おたまじゃくし

小学3年生のときだったか、近所のガキ大将に呼び出されて、渋々遊びにつきあったことがあった。
本当は夕方から始まる「ゲッターロボG」を見たかったのだが、怖いので行った。


で、近所の田んぼでおたまじゃくしをとってきてバケツに入れ、別の広場まで持っていった。
このあたりの記憶があいまいなのだが、ガキ大将は平たい石にそのおたまじゃくしを一匹乗せて、
手に持った石でガンッと潰した。


ねえ、可哀想だからやめてよ、と言いたかったけれど、私は弱かったので、ただ横に立って見て
いるだけだった。
ガキ大将は何匹かおたまじゃくしを潰して、私に石を持たせた。
お前もやれ、ということだ。


嫌だ! 絶対に嫌だ! と叫びたかったが、私は「うん‥‥」と言っておたまじゃくしを潰した。
ここで記憶は途切れるのだが、たぶん一匹だけ潰して許してもらえたのだと思う。
暗くなったのでその遊びは終わり、私は家に帰った。


よく、昔の子供は虫やカエルを殺して、生命の大切さを学んだ、という人がいるが、全ての子供が
虫を殺すことに快感を覚えていたわけではないと思う。
私は蚊やゴキブリを数え切れないほど殺してきたが、気持ちよかったことはない。


ただ、あのときおたまじゃくしを殺したおかげで、逆説的に生き物を面白半分に殺すと後味が悪い、
ということを学んだような気がする。


年末に妹を殺した浪人生は、小さい頃にそういう残酷な遊びをしたことがあるのだろうか? 


本文と写真はまったく関係ありません

伊予鉄 三津浜駅)