「検証 [ナチス]は「良いこと」もしたのか?」 小野田拓也・田野大輔共著 岩波書店 2,023年刊 書評[ 朝日の天声人語での言及についてのコメントに加え、もう少し本書についての感想を詳しく書きたい。 フェイクニュースやヘイトスピーチなど現代の風潮を考えるとタイムリーな本であり、それなりに売れていることは結構なことと思う。しかし、タイトルは、著者たちが批判する「売らんかなで出版される一般書のセンセーショナリズム」(p.112)そのもののような気もしないでもない。 さて、内容であるが、著者たちはナチスの政策をオリジナリティ、政策目的、結果という切り口で検証していく。そして、オリジナリティーについ…