一(東京21),愛知和男(東京比例),林潤(神奈川4),坂井学(神奈川5),赤池誠章(比例山梨1),鈴木馨祐(南関東比例),土井真樹(比例愛知11),杉田元司(比例愛知14),武藤容治(岐阜3),稲田朋美(福井1),山本朋広(比例京都2),大塚高司(京都8),鍵田忠兵衛(比例奈良1),木挽司(兵庫6),戸井田徹(兵庫11),西本勝子(四国比例),木原稔(比例熊本1),江藤拓(宮崎2),古川禎久(宮崎3)
松木謙公(比例:北海道12),吉田泉(比例:福島5),石関貴史(比例群馬2),神風英男(比例埼玉4),松原仁(比例東京3),笠浩史(比例神奈川9),鷲尾英一郎(比例新潟2),河村たかし(愛知1),牧義夫(愛知4),田村謙治(比例静岡4),泉健太(京都3),北神圭朗(比例京都4),松下新平(参院宮崎)
西村眞吾(比例大阪17) ,平沼赳夫(岡山3)
福田逸、遠藤浩一、宮崎正弘、東中野修道、荒木和博、島田洋一、西岡力、藤岡信勝、加瀬英明、西尾幹ニ、富岡幸一郎、岡崎久彦、青山繁晴、茂木弘道
この広告については「はてな従軍慰安婦グループ」で大変詳しいデータが蓄積されている。
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/bbs/25
朝日新聞
ラントス氏は、14日付の米紙ワシントン・ポストに掲載された日本の国会議員らによる全面広告にも言及。「強制性を示す文書はない」とした内容を「慰安婦の生存者をけがすものだ」と批判し、下院が立ち上がるべきだ、と呼びかけた。
http://www.asahi.com/international/update/0627/TKY200706270090.html
今回、決議案が採択の方向となったことについて、戦術的な失敗が指摘されている。今月、ワシントン・ポスト紙に決議案に反論する意見広告が掲載された。それが、沈静化していた問題に再び火をつけたという批判だ。
http://www.asahi.com/paper/editorial20070628.html
毎日新聞
ラントス委員長は採決に先立ち、日本の国会議員や有識者が14日付米紙ワシントン・ポストに出した広告で元慰安婦に対する強制性を否定した点を取り上げ、「元慰安婦を中傷する内容であり、事実に対抗するばかげた主張だ」と反発をあらわにした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070627-00000016-mai-int
読売新聞
採決にあたり、ラントス委員長は、日本の超党派国会議員44人が、14日付米紙ワシントン・ポストに掲載された決議案に反対する全面広告に名を連ねたことについて、「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と批判した。
決議案に反対したのは次期大統領選に共和党から出馬表明しているトム・タンクレド、ロン・ポール両議員。タンクレド議員は、「日本政府は旧日本軍のために何度、謝ればいいのか」などと主張した。
決議案の代表提出者、マイケル・ホンダ議員は記者団に対し、ペロシ議長らと協議して7月第2〜3週の本会議採択をめざすとし、「本日の投票結果に基づけば、(本会議で)可決される公算は大きい」と語った。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070627it02.htm
*1:村野瀬玲奈の秘書課広報室 | 2007年6月14日 ワシントンポスト紙 従軍慰安婦(性奴隷)強制文書否定広告署名国会議員(衆議院、参議院、五十音順) (2007年6月15日作成) 和文表記 http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html より