コーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第17斬
ほぼ月イチコラム ディベートコーチ・オクヤマの「直言居士で失礼します」 第17斬
「プランの妥当性について考える」
皆様、こんにちは。
先週から、世間を騒がせているホットなニュースから。
首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告を受け、
政府は「集団的自衛権」が行使できるよう検討を開始することを表明しました。
毎日新聞が5月17日〜18日に実施した全国世論調査によると、
集団的自衛権行使の賛否に関して、
「反対」と答えた人が54%で「賛成」の39%を上回ったようです。
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朝日新聞、毎日新聞、東京新聞が反対で、産経新聞、読売新聞、日経新聞が賛成という分かれ。
まさに国論を二分する議論となっていますが、
集団的行使を容認するとなれば、日本の安全保障政策、ひいては「平和国家」日本のあり方が、
大きく変わるという点において、国民すべてに関わる重要なテーマと言えます。
安倍首相は会見で下記2つの事例を挙げて、集団的自衛権行使の必要性を訴えています。
具体例1)邦人輸送のための米艦防護
具体例2)PKOにおける駆けつけ警護
ディベート的視点でこれらの事例を見てみましょう。
まず、具体例1は、邦人救助・輸送を米艦が行うという状況を想定したものですが、
邦人への攻撃と見なせば、「個別自衛権」で十分対応できる事例と言えます。
また、具体例2は、外国におけるPKO活動に従事する邦人救助を想定しています。
こちらも、国連の「集団安全保障」下における「警察権」の問題と言えます。
つまり、「集団的自衛権の行使を認める」という政府のプランは、
必ずしも必要ないということです。
とりわけ、新しく導入されるプラン(ここでは、集団的自衛権の行使を認める)
にデメリット(弊害)が生じるのであれば、
プランの妥当性に関する検証は十分に行う必要があります。
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ビジネスの現場でも同様のアプローチが大切です。
筆者の話で大変恐縮ですが、
仕事が遅くなった時に夕食を済ませる際、
会社近くの「すき家」をよく利用しています。
メニューが豊富で、頻繁に利用しても飽きないからです。
ところが、最近「すき家」の店舗が相次いで、
営業時間の短縮や休業に追い込まれています。
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全国に約2,000店舗ある中、閉店しているのは5月14日時点で184店舗。
全体の10%という、通常では考えられない数の大量の店舗が、
同時に店を閉めています。
このような異常事態はなぜ起きたのか。
一番の理由は、プランの妥当性を事前に検証できなかったからではないか、
と考えます。
「すき家」では、2014年3月以降、アルバイトが辞めるケースが多発し、
それが原因で人手不足に陥り、営業時間の短縮や休業を余儀なくされたという実情があります。
大量のアルバイトが辞める直接の引き金を引いたのが、
「すき家」が今年2月から提供を始めた新メニュー「牛すき鍋定食」です。
「すき家」で勤務するアルバイトの証言によると、
鍋メニューは、牛肉を小鍋で煮て、野菜や豆腐などの具材と混ぜ、
袋に詰めて冷蔵庫に保管するという手間がかかる為、
「牛すき鍋定食」は仕込みに通常の4倍の時間がかかるそうです。
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『食事が出てくるのが遅い』
『会計はまだか』
牛丼店らしい迅速なサービスを期待する来店客からは、厳しく叱咤されるケースが多発。
我慢が限界を超え、職場を去るアルバイトが相次いだようです。
さらに、「すき家」では、売り上げが一定の水準に達していない店舗について、
1人で勤務する「ワン・オペレーション」という仕組みを導入しており、
会計から掃除、接客、洗い物、仕込みまで、
すべて1人でこなさなければならないという過酷な労働環境。
アルバイトが辞めていくという事情、そして、
新規アルバイトがなかなか集まらないという状況もうなづけます。
まとめると、「すき家」の大量閉店の背景には、
新メニュー導入というプランの検証、
とりわけ、『現場が回るか?』という実行可能性の検証が不足していたことが指摘できます。
加えて、『アルバイトが辞めることはないか?』というデメリット(弊害)の検証、
さらには、『新しくアルバイトが雇用できるか?』という代替策の検証ができていれば、
このような異常事態に陥ることはなかったかもしれません。
以下のような指摘を受ける方に、ディベート・トレーニングはオススメです!
『アイディアはいいんだけど現実的じゃないなぁ』
『何の為のプランか、いまいち見えないよ』
『他の方法じゃダメなの?』
多角的な視点からプランの妥当性を検証する技術が身につきます。
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