砲弾ライトを改造する

クラシカルなデザインのMiniVelo9に装備するライトは砲弾タイプしかないと思っていた。けれど、実物を見るとかなり大きい。レンズ直径で10cm、長さ15cm近く。26インチ程度の大径車ならばバランスしようが、こちらは20インチミニヴェロ車である。ちょっとそのサイズは大き過ぎやしないか。
小振りなライトを求めて随分探したが、なかなか良さそうなものがない。一時はもう諦めてコンパクトなLEDライトで妥協しようかとすら思ったのだが、執念深くオークションを見ていたら、丁度直径6cmとやや小振りなライトが出品されている。それも仏ソービッツ製。金属ボディではなくプラスティックに鍍金の安物ではあるが、その分安価だし、欧州風レトロデザインには最適だ。
まあ、正直なところこれでもまだ大きい印象は拭えない(握り拳大)のだが、これぐらいなら妥協の範囲だろう。


問題は、これがダイナモ用だということだ。MiniVelo9にはハブダイナモが着いていないし、当面はホイールを替える気もない(そんなに予算がないので)。かといってブロックダイナモは走行が重くなるので嫌だ。となれば、残された選択肢はバッテリー接続しかないではないか。
ひとまず、電球の尻を押さえる接点のステンレス板を折り取って、下部のダイナモからのリード線を繋ぐ端子を外す。この状態で、単三電池が収まるかどうか確認してみる。しかしレンズ後端の球面反射板が邪魔して1本たりとも収納できないことが判明。
単四ならば4本でも収まることを確認したので、まずは秋葉原で単四×1本用の電池ボックス4つとリード線を購入してくる。これで、内部に4本をバラバラに収めようという計画だ。
元の仕様は6V用なので電池は直列が適正なのだが、電球については既にLED電球との差し替えを予定しており発注済みである。これの定格が3Vあたり、LEDは無闇に高い電圧を通すと壊れるので直列2×2本並列の構成を考えた。
が、この電池ボックスが入らない。電池単体ならば入るのだが、ボックスは電池出し入れの余裕を持って5mm以上のマージンが設けられている。これが当たるらしい。
止むを得ず、他の手段を考える。100円ショップへ行き、単四電池で動く製品を物色。懐中電灯あたりにないかと思ったが、ほとんどの製品は単三、単四を使うものはコンパクトさ重視の1本仕様で流用できない。結局、何故か単四×4本仕様の携帯電話充電器を発見したので買って帰る。


この充電器は円筒形のケースが上下分割される構造で、縦に4本の電池を束ねて収納する。これを二つに割り、砲弾ライトのケーシングに収める。下部の凹みの関係で4本収容は不可能と判断、上部に2本分を接着して良しとした。


電池の収容位置は決定したので、次は電池の接点を作らねばならない。半分に切ったケースの残りから接点部分を切り出してみたが、これでまともに接触するよう固定するのは困難と判断、ライトのレンズと一体化した球面ミラー部の裏側に端子を貼り付ける形を構想する。不要になった接点のステンレス板を半分に切って接着してみたが、これは巧く行かなかった。後程点灯テストの際に判明するのだが、閉め切らず軽く接触させているときは点灯するものの、完全に密閉すると接触しなくなってしまうのだ。試行錯誤したものの接触具合をコントロールできず断念。
結局、接点は不要になった電池ボックスから切り出した負極用スプリングコイルを貼り付けることで対応。しかしこの方法でも点灯は不安定だった。どうやら圧縮された発条の曲がり具合で端子同士が接触してしまい正常に電流が流れないらしい。この問題はスプリングを偏らせて引き伸ばし、曲がり方向をコントロールすること、及び電池側に仕切り板を入れることで解決した。


さて、閉めている間中点灯しっ放しというわけには行かないので、スイッチを作る。以前買ってあった小さな切り替えスイッチを流用、これを電池から1本、電球から1本引いて接続する。使い勝手を考えればスイッチは上端に欲しいが、ケーシングの鍍金を温存したまま穴を開ける技術はないし、防水加工されていないスイッチを付けるには場所が悪い。結局、元々端子のあった穴に接着することにした。


これでライトへの電池内蔵化が完了。点灯させてみると少々暗いが、これは6V用の電球を3Vで光らせているからだろう。LEDが来れば解決する筈だ。

費用

本体
3000円
部品
100円(電池収容部)+120円(端子流用分)+70円(リード線)
電球
1200円(予定)

決して安くはないが、その分気に入ったものができると思えば。