ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Chikirinの日記 RSSフィード

2012-12-06 国民審査と一票の格差

12月16日(日)に衆議院選挙が行われます。そしてもうひとつ、選挙に行った有権者は、国民審査にも参加することになります。コレ、非常に重要な制度であるにも関わらず、よく知られていないのでまとめておきます。


Q1.国民審査って何?

最高裁の裁判官について、国民が「罷免するか」 or 「そのまま任務についていてよいか」を審査をする制度です。


Q2.いつ行われるの?

各裁判官が就任直後の衆議院選と同時に行われます。10年在任している人については再度行われます。


つまり16日の選挙にいけば、有権者は (1)衆院選の比例と (2)衆院選の小選挙区の投票に加え、(3)「国民審査」の投票をすることになります。((4)東京都知事選など地方選挙の同時投票もあります)


Q3.どのように行われるの?

今回、国民審査を受けるのは10名です。投票用紙として、彼らの10名の名前が記された票(表)を渡されます。


信任しない場合は、名前の上のボックスに「×」をつけます。信任する場合は何も書かずに投函します。(ここがポイントです)

「○」をふくめ、「×以外」のどんな記号を書いても、その票は無効票扱いされます。


また(手続き的な理由により)、期日前投票の開始日には衆院選とタイムラグがあり、たとえば今回の場合、衆院選に関しては今日(公示日翌日)から期日前投票ができるのに、国民審査は9日からしかできません。


Q4.よくわからないから何も書かずに出せば、「信任した」ことになるということ?


そうです。なので、有権者の選択肢としては、

・「×をつけて、不信任を表明する」か、

・「何も書かずに、信任するか」

・最初から用紙の受け取りを拒否するか(よくわからない場合や、参加したくない場合)

の3つです。


Q5.何人が×をつければ罷免されるのですか?

有効票の過半数が×をつければ罷免されます。


Q6.いままで罷免された人はいるのですか? 

いません。大半のケースでは、6%くらいから最大15%程度の不信任率となっています。


ただし過去には、沖縄基地関連訴訟で沖縄知事に敗訴を言い渡した最高裁判所にたいして、沖縄県内では30%を越える不信任比率となったケースがあります。(全員に×をつけた票がたくさんあったそうです。)


Q7.信任する人には○をつける制度に変更すべきではないですか?

制度論としては様々な意見があるでしょう。少なくとも「制度がわかりにくいほど(何も書かない人が増えて)信任されやすくなる」というのはいかがなものかって感じです。


また、投票所で紙の受け取りを拒否して(もしくは返すことで)棄権することができる、こともあまり知られていません。


一部の裁判官を“不信任”、残りを“棄権”するという選択肢も与えられておらず、不信任の人だけに×をつけ、よく知らないからと×を付けなかった残りの裁判官は信任したとみなされてしまうのも、意図せぬ信任を生みやすいわかりにくい方式です。


Q8.ちゃんと考えて国民審査に臨みたいんだけど、何を審査すればいいの?


最高裁は、一票の格差問題や、自衛隊の違憲問題、死刑問題などに関して判決を出しています。最高裁判決は、高裁以下の裁判に大きな影響を与えます。別の言葉でいえば、最高裁は「日本の価値観を作り上げている裁判所」なのです。


私たちは国民審査を通して、彼らの価値判断を肯定できるのか、それとも、彼らの価値観にたいして「そんな価値観を、日本の価値観として示さないで欲しい!」と異議申し立てをするのか、という意思表明をすることができるのです。


Q9.でも、過半数の不信任がないと罷免できないんだから、ちゃんと意思表示しても無駄なんじゃないの?


そんな気もしますよね。でも、ちきりんは違う考え方を持っています。下記は前回の国民審査の結果です。


<前回、2009年8月の国民審査の結果>

氏名(元職業)  罷免要求票数率%
桜井龍子(行政官)4,656,462 6.96
竹内行夫(行政官)4,495,571 6.72
涌井紀夫(裁判官)5,176,090 7.73
田原睦夫(弁護士)4,364,116 6.52
金築誠志(裁判官)4,311,693 6.44
那須弘平(弁護士)4,988,562 7.45
竹崎博允(裁判官)4,184,902 6.25
近藤崇晴(裁判官)4,103,537 6.13
宮川光治(弁護士)4,014,158 6.00

率のところをカラーにした2名の裁判官は、この審査の前に、「一票の格差は憲法上問題ない」というトンデモ判決に賛成していた2名です。ちゃんと不信任率が高いですよね。

(注:この上下の表の人達は、前回審査された裁判官です。今回は違う人です。なので、この表の名前を覚えていっても意味ないです!)


さらに東京都や神奈川県などの都会部(一票の価値において非常に軽んぜられている地域)では2人の罷免要求率が10%を超えるなど、より明確な結果が出ています。


<東京都の結果>

氏名(元職業)  罷免要求票数率%
桜井龍子(行政官)598,5328.93
竹内行夫(行政官)596,6028.90
涌井紀夫(裁判官)754,16511.26
田原睦夫(弁護士)581,1238.67
金築誠志(裁判官)566,2648.45
那須弘平(弁護士)733,82410.95
竹崎博允(裁判官)562,9268.40
近藤崇晴(裁判官)553,8758.27
宮川光治(弁護士)536,6028.01

このように、たとえ罷免はできなくとも、私達は明確な形で、「私たちは、あなたを国民の価値観を決める代表としてふさわしくないと思っています!」と表明できます。


また、因果関係は誰にも証明できませんが、去年、今年と、最高裁は前回の参院選、衆院選に関して続けて「違憲である」との判決をだしました。ちきりんの目からみれば、最高裁は「国民が自分達をどうみているか」十分に意識していると思います。


罷免できなくても、今までより何ポイントも高い不信任比率が出れば、彼らは必ず「やばい!」と思います。特に、過去の不信任比率の最高値である15%に近い比率が出せれば、最高裁は間違いなく危機感を持ちます。


上表を見ればわかるように、それは決して非現実的な数字ではありません。私たちには、最高裁に意思を示せる方法があるんです。


Q10.今回は誰が審査されるの?

下記の10名です

山浦善樹、

岡部喜代子

須藤正彦

横田尤孝

大橋正春

千葉勝美

寺田逸郎、

白木勇、

大谷剛彦、

小貫芳信


Q11.それぞれの人の価値観については、何を見ればわかるの?

ちきりんも探しているのですが、わかりやすく、中立的な情報サイトが見つからず苦労しています。お勧めサイトがあれば是非、お知らせ下さい。


て言うか・・こういう情報に関して、NHKや朝日新聞が“きちっ!”とした情報を、誰にもわかりやすくまとめて出してくれたら、あたしだって「さすがテレビや新聞はすごい。まだまだネットなんかとは社会的な存在意義がぜんぜん違うよね!」って書くでしょう。


メディアの役割とはいったい何なのか、それで給料もらってる人は自分の胸に手を当てて、一回きちんと考えてみてほしいです。


Q12.ちきりんはどーするの?


私の意思は明確です。最高裁は一票の格差について「違憲」とは言いますが、「違憲だから選挙無効」とは決して言いません。選挙が終わってから2年後くらいに「違憲でした。政治家の方、定数変えてね」みたいな呑気なことを言うだけです。


実は前回の違憲判決を受け、11月26日に「0増五減法案」が決まり、即日施行されています。けれど、実際の選挙区割りを決める手続きが間に合わないため、今回の選挙は“違憲状態のまま”行われるんです。


「それは変だろ?」ってことで、選挙の差し止め請求が行われましたが、最高裁は11月末にこれを棄却しています。


・・・違憲だということはずっと前から分かっているのに、自分達がダラダラ議論を引き延ばし、あげくの果てには間に合わないから違憲のまま選挙? 最高裁もそれで「まあ、仕方ないでしょ」って??  こんな態度では、政治家にバカにされて当然でしょう?




このままでは政治家はいつまでも動きません。毎回違憲のまま選挙をし、自分が通ればそれでいいのです。選挙は(違憲であっても)有効だと最高裁がお墨付きを与えてくれるのですから。


なので、ちきりんは全裁判官に×をつけるつもりです。最高裁が全員一致で「このままの状態で選挙しても(もちろん違憲だし)無効だ!」と言う状態に持っていくには、


「今のままでは私たちは、あなたたちを信任できない!」と伝えられる数字を(今回の国民審査で)見せることが、重要だと考えているからです。


みなさんの投票は、みなさんの考えに基づいて行って下さい。

でも、この権利を無知により無駄にしないでください。あなたが「よくわからないから」と言って、もらった紙をそのまま投票箱に入れれば、あなたは「裁判官を信任した人」としてカウントされてしまうのです。「制度をよく知らない」ことにつけ込まれ、利用されてしまうのです。

繰り返しておきますが、×と○をつけたら“無効票”になってしまいます。 ×をつけるか、空欄のままにする(=信任)かのいずれかです。自分の権利を大切にしましょう。



あまりこういうこと書かないんだけど、今日は書いておきます。

「強く拡散希望」です。


そんじゃーね



<関連過去エントリ>

選挙制度を変えない限り、何も変わらない

農政に見る民主主義の罠

格差問題@一票の価値


<関連サイト>

一人一票実現国民会議