常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Persimmon柿生講座#2「Nemesis」

TIME(06/27/10付け)のThe Euro Heroから第2弾です。

現在,世界各国の注目を浴びているDominique Strauss-Kahn氏(以下DSK)ですが,実は2007年に社民党代表の座を奪われているという経歴を持っています。不運にも,その同時期にライバルのニコラス・サルコジ氏はフランス大統領に当選しています。2007年はフランス政治界にとって激動の年であったようです。TIMEでは,その当時の様子を一部分ではありますが書かれています。以下の英文を見てください。

French pundits widely assumed the President was sending his nemesis into political exile, at an organization whose credibility had long since waned.

今回は,nemesisという単語を取り上げます。『オーレックス英和辞典』(旺文社)によると「天罰(を課す人),因果応報(による凋落),(勝ち目のない)強敵」とあり,さらにもう一つの意味としてギリシャ神話の「ネメシス(因果応報・復讐の女神)」が隠されています。ネメシスとは,ギリシャ神話における復讐の女神であり,神罰が擬人化したとされた神です。ヘシオドスに依ればニュクス(夜)の娘で,エリニュエスと同神性と思われているという話しもあります(Hatena::Keyword)。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%CD%A5%E1%A5%B7%A5%B9

ちなみに,ネメシスという恒星もあります。オールトの雲以遠の,太陽から50000から100000天文単位の軌道を回っているとされる仮説上の赤色矮星,または褐色矮星で,地球史上の周期的な生物の大量絶滅を説明するために仮定されている恒星です(BIGLOBE百科事典)。

http://jiten.biglobe.ne.jp/j/c8/63/63/427837e9082ed2aba38bb3f49a200536.htm

最近英語を読んでいると,ギリシャ神話関連の単語に多く触れる機会があります。英語は様々な分野とつながっているのですね。(ゼミ生persimmon柿生)