線文字A(Linear A)(4)
線文字Aは、今のギリシアにあたるエーゲ海の島々で、紀元前18世紀から紀元前15世紀にかけて使われた文字であるが、この文字が表す言語は今のところ分かっていない、ということだ。この言語はギリシア語ではないという説が有力で、そうするとエーゲ海の島々にこの頃住んでいた民族は謎の民族ということになる。
この謎の民族に私が魅かれる理由の1つは、彼らの残した壁画が魅力的だということである。たとえば、サントリニ島(=テラ島)のこの時代の遺跡であるアクロティリは、いわば先史時代のポンペイといったもので、ポンペイと同じように火山の噴火によって埋まってしまった都市の遺跡である。ただし、その年代はポンペイより1600年以上前である。このアクロティリ遺跡では多くの壁画が発見されているが、それらの写真がWikiコモンズにある。
たとえば、「サフラン摘み」と呼ばれるこのような絵
この絵は、これだけ魚が獲れたということだろうか、それとも豊漁を願うために描かれたのだろうか?
有名な「ボクシングをする少年たち」
この壁画は今はアテネの国立考古学博物館にある。
実は20年以上前の新婚旅行の時ここにいって、この絵を見た覚えがある。
線文字Aを使っていた民族は謎の民族だが、このような絵を残していることを知ると、親しみを感じる。彼らを征服した先史時代のギリシア人たちは、あまりこのような絵を残さなかったようだ。