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Chikirinの日記 RSSフィード

2012-12-29 来年の抱負) やらないことを3つ決めよう!

いよいよ年末ですねー。

お正月休みの間に来年の目標を考えよう!という方も多いでしょう。そういう方に、ちきりんからの提案です。

来年の目標は、「今年は○○をやる!」ではなく、「今年は○○をやらない!」という形で決めてみてはいかがでしょう?


ビジネスの戦略本には「戦略とは、やらないことを決めること」という趣旨の記述がよくあります。

やらないことを明確にしておかないと、結局は「アレも大事、これも大事、おっと、こっちも忘れちゃならない」みたいになり、結局すべてやることになります。その結果、何もかも中途半端になってしまうのです。

やらないことを決めるのは、ビジネスだけでなく、ほぼすべての組織、そして個人にとって有用な目標の立て方です。


だってね。

私たち人間にとって、最も平等に与えられているのは時間です。

お金や能力、容姿の良し悪しはもちろん、環境も、更に言えば健康状態でさえ、かならずしも平等ではありません。でも、時間だけはみんな一日 24時間しか持っていません。

特に(年をとってからの健康な時間(&人生の長さ)はお金で買える一面もありますが)、若い頃の時間は誰にとっても同じだけしかありません。

元気で健康な 20代、そして 30代は、みんな 10年しか持ってないのです。

そうであれば、自分の時間を何に使うかが、人生において最も重要な判断事項です。

そして時間を有効に使うためには、やらないことを決めるのが一番いい方法なのです。


★★★


ビジネスであれば、「アジア市場には出るけど、欧米には進出しない」と決めたり、「インフラビジネスはやるけど、個別商品は売らない」と決めることができるでしょう。

NPOが「うちは片親家庭を支援する」と決めたなら、それは、貧困状態であっても、両親が揃っている家庭は支援対象とはしないということです。

個人でも、「仕事も子育てもするけど、家事はやらない。人に任せる」などと決めないと、全部やっていたら、そのうち回らなくなります。

やらないことを決めずに長く無理をしていると、体を壊したり心を壊したり、最後には人間関係を壊してしまうこともあります。


特にまじめな人ほど“やるべきこと”から手を付けようとするので、時間の制約がある中で全部やろうとすると結局“やりたいこと”は何一つできず、“やるべきこと”だけで、人生が埋められてしまいます。


来年は、「これはやらない!」 ということを決めましょう。

そして家族や友人や部下に、「あたしは、もう今年はコレをやらない!」って、宣言しちゃうのです。

勇気をもって先制通告!


あたしはもう○○をしない! と。


ちなみに、私の「しないこと」目標は下記。

1.身勝手なメールには返事をしない

2.月に2つ(最大)しか、新しい依頼は受けない

3.新しい本の企画は(来年中は)一切受けない


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そんじゃーね−!


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2012-12-26 人も組織も年をとる

今年も終わろうとしています。昔は、日本人はみな1月1日を迎える度にひとつ歳をとっていました。いわゆる“数え年”というやつです。

数え年システムでは、生まれた時が1歳で、その後は1月1日にひとつずつ増えます。日本全員、一年に一回、正月と一緒に誕生日を祝えばいいので、超合理的ですね。

さて今日は、組織も一年にひとつ、歳をとるのよん、というお話です。


今、従業員の平均年齢が30才の組織があるとしましょう。その組織の、10年後の社員の平均年齢は40才です。


「いやいや、そんなことにはならないよ」って?


そうですね。ならない場合も多々あります。どういう場合かというと、若い人が入ってくる場合です。

たとえば、30才の人が10人いる会社は、一年後に平均年齢が31才になります。平均年齢を上げないためには、20才の人がひとり入社すればいいです。20才ひとりと31才10人で、平均年齢は30才です。

その翌年、この組織の平均年齢はまた31才になります。これを阻止するためには、今年は19才の人をひとり採用する必要があります。


そんなのあたりまえじゃん。だから企業は毎年、新卒を採用してるじゃん。と思われるかもしれません。でも、これってそんなに楽なことでもないのです。


だって、10人しか社員のいない会社が、今の平均年齢から10才も年下の人を毎年1人雇い続けるって、相当の成長企業じゃないと難しいです。

これが大企業で、30才の人が1万人いる会社なら、社員の平均年齢を保つには、今年は20歳の人を1000人、来年は19歳の人を1000人も雇う必要があるってことなんです。

そんなに人を雇えるほど事業拡大してる企業って、イマドキどんだけあるんでしょう?


もちろん、定年退職で辞めていく人もいるので、高齢者が減ることにより、やや少ない新規採用でも平均年齢は保てます。でも、実際にはソレでは追いつかず、大半の企業では、一年に約1才、社員の平均年齢が上がっています。

10年もたてば(急成長を続けている企業以外では)、社員の平均年齢は8才くらいはあがります。一度自分の会社でざっくり計算してみて下さい。現在の社員数と平均年齢、定年退職者と新入社員の数がわかれば、計算できるでしょ。

超急成長企業以外では、定年退職者や新入社員の数は、既存社員の数とはケタが違います。だから平均年齢に大きなインパクトを与えるのは、「既存社員の全員が、必ず毎年ひとつずつ歳をとる」ってことのほうなんです。


メインボディが年をとるため、相当レベルの新陳代謝を意図的に起さない限り、組織の多くは毎年ひとつ平均年齢が上がり、ぼやぼやしてると、今、平均年齢30才の会社は、10年後には平均年齢40才の会社になります。今はすごく若い人ばかりの会社でも、必ずそうなります。


これは経営者の視点から見ると、結構怖いことです。特に若い人向けのビジネスをやっている企業にとっては、20年で20歳分、社員の平均年齢が上がったりしたら死活問題でしょう。20代だけの会社が40代だけになるんだからね。そして今40代が中心という会社の場合は・・(以下略)


そうならないためには、下記のいずれかを徹底するしかありません。

・事業規模、売上において相当の成長率を達成し、毎年かなりの数の若い新人を雇う(高度成長期モデル)

・かなり意識的に、年齢の高い社員に辞めて貰う(低成長期モデル)


長期にわたって組織の平均年齢を若く保つというのは、とっても大変なことなんです。


そしてこのことを理解してる経営者は、この問題を避けるための手法をきっちりと人事制度に取り入れています。その方法は3つあり、簡単に言えば

(1)リクルートメソッド

(2)米系外資企業メソッド

(3)楽天・ユニクロメソッド

しかありません。



それぞれどういう手法だって?


そんなこと、ブログに書けるわけないじゃん。


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 そんじゃーね。


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2012-12-22 自分の時代を大切にしたいなと思った

古い本なのだけど、この本を読んでる。

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)

ほぼ日刊イトイ新聞の本 (講談社文庫)


クリスマスシーズンになるとバブルの頃を思い出す。

一年中浮かれていた時代だけれど、そのピークは忘年会、クリスマスの連なる12月にあった。


有名どころのレストランで、客は全員が同じコース料理を食べ(全席カップル、メニューはコース料理一本のみ、開始時間も 2本立てで入れ替え制、時にはワインさえ“この3つから選んでください”などと言われ)、その後は一流ホテルのロビーで、長蛇の列に並んでチェックイン。もちろん、前後左右みんなカップル。

ティファニーを始めとする宝飾店は、バレンタイン前のチョコレート屋みたいな混み具合で、カップルに混じり、同じネックレスを「コレ10個下さい」みたいに購入してる男性もいた。

今ならすぐに「なんと滑稽な!」とわかるけど、当時はみんな必死にまじめだった。



バブルの頃、最もイケイケに景気が良かったのは、金融業界、不動産業界、そして広告業界だった。糸井重里さんは、当時“コピーライター”として絶頂期にあって、個人としては数少ない、バブルの峰の頂点を歩いてる人だった。

そういう人が、バブルの終焉とその後の時代をどう生きてきたかについて追体験した気になれるのが、冒頭に上げた『ほぼ日刊イトイ新聞の本』です。


今や一日のPVが150万以上の“ほぼ日”、そのトップページにあるように、1998年6月6日に立ち上げられたこのサイトは、これまで15年弱、一日も休まず毎日更新されている。


本の中では、糸井さんらしいナイスな言葉で時代の変化が語られる。

ぼくが94年の末くらいから釣りに凝りだしたのは、そのときはそう思わないようにしていたけれど、広告の世界に嫌気がさしたからだと思う。逃避と言ってもいいだろう。

僕が釣りにはまっている間に、広告の世界の感じ悪い変化は、さらに激しくなった。


ただ、他人の思惑に自分の人生が左右されていくという予感は、どうにも耐えられないものだった。


自分でイニシアティブを握って行う仕事には、真の喜びや楽しさがある。実現するための労力を惜しまないだけ、これ以上はないというくらいの達成感が味わえる。


ぼくは「アイデアこそが、人間の英知だ」と思って生きてきた。

それなのに、そのアイデアを活かしてクリエィティブの仕事をして生きていくには、ぼくくらいの歳になってくると、引退するか、威張るかの道しか残されていないのだ。


ぼくは11月10日、49歳の誕生日をきっかけにして、東京・秋葉原の電気街へパソコンを買いに行った。

(中略)

「メールとインターネットだけ使えればいいんだよ」

とぼくは遠慮がちに言ったと思う。


こうして“ほぼ日”は始まった。



こんな提灯記事を書くなんて、ちきりんも“ほぼ日”に出たいんだな、って?


・・・そういう発想自体が、まさにあの時代のものだよね。

「有名な人、一流のメディアに取り上げて欲しい!」と切望すること自体が、あまりにもかっこわるい。

あたしが目指すとしたら、それは自分が“ほぼ日”に“出して貰う”ことじゃなく、「Chikirinの日記」に糸井さんに出て貰うことだよん! と言えたりするのが今の時代であり、「そもそも有名人でアクセス数を稼ごうとかいう発想自体が、どうなのよ」な時代にすらなっている。



年末のホリデーシーズンを迎えると、いつもバブルの頃を思い出す。

時代は変わる。必ず変わる。すべての人は、時代と共に生きていくしかない。不景気に生まれたからって、嘆いていても仕方ない。いい時代に生まれたからって、それにしがみついてても仕方ない。

すべての人は時代から逃れられない。だからこそ、自分の出会った時代を大切にすべきなんだなと、この本を読んで、思った。



49歳で、初めてパソコン(マックですが)を買った人が、一日150万PVのサイトを作り上げた。

過去を懐かしんでいるだけの人と、時代と共に前に進もうとする人は、見える地平が全く異なってくる。

そんな気がした本だったよ。


楽天ブックス↓


→ アマゾンはこちら


そんじゃーね!

2012-12-19 ドワンゴの株主総会に行ってきました

たまたま時間があったので、ドワンゴの株主総会(&事業説明会)に行ってきました。

こんな会社だから若い人が多いのかしらと思ったらぜんぜんで、他企業の総会同様、平均年齢はかなり高かったです。席も半分くらいしか埋まってないし。だいたい平日の昼間に株主総会なんて来られないですからね、若い人は。


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お土産のカップがカワイイ!


最初に小林宏社長が、招集通知の資料にも書いてある今期の業績をたんたんと読み上げながら説明されます。前列の役員席にはおなじみの川上量生さんや夏野剛さんも。

夏野さんは終始とても姿勢が良く、「姿勢いいと、いい感じだなー」と我が身を反省しました。川上さんは普通のスーツにネクタイをされていて、堀江貴文さんが「オレが逮捕されたのはネクタイを締めなかった罪なんだ」と言われていたのを思い出しました。

なるほどね。そんなことで逮捕を免れられるなら、ネクタイくらいした方がいいですよね。



小林社長の業績説明の後は、議案採決の前に質問コーナーがあったんだけど、「ご質問のある株主の方、挙手をお願いします」と言われたのに誰も手を挙げない。


えっ! 誰も質問ないの?


と思ったので、とりあえず手を挙げたら、最初の質問者になっちゃいましたよ・・・ ←ちきりんが


まあ、お面つけてなかったのでバレてないとは思うけど。

追記) ↓ ほらね。バレてないでしょ。



ちなみに質問したのは、「経営者の方にとって、この会社の3年後の事業ポートフォリオってどんなイメージなんですか?」ってこと。

回答は「そんな先のことは考えてません。半年後から1年後のことしか見えない世界なんです」って感じでした。(実際にはもっと丁寧に答えて頂いています)


そりゃーそうかも。あたしだって“Chikirinブログの3年後”なんて全然見えないもんね。とはいえ、総会後に行われた事業説明会での“各事業の説明に使われた時間シェア”から、経営者の方が期待されている今後の方向性はよく理解できました。



事業説明会では、総会より詳しくニコニコの会員数とか、いろんなデータが示されていたんですが、個人的におもしろかったのは、

ニコニコ超会議の映像 ← 日本っていつの間にこんな国になってたんだ!! と驚きました。

あと、夏野さんが超強気で楽しかった。選挙前に行われた各党首の政治討論会について、「各人の後ろのスクリーンに、各政策への賛成とか反対がこうやってすぐに映されるんです!」など、すごく誇らしげに説明されていました。

それと「ニコニコの動画と、youtubeやUstの違いはなにか?」と質問された株主の方があり、「それ知らずにドワンゴの株買うってすごい嗅覚だな」と感心したり・・。



上に書いたように、最初は質問する人がいなくてなぜかあたしが最初の質問者になったりしたわけですが、その後は多くの株主の方が活発に質問されました

で、思ったのは、こんな諷に、小林社長や川上会長、夏野さんに「今後の電子書籍プラットフォームの見通しは?」、「海外の利用者の数と伸びは?」みたいな話を直接聞けて、全体では1時間近くも丁寧に回答して貰えるなんて、とても貴重な機会だなってことです。

電子書籍やメルマガ、ウェブ上でのコンテンツ絡みのビジネスで、これから起業しようとかいう人は、権利確定日だけ株を買って、総会に来て、根掘り葉掘り質問して勉強すればいいじゃん?とか思いました。(想定質問に答えるための経営関連のパワポ資料があるっぽいんですけど、全部は説明してもらえません。でも巧く質問すれば、かなりいろいろわかりそうな資料でした)

一般の人にとっては、こんな人達に直接に質問できる機会を得るのは容易じゃないし、株主相手の質問だと皆さんけっこう丁寧に答えてくださるんです。楽天の株でも持ってれば、「koboはどーすか? 三木谷さん!」とか聞けちゃうわけで。株主相手だと、答え方にもそれなりに期待できるしね。


というわけで、お土産もいっぱい貰って、ちょこっと楽しかったです。

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そんじゃーね!



関連エントリ

 → “ ニコファーレに行ってみた!

2012-12-15 経済政策と雇用について (政策アンケート結果 その2)

16日の衆院選に向けた政策アンケートの結果(その2)です。

→ 応募総数や回答者プロフィールについてはこちらのエントリーを

→ 政策アンケート結果その1 (税と年金について)は、こちらをご覧ください。


今日のテーマは 経済政策と雇用 です。

ちきりんブログの読者が「経済政策として推進すべき」と考えることは次の4つ。賛成比率の高い順に見ていきましょう。


財源移譲も含む大胆な地方分権には 4分の3の人が賛成

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大幅な規制緩和にもほぼ 4分の3の人が賛成

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TPPに賛成で、自由貿易が大事と考える人も6割を超え、

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義務教育の一部に英語教育を導入するなど、国際競争力を持てる人材育成をすべきという人も58%に上ります。

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あーもうホントに、絵に描いたような自由主義&資本主義者ですね、あたしたち・・。



一方、当ブログの読者が反対する施策はふたつあり、公共事業を増やすという政策には4人に3人以上の人が反対で、

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これ以上の金融緩和策にも反対が多い

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上記ふたつって、安倍さんがやろうとしていることですよね・・・。このブログの読者は、「自民党的な経済施策に戻るのはやめてくれ!」と考えてるようです。(あたしもそう考えてます)



賛成と反対の両意見が拮抗している策もふたつありました。

ひとつが移民政策について。拮抗はしてるけど7%だけ賛成が多いのが、ちきりん読者クオリティ

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政府主導の産業政策に賛成する人が多いのには驚きました。一応4%だけ反対のが多いけどね。

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雇用に関しては、解雇規制の撤廃には65%の人が賛成。案外、反対の人多いですねえ。“百害あって一利無し”に思えるんだけどな・・

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そして労働法はちゃんと守るべきという意見が多い。中小、零細企業だからといってブラックでいいとは言えないということ。これ、本気でやると相当のインパクトがあると思います。

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人手不足分野について、海外からの労働力輸入に賛成する人は63%にのぼり、移民賛成の人より15%も高くなります。(個人的には)こっちだけに賛成すると、ローエンド移民だけを入れることになるのが気になりますけど。

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最低賃金に関しては、大幅に上げることにも、廃止することにも反対意見が多いです。現状の制度がまあ容認できるレベルと考えてる人が多いのでしょうか。これはクロス集計が必要ですね。あとでやります。

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あと、「非正規社員をどんどん正社員化すべき」的な意見への反対が多いですねー。昨日の法人税の増税反対と合わせ、非常に企業寄りの傾向が表れています。(3人に一人が最低賃金廃止に賛成してるのも同じ傾向)

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原発については、廃止派がやや多いけどその差は5%。拮抗と言えるレベルですね。このアンケート、大半の質問については同じような意見の人が多かったのに、移民政策と原発政策に関しては意見が分かれてます。このふたつの課題については、たとえちきりんブログの熱心な読者であっても、意見は二分されているということですね。

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いよいよ選挙も目前です。選挙の投票所入場整理券を探して(無くても身分証明書持っていけば投票できますが)、自分の選挙区で行われる選挙の種類を確認し(場所によっては市議会議員の補欠選とかも同時に行われてます)、どの人にいれようかなど考えておきましょう。


選挙ラブ


そんじゃーね!

2012-12-14 税と年金について (政策アンケート結果 その1)

16日の衆院選に向けた政策アンケートの結果(その1)を発表します。

→ 応募総数や回答者プロフィールについては前回のエントリーをご覧ください。


今日のテーマは 税と年金 です。

このふたつに関して重要なことは、「負担側の話を避けないこと」です。

たとえば、「消費税に賛成か、反対か」を尋ねるだけではアンケートとして価値がありません。消費税に反対の場合、「では、どこから税を徴収すべきと考えているの?」を明確にしないと、問題先送りにしかならないからです。

また、「行政改革をするか、消費税を上げるか」という選択肢も無意味です。今の日本では、行政改革を含め、支出側の無駄を削減することは必須であって選択肢ではありません。行政改革をすれば増税が不要になるわけでもないのです。


では、ちきりん読者が考える税負担の在り方について、アンケート結果を見ていきましょう。以下は、課税強化すべきと言う意見(賛成の割合)が多い順に並べたものです。


(1) 最も多い66%が賛成したのは、退職金税制の優遇など、大企業や公務員組織に、新卒から定年まで転職せずに勤め続けた人にメリットが大きい優遇税制の廃止です。既に時代遅れとなりつつある特定の働き方に、有利な税制を残すことへの反意が表れているといえます。

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(2) 次に58%と賛成が多かったのが、所得税の課税ベースを拡大することです。年収が比較的低い人や、専業主婦や両親、子供を扶養している人にも、もっと税金を払って貰おうという意見ですね。現在は、単身者や共働き家庭に税負担が集中しすぎていると考えている人が多いのでしょう。

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(3) 次が消費税で56%が賛成しています。ちきりん読者は「広く多くの人達で税負担を分け合うべき」と考えていることがよくわかります。

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(4) その次が富裕層向けの課税強化です。

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(5) 資産課税についても47%が賛成しています。ストックに課税するという思い切った案であり、資本主義的な税金であるにもかかわらず賛成者が多いのは、資産をため込んでいるのは高齢者であり、アンケートの回答者とは世代格差があるからかもしれません。

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(6) そして最後に衝撃的な結果がでました。法人税のアップに関しては、66%が反対しているのです。今回の案の中で、増税反対が5割を超えたのは法人税のみです。賛成は21%しかおらず、消費税、所得税などの増税に賛成する人の半分をさらに下回っています。

ちきりん読者の皆様、思った以上にビジネス寄りですね。実はこのビジネス寄りの視点は、明日以降に公表する他の設問の結果にも、きれいに表れています。

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以上が「誰が税負担をすべきか」に関する回答結果です。全体としてみれば、“極めてちきりんブログ読者らしい結果”と言えるでしょう。すなわち、

(1) 企業活動を阻害する法人税の増税には強く反対

(2) 消費税増税や、課税ベースの拡大など、広く薄く税負担する方向に賛成

(3) 大企業で一生働く人、資産をため込んでいる人など、中高年以上にもっと課税すべき

ということのようです。


あと、普通は「増税反対!」の声が強いものなのに、このアンケートに関しては、法人税以外は増税賛成が多数意見となりました。ちきりん読者は、現在の財政状況への危機感が強く、財政再建を急ぐべきだと考えていることがよくわかります。


ここで、支出側に関する回答も見ておきましょう。限られた財源をどこに使うべきかという質問に対して、ちきりん読者の志向は下記に明確に表れています。それは、“福祉より投資、高齢者より若い人にお金を使うべき”という考えです。

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特に、高齢者福祉にお金を使うべきという回答は極めて少なく、当ブログ読者である若い回答者から見れば、現行の福祉制度は高齢者を偏重しすぎと見えていることが、よくわかります。



次に年金についての回答結果です。

選択肢の内、最初のふたつが現行制度を維持すべきという方向、真ん中が最低保障年金、最後のふたつが現行制度を支持しない、という方向の選択肢です。

ベーシックインカムや積み立て方式(超長期の国への貯金制度)など、現行制度とは大きく異なる制度を支持する人も、後半ふたつのいずれかに含まれていると思われます。

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選択肢の中で一番多いのは、現在の年金制度を廃止すべきという意見です。回答者に若い人が多いことを反映しているのでしょう。このあたりは後で年齢別データを調べてみたいと思います。


また、現行維持方向である最初のふたつの選択肢を比べると、負担を上げて給付を維持する方式より、給付を削減して負担を抑えるべきという意見の方が圧倒的に支持されています。廃止案の賛成者が多いことと合わせ、年金については、拡充ではなく縮小・廃止方向への意向が強いようです。


以上、税と年金に関する部分のアンケート結果でした。明日は、経済政策と雇用政策について発表します!


そんじゃーね

2012-12-13 <政策アンケート結果発表>  その1 回答者プロフィール

昨日まで行っていた、総選挙に向けての政策アンケートですが、なんと3日間で、

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の回答がありました!!!


びっくり・・ あと数時間やってたら1万人になったかもです。

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↑日別の回答者数


前回、ワークシフトのアンケートで回答数が800人になった時も驚きましたが、今回はなんとその10倍以上の方から回答を頂いたことになります。回答してくださった皆様、ご協力ありがとうございました!


★★★


回答者の年齢と性別は次の通り

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相変わらず男性が多いですね。8割近くが男性です。


年齢に関しても(前回同様)、日本の人口構成比に比べて圧倒的に30代が多くなっています。日本全体では16%しかいない30代なのに、今回のアンケート回答者のうち42.5%が30代です。

年代  日本全体の人口(構成比)今回の回答者(構成比)
29才以下18% 20.5%
30代16% 42.5%
40才以上66% 37%
合計100% 100%


そして、回答者のうち28%は、このブログの過去エントリも(すべて? 大半を?)読んでくださっており、57%は現在、定期的にこのブログを読んで下さっているとか・・・

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つまり回答者の85%は、ちきりんブログの定期購読者なのです。・・・ってことは、このアンケートは“世論調査”なんかではありません。これはまさに、 Chikirinの日記読者の思想調査 なのです。


きゃー!!



いったい、ちきりんブログの読者は、どんな政策を支持しているのか!?


人口の66%を占める40代以上が圧倒的に多い新聞やテレビの世論調査(固定電話の番号でアンケート先を選んでいる!)と、ちきりんブログ読者の意見は、どれほど乖離しているのか!?



明日をお楽しみに!!!



(グラフはすべてグーグルドキュメントによる自動作成なので、やや見づらくて申し訳ないです)

2012-12-09 選挙前の政策アンケートを行います!

12月16日に行われる衆議院総選挙への意識を高めるため、各種の政策に関する読者アンケートを行うことにしました。


設問はすべて選択式で、

・税制について

・年金制度について

・経済成長のための施策について

・雇用政策について

・原子力発電について

・優先度の高い福祉政策についてお伺いします。


それぞれに複数の選択肢がありますので、全体で10分ほどかかるかもしれません。


アンケートは、12日(水)の23時55分まで受け付けます。 締め切りまでに寄せられた回答の結果は、選挙当日の午後までに公表します。


ご協力よろしくお願いいたします。

アンケートを開始する! アンケートは終了しました!


そんじゃーね



<現在の回答者数>

・12/09 16:15 アンケート開始

・12/09 23:00 回答者数累計 3007名

・12/10 10:00 回答者数累計 4441名

・12/10 23:00 回答者数累計 6996名

・12/11 11:00 回答者数累計 7777名

・12/11 23:00 回答者数累計 8748名

・12/12 11:00 回答者数累計 9176名

・総回答者数 = 9903名


.

2012-12-06 国民審査と一票の格差

もうすぐ衆議院選挙ですね。

この日、選挙に行った有権者は、国民審査にも参加することになります。

コレ、非常に重要な制度であるにも関わらず、よく知られていないのでまとめておきます。


Q1.国民審査って何?


最高裁の裁判官について、国民が「罷免するか」 or 「そのまま任務についていてよいか」を審査をする制度です。罷免とはクビみたいなもんです。


Q2.いつ行われるの?


各裁判官が就任直後の衆議院選で行われます。10年在任している人については再度行われます。

なので、毎回 対象となる人数は異なります。


Q3.どのように行われるの?


投票用紙として、国民審査を受ける裁判官の名前が記された票(表)を渡されます。


信任しない場合は、名前の上のボックスに「×」をつけます。信任する場合は何も書かずに投函します。(ここがポイントです)


「○」をふくめ、「× 以外」のどんな記号を書いても、その票は無効票扱いされます。


Q4.よくわからないから何も書かずに出せば、「信任した」ことになるということ?


そうです。なので、有権者の選択肢としては、

・「×をつけて、不信任を表明する」か、

・「何も書かずに、信任するか」

・最初から用紙の受け取りを拒否するか(よくわからない場合や、参加したくない場合)

の3つです。


Q5.何人が×をつければ罷免されるのですか?


有効票の過半数が×をつければ罷免されます。


Q6.いままで罷免された人はいるのですか? 


いません。大半のケースでは、6%くらいから最大15%程度の不信任率となっています。


ただし過去には、沖縄基地関連訴訟で沖縄知事に敗訴を言い渡した最高裁判所にたいして、沖縄県内で 30%を越える不信任比率となったケースがあります。(全員に × をつけた票がそれだけあったということです)


Q7.信任する人には○をつける制度に変更すべきではないですか?


制度論としては様々な意見があるでしょう。


少なくとも今の「○をつけたら無効票になる」といった極めてわかりにくい制度を放置するのは、いかがなものかと思います。


また、投票所で紙の受け取りを拒否して(もしくは返すことで)棄権することができる、こともあまり知られていません。


なお、一部の裁判官を“不信任”、残りを“棄権”するという選択肢もありません。


だから不信任の人だけに×をつけ、よく知らないからと、残りの裁判官には何のマークもつけないと、それらの裁判官を信任したとみなされてしまいます。

なーんか、意図せぬ信任を生みやすいわかりにくい方式です。


Q8.ちゃんと考えて国民審査に臨みたいんだけど、何を審査すればいいの?


最高裁は、一票の格差問題や、自衛隊の違憲問題、死刑の是非や、婚姻制度に関する男女の差の問題などについて、憲法判断をしています。


また、最高裁の判決は「判例」となって、高裁以下の裁判に大きな影響を与えます。つまり最高裁は「日本の価値観を作り上げている裁判所」なのです。


私たちは国民審査を通して、彼らの価値判断を肯定するのか、

それとも、彼らの価値観にたいして「そんな価値観を、日本の価値観として示さないで欲しい!」と異議申し立てをするのか、

国民審査を通じて意思表示することができるのです。


Q9.でも、過半数の不信任がないと罷免できないんだから、ちゃんと意思表示しても無駄なんじゃないの?


そんな気もしますよね。でも、私は違う考え方を持っています。下記は前回の国民審査の結果です。


<前回、2009年8月の国民審査の結果>

氏名(元職業)  罷免要求票数率%
桜井龍子(行政官)4,656,462 6.96
竹内行夫(行政官)4,495,571 6.72
涌井紀夫(裁判官)5,176,090 7.73
田原睦夫(弁護士)4,364,116 6.52
金築誠志(裁判官)4,311,693 6.44
那須弘平(弁護士)4,988,562 7.45
竹崎博允(裁判官)4,184,902 6.25
近藤崇晴(裁判官)4,103,537 6.13
宮川光治(弁護士)4,014,158 6.00

率のところをカラーにした 2名の裁判官は、この審査の前に、「一票の格差は憲法上問題ない」という判決に賛成していた 2名です。ちゃんと不信任率が高いでしょ。


(注:この上下の表の人達は、前回審査された裁判官です。今回は違う人です。なので、この表の名前を覚えていっても意味ないです!)


さらに東京都や神奈川県などの都会部(一票の価値において非常に軽んぜられている地域)では 2人の罷免要求率が 10%を超えるなど、より明確な結果が出ています。


<東京都の結果>

氏名(元職業)  罷免要求票数率%
桜井龍子(行政官)598,5328.93
竹内行夫(行政官)596,6028.90
涌井紀夫(裁判官)754,16511.26
田原睦夫(弁護士)581,1238.67
金築誠志(裁判官)566,2648.45
那須弘平(弁護士)733,82410.95
竹崎博允(裁判官)562,9268.40
近藤崇晴(裁判官)553,8758.27
宮川光治(弁護士)536,6028.01

このように、たとえ罷免はできなくとも、私達は明確な形で、「私たちは、あなたを国民の価値観を決める代表としてふさわしくないと思っています!」と表明できます。


また、因果関係は誰にも証明できませんが、去年、今年と、最高裁は前回の参院選、衆院選に関して続けて「違憲である」との判決をだしました。


最高裁は「国民が自分達をどうみているか」十分に意識しているのではないでしょうか。


罷免できなくても、今までより何ポイントも高い不信任比率が出れば、彼らは必ず「やばい!」と思います。


特に、過去の不信任比率の最高値である 15%に近い比率が出せれば、最高裁は間違いなく危機感をもつでしょう。


上表を見ればわかるように、それは決して非現実的な数字ではありません。私たちには、最高裁に意思を示す方法があるんです。


Q10.それぞれの人の価値観については、何を見ればわかるの?


私はポストに配られる選挙公報(国民審査公報)で、自分の興味のある判決についてのみ、チェックしています。

どこかのメディアが、わかりやすくきちんと比較できるサイトを作ってくれたら助かるのですが。。。


Q11.ちきりんはどーするの?


私の意思は明確です。

最高裁は一票の格差について「違憲状態」とか「違憲」とは言いますが、「違憲だから選挙無効」とは決して言いません。

選挙が終わってから 2年後くらいに「政治家はちゃんと定数を変えてね」みたいな呑気な期待を表明するだけです。


実は前回の違憲判決を受け、11月26日に「0増五減法案」が決まり、即日施行されています。


けれど、実際の選挙区割りを決める手続きが間に合わないため、今回の選挙は“違憲状態のまま”行われるんです。


「それは変だろ?」ってことで、選挙の差し止め請求が行われましたが、最高裁は11月末にこれを棄却しています。


・・・違憲だということはずっと前から分かっているのに、自分達がダラダラ議論を引き延ばし、あげくの果てには間に合わないから違憲のまま選挙? 

最高裁もそれで「まあ、仕方ないでしょ」って??  


最高裁がそんな態度では、政治家はいつまでも動きません。

毎回違憲のまま選挙をし、自分が通ればそれでいいのです。選挙は(違憲であっても)有効だと最高裁がお墨付きを与えてくれるのですから。


なので、私は全裁判官に × をつけるつもりです。

最高裁が全員一致で「このままの状態で選挙しても(もちろん違憲だし)無効になってしまうからヤバイ!」と思うような状態に持っていくには、


「今のままでは私たちは、あなたたちを信任できない!」と伝えられる数字を(国民審査で)見せることが、重要だと考えているからです。


みなさんの投票は、みなさんの考えに基づいて行って下さい。

でも、この権利を無知により無駄にしないでください。

あなたが「よくわからないから」と言って、もらった紙をそのまま投票箱に入れれば、あなたは「裁判官を信任した人」としてカウントされてしまいます。

「制度をよく知らない」ことにつけ込まれ、利用されてしまうのです。


繰り返しておきますが、○をつけたら“無効票”になってしまいます。 何も書かなければ、信任すると言う意思表示になります。

×をつけるか、空欄のままにするか(=信任するか)どっちでもいいですが、自分の権利を大切にしましょう。


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そんじゃーね


<関連過去エントリ>

選挙制度を変えない限り、何も変わらない

農政に見る民主主義の罠

格差問題@一票の価値




最高裁の違憲判決 「伝家の宝刀」をなぜ抜かないのか (光文社新書)
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2012-12-01 就活市場を一発で適正化できるミラクル解決法

2014年3月に大学を卒業する学生向けの就活イベントが、今日から解禁とのこと。

私が就活に関心があるのは、それが“最も機能していない市場の例”として典型的だからです。

ご存じのように、私はたいていの場合、市場原理を支持しています。

→ “There is no alternative to market


ちなみに、この“市場原理”がもっとも極端に機能しているのが(皮肉なことに)弱者保護の世界です。

→ “私的援助市場に見る市場原理


現在の就活市場は、“最も巧くいっていない市場例”と言えるほど滑稽な状態になっています。

もし私が(今)大学生なら、こんな市場にはまず参加しないだろうと思えるほどのヒドさです。

なぜこの市場は、こんなにも機能していないのでしょう??


その理由は、大学入試と比べれば明確です。今、大学受験市場は、就活市場よりは遥かに巧くまわっています。

「100社受けたけど、どこも通らなかった」という就活生の声は聞くけど、「100大学(学部)受けたけど、どこも通らなかった」という受験生の声はほとんど聞かないですよね。


「それは大学の定員が進学希望者数より多いからだろ」と言われるかもしれませんが、就活市場だって 2013年卒の求人倍率は 1.27ですから、今は「大学全入時代」であると同時に、「就活全入時代」なんです。

「企業の一部はブラック企業だから、求人倍率が 1を越えていても、まともなところだけでカウントすれば 1を割っているはずだ!」って? 

大学だって、一部は(てか多くが?)ブラック大学なんだから状況は同じです。


それなのになぜ大学受験市場は、就活市場のような“全員が疲弊する”みたいな状況に陥らずに済んでいるのでしょう? 

その理由を考えれば、現在のトホホな就活市場を適正化するミラクルな解決策が浮かんできます。


その解決方法とはずばり、大学受験と同様、

「応募検定料を、応募者が企業に払うようにする」

ということです。


実はこの点が、就活市場と大学受験市場の大きな違いです。

就活市場では、三菱商事や電通やJTBに応募するのはタダです。

企業側は採用パンフレットを用意し、何度も説明会を開き、適性検査や面接を実施するために多大なコストを掛けています。しかし学生側はこれを一切負担しません。


一方の大学受験市場では、入試のコストは受験生が払っています。

早稲田大学の受験料は 35,000円なので、政治経済学部と法学部と商学部と社会科学部を併願すれば、14万円かかります。

これに慶應の複数学部を受けて、滑り止めで他の大学も受けて、とかやってると・・・受験料だけで 30万円、50万円と必要になるでしょう。

多くの学生(のいる家庭)は、そんな額はとても払えないので、合格しそうにない大学や、合格しても行きたくない大学を受けません。

行きたい大学が 10校ある場合でも、よく考えて優先順位を付け、自分の実力前後の 5校程度を選んで受けるのです。


しかし、就活市場ではどんな人気企業も応募するのはタダです。

会社説明会の席を得るために画面から早撃ちクリック連打が必要にはなるけれど、お金は一円もかかりません。

だったら「行きたい会社はスケジュールが許す限り全部受けてみよう!」という話になります。

それどころか、内定がでても行きたいと思えない会社さえ、「話のネタに」や「面接の練習に」受けたりします。

こうして、IT化の恩恵により応募作業が容易になればなるほど、一人当たり応募社数がとめどなく増えていきます。

そしてそのことにより「落とされる人の述べ人数もどんどん増加する」という状況になっているのです。


学生 10人と企業 10社の例で考えてみて下さい。

ひとり 3社受けるとすれば、平均 2社ずつ落ちます。

でも全員が 10社に応募すれば、ひとり平均 9社落ちることになります。

落ちる人には偏りがあるので、結果として一人で 50社落ちる人が出現します。

換言すれば、今みんながこんなに就活で落とされるのは、単に「みんなたくさん受けすぎだから!」なのです。


学生が大企業ばかり受けて中小企業に人が集まらないと言われてますが、企業が「応募検定料」をとり始めたら、学生側は受ける企業を厳選し始めるはずです。

有名企業、超人気企業ではなく、自分が受かりそうな企業を必死で探そうとするでしょう。

そうすれば中小企業への応募者だって今よりずっと増えるのです。つまり「ミスマッチ問題」も(ある程度は)解消されます。


もちろん大学入試と同様、一部の人気大学に受験生が集中し、一部の大学は定員割れが続くという状態は残ります。

それでも、「100社落ちて、自分は世の中に必要無いのかと思って落ち込む」みたいなことは起こらなくなります。

企業側は希望者の数に応じて説明会を増やすから、説明会の予約だってとりやすくなります。

大学受験では、入学検定料を添えて応募したのに、会場が満員で入試が受けられないなんて起こらないでしょ? 

お金を払うシステムであれば、大学も企業も「応募してきた人、全員が参加できる会場」をきちんと用意してくれるんです。


しかも、今は東京だけで会社説明会を行っている企業も、北海道から九州まで日本全国で採用プロセスを開催してくれるでしょう。

大学受験の場合、東京の大学が、関西を始め全国で入試を行うのは、もう珍しくもありません。

コストさえ応募者が払ってくれるなら、大学側(企業側)はできるだけ優秀な応募者を獲得すべく、自ら地方まで出かけて行くのです。


同時にこの方法で、「地方の大学生の場合、就活に多大な交通費と移動時間がかかって、ものすごく不公平」という問題も解消できます。

てか今って事実上、地方の大学の人だけが就活応募料を(交通費&宿泊費という名目で)払ってるようなものなのです。

というわけで、就活に応募検定料制度が導入されれば、大学全入時代と同様、就活全入時代というすばらしい時代がやってくるはず!


加えてこの制度により企業側は、ほんとの意味での学歴不問採用が可能になります。

現在、企業側が学生を大学名で区別するのは、応募者が多すぎて、彼ら全員に適性検査を受けさせたり、面接に呼ぶなんてことは、コストがかかり過ぎてできないからです。

1000人の学生に東京都心で適性検査を受けさせようと思えば、テスト代や会場代、現場スタッフ代(派遣スタッフ代)などで、応募者ひとりあたり数万円ものコストがかかります。

費用負担は大学と同じか、それ以上です。試験会場として使える校舎・大教室を最初から持っている大学の方が、むしろコストは安いでしょう。

たかだか 100人ほどしか採用しないのに数万人が受験してくるような人気企業が、数万人分の説明会会場や面接会場を用意して、全員を受けさせるなんて、経済的に不可能なのです。


でも!


学生側が検定料を払うシステムなら、企業は全員にテストを受けさせるでしょう。大学名で足きりをする必要はありません。

めちゃくちゃ応募者の多い一流大学だって、高校名で受験生を足きりしたりしないでしょ? あれは、入試を受けてくれる人が多ければ多いほど、入学検定料が入って大学は儲かるからです。

ひとり 3万5千円ずつ払ってくれるからこそ、できるだけたくさんの受験生に受けて欲しいと大学は考えます。

同じシステムになれば、企業だって同じように考えるはず。大学名による履歴書不合格や、セミナーからの閉めだしなんてことも、やらなくなるでしょう。

結果として、みんなが求めてる「大学名不問採用」が実現するのです。 今の大学受験市場において“高校名”が不問であるようにね。


「応募検定料なんてとったら、貧乏人の子供が就活できなくなる」って? 

そんなこと起こりませんよ。大学の入試検定料は昔はせいぜい 1万円だったのに、今や 3万円を越えています。

なのにその間に、大学進学率は 25%から 50%に伸びました。入試検定料が 3倍にもなった今の方が、進学率は圧倒的に高いんです。


「いい加減な応募者を減らすためなら、長い課題作文を応募者に課せばいい」と言う人もいますが、そういう人って世の中がどう動いているか、全くわかってないです。

そんなことして、電通や三菱商事に送られてくるだろう数万通もの作文を、一体誰が読んで、審査するの?? 

その作文を読むための新たな人件費負担を企業側に押し付ければ、企業はいまよりも更に応募者を狭く(大学名に加えてコネなども加えて)絞り込もうとするでしょう。

それでは逆効果でしょ? 「お金を取らずに課題作文を課せ」などというのは、世の中を知らない人が言いがちな机上の空論です。


こんな話を聞けば、学生さんも「えっ! 企業に応募するのにお金がいるの!?」と思うかもしれません。でも、皆さんはいったい、今の就活市場と大学受験市場を比較して、どっちがマシだと思ってるんでしょう?

明らかに受験システムの方がマシじゃない? 


大学受験で入学検定料が廃止になったら、「慶応は受けときたいな。かっこいいし」みたいな高校生が激増し、人気大学にはものすごい額のコスト負担が降りかかります。

そうなれば大学側は慌てて「高校名での足切り」を始めるはず。地方での入試実施だって止めてしまうでしょう。

そして高校生側には、「 20校落ちた」とか「 30校受けたのにどこも通らなかった」みたいな人が現れるのです。つまり、今の就活市場みたいになってしまう。

大学受験がそんなふうになったらイヤでしょ? 学生から見たって、「応募者がコストを負担する方式」の方が好ましいはずなんです。


というわけで、就活市場をまともにする方法はとっても簡単。企業側が、大学と同じように「応募検定料」をとればいいんです。


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そんじゃーね



就活生は、下記の本の第七章「情報ではなくフィルターが大事」の部分もぜひお読みください

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

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