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Chikirinの日記 RSSフィード

2015-06-25 初コラボ ちきりんパジャマ 完成!

これまで夏にこの“ガーゼパジャマ”をお勧めするたび、「ホントに気持ちいいんだけど・・・いくらなんでもダサすぎない?」と思ってました ↓

2重ガーゼパジャマ レディース 半袖


これに限らずパジャマって、やたらと甘ったるい飾りがついてたり、“パジャマパジャマしたデザイン”のものが多いんですよね。

かといってデザイン重視のパジャマには、自然素材のものが少ない。ホームウエアに近いデザインになればなるほど加工が容易い化繊の商品が増えるんです。

そうなると、吸水性が悪くなり、汗をかく夏用のパジャマとしては必ずしも快適じゃない。

なんで「最高の着心地」と「ナイスな見かけ」を併せ持つ商品がないのか、ずっと不満でした。


そんな時、取材で訪れた滋賀県の“パジャマ工房”さんが、「ちきりんさんが考える究極の夏パジャマ、うちで作りますよ」と言ってくださったんです。

「えっ、まじすか!?」ってことで、さっそくデザイン画を書いて送り、試作品を作ってもらってアレコレ修正依頼を出していたある日、鏡の前で私は確信しました。


「これを売らないなんてありえない。こういうの探してる人、たくさんいるはず!」と。

いわゆる“ マーケット感覚 ”ってやつですね。


で、「社長! これ、一般販売しませんか?」とお声掛けし、「やりましょう!」というお返事を頂いて、この度、「パジャマ工房 & ちきりんのコラボパジャマ」 が実現しました。


名付けて ガーゼパジャマ ホームウェアスタイル!

↓  (念のタメ:着てるのは私ではありません)

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作りたかったのは、

・柔らかくて肌触りも最高、汗がこもらず、蒸し暑い日でもサラサラしてる最高級の二重ガーゼ(もちろんコットン 100%)で作られた、


・宅配便を受け取ったり、ゴミ出しくらいなら着替える必要のないホームウェア諷のパジャマ

でした。


なので、まずは首周りをボートネックにし、濃いネイビーのガーゼ生地を使ってパジャマっぽさを一掃。

襟ぐりには薄い芯地が入っていて、“くたっ”とした柔らかさが特徴の二重ガーゼで作っているのに、胸から上は完全にホームウェアといえるほど、しっかりした感じに仕上がっています。

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二の腕がムキッと見えないよう袖は五分丈とし、上着もお尻が完全に隠れる丈にしたので、横や後からの視線にも安心です。

・販売ページに後ろ姿や横からの写真も掲載されています

→ 楽天 (こちらの方が写真は見やすいかも)

→ アマゾン


色はネイビーのみ。いろいろ考えましたが、この色が一番パジャマ感が少ないので。

(追記:現在は 5色展開 となりました!)

その上で、デザイン全体の方針として、フィット&フレアーのバランスで涼しさと“きちんと感”を両立しました。

たとえば上着、胸から上はフィット感を出す一方、裾はふんわり拡がり、風が通るようになってます。このふんわり感を出すのが大変で、今回はパタンナーの方が知恵を絞ってくださいました。


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試行錯誤の結果、パジャマではまず見ない“前身頃の両脇に大きな切り替え”を入れることで、求めていたラインを実現。これ、完全にアウターの形成技術だと思います。

ちなみに縫製が余りに丁寧なので、よく見ないと、どこが切り替えなのかわからないほど。

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(このふんわりフレアが、お腹周りの気になる体型もしっかりカバーしてくれます)


袖も、袖口(先の方)はシェイプして“普通の服”っぽく見せながら、袖ぐり(肩の付け根部分)はゆったりサイズで、腕周りに“きゅうくつ感”が出ないようにし、

ズボンも裾は軽く絞りながら、上着に隠れるウエスト部分や腰回りには、かなりの余裕を持たせました。

このように、きちんとしたウエアに見えながら、パジャマとしての快適性も損ねないよう、フィット&フレアーのバランスには細かく気を遣っています。


(着心地としては、かなり“ゆったりめ”に作られています)


★★★


その結果、

・たとえば休日など、昼から出掛けるという日には、出掛ける直前までずっと来ていられるパジャマになりました。

宅配便もコレで受け取れるし、マンションのロビーまで新聞や郵便を取りに行ったり、ゴミを捨てにいったりもできます。(実際にやってみました!)

・一戸建でも、庭や玄関周りの水やりくらいなら十分可能だし、体調が悪くて 1日家にいる日でも、電話やネットで頼んだデリバリーが着替えずに受け取れます。

・とても上品な仕上がりなので、お盆にパートナーの実家に里帰りをするとき、“いかにもなパジャマ”は来たくないし、

かといって、自宅で着てるくたびれたロング T シャツやリラコでお義母さんの前をウロウロしたくない、という方にも最適です。


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・旅行の時にも、これなら自販機コーナーまでビールも買いにも行けるし、温泉旅館なら、売店や大浴場、食事処などにも行けます。

浴衣ってかわいいけど、あれで食事をしたり、マッサージを受けたり、カラオケから卓球(!)までするのは苦手(どうしても着崩れてしまう・・・)、でも、温泉に入ったあと一人だけ外出着に着替えるのも場違いだし・・って時に大いに役立つはず。


・袖丈、ズボン丈に加え、股上と上着丈も長めにし、お腹が冷えないよう工夫してるので、冷房の効き過ぎが多いホテル泊にも最適です。


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それとこのパジャマ、目的外のものはできるだけ省いています。

襟元や袖口の同色ステッチ以外は装飾もなく、極めてシンプルです。ポケットも、洗濯した時にそこだけ乾きにくくなるし、フレアラインにも影響するので付けていません。

すべての洋服についている背中上部のタグまで、無理を言って外していただきました。せっかく気持ちいい生地なのに首の後ろにタグなんて付けたくなかったから。

代わりに左袖口に“ちきりん”の“C" マーク刺繍が(超さりげなく)付いてます。

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↑縫い目の丁寧さ、細かさに注目。これが、日本製・縫製品のクオリティです


実は、

これまで「ちきりんさんお勧めのパジャマを買いました!」と言われる時、その大半が「お母さんにプレゼントした」とか「義理の両親に贈りました」って話だったのが、ちょっとだけ気にかかっていました。

もちろんそれは嬉しいことです。大事な人へのプレゼントに選らんでもらえるなんて、とっても光栄です。


でも、こうも思ってたんです。

「これはぜひ、自分のために買いたい!」と思ってもらえる商品があればいいのにって。


確かに極上素材とは言え、1万円もするパジャマを自分のために買うのは勇気が要るでしょう。

でも、蒸し暑かったり、冷房が気になって快適な眠りを得るのが難しいこの季節こそ、まいにち頑張って働き、頑張って子育てし、頑張って生きてる自分のために、極上のパジャマを手に入れてぐっすり眠って欲しい。

たまにしか着ないアウターに 1万円出せるなら、毎日着るパジャマにこそ、投資してほしい。

そう願いながら企画しました。


綿の Tシャツを着て寝てる人、多いと思うけど、二重ガーゼパジャマを着ると、平織りの綿 Tシャツがいかに湿気を溜め込む素材だったか、気が付いてしまいます。

だから今回のパジャマは、多くの女性に「自分のために買おう!」と思ってもらえるモノにしたかった。

毎日着るものだからこそ、ちょっといい物を、自分自身にもプレゼントしてもらいたいな、と。


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私は、今回の企画から報酬を受け取っていません。一瞬だけ「もしかして、ブログ界の神田うのさんを目指すべき!?」などと“目にドルマーク”が浮かんだけど、止めました。

こんないい商品に仕上がったのに、小銭を集めてる場合じゃありません。自分が「サイコー!」と思えるものを、多くの人に共有したい。それだけです。


最初の製作分は限定数だと思うので、「これぞ!」と思った方は、早めにお買い求めください。初回製作分なら 7月上旬には届き、ひと夏たっぷりお楽しみいただけます。

今回は女性用のみで、色もネイビーのみ、サイズは Mと L。きちんと感は出してますが、パジャマですから全体にゆったりした作りです。

ブログ読者には男性も多いのに申し訳ないのですが、これが売れたら次は男性用の企画もあり得るかもなので、今回のパジャマがお近くの女性にいいな!と思われた方は、ぜひプレゼントにご活用ください。


ちきりん初のコラボ商品企画、プロセス含め、ほんとーに楽しかったです。突貫製作に快く応じてくださったパジャマ工房のみなさん、ありがとうございました。そして、私にこんな機会を与えてくださる熱心なブログ読者の皆様にも、心から感謝しています。


そんじゃーね!


お詫び

初回生産分( 7月上旬発送分)が、発売開始後、数時間で売り切れてしまったため、急遽、再生産を手配、先行予約( 7月下旬発送分)を始めました。


しかし、現在はそちらの予定数も、売り切れてしまったようです。お買い上げいただいた方には心から感謝しています。


一方、買いそびれてしまった方には、大変申し訳ありません。再々販は、生地調達のタイミングの問題もあり、8月となる予定です。


楽天の販売画面では、在庫表示「×」の下にある「再入荷」という文字をクリックすると、「再入荷の際に、メールでお知らせを受け取る」というオプションが選択できますので、次の入荷を待たれる方は、この機能をご活用ください。


→ 2015/8/24追記)  発売が再開されました!


<ご購入はこちらから>

楽天販売サイト ↓


アマゾン ↓

※送料込み、税込みでの価格は、楽天でもアマゾンでも同じ( 9990円)です。



楽天パジャマ売上げランキングでは、2日続けて 堂々の1位!

↓  (デイリー 2015/06/25 & 26 )

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実質 2日間しか在庫がもたなかったにもかかわらず、週間ランキングでも 1位 = 他のパジャマの 1週間分の売上数より、このパジャマの 2日分の売上数の方が多かったというコトです。

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アマゾンでは、発売当日、パジャマ部門 1位はもちろん、なんとレディースファッション全体でみても 1位! 凄すぎ・・・

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2015-06-20 次回の目標は「はい」を減らすこと!

今年の春から月に 2回ほど(隔週水曜日の夕方 7時から 8時まで)、東京 FM のラジオ番組でコメンテーターをしています。“タイムライン”という“時事ニュース+”みたいな番組です。


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(↑スタジオ)


「今年は何か新しいことやってみたいなー」と思っていたし、「ちきりんさんならバッチシですよ!」とおだてられ、「あっそう?」って感じで軽く引き受けたのですが、やってみたら・・・

なにこれ、難しいやん!!!  

と、四苦八苦。


特に最初のオンエア日だった 4月 1日は、“あまりにあまりなデキ”で、関係者のみなさんに大きなショックを与えてしまいました。


てかね。私自身は自分が上手く出来ないことにチャレンジして、失敗して、学んで、ちょっとずつ上達するっていうプロセスは嫌いではありません。

日頃から読者の方に「できないことにチャレンジしよう!」とか「失敗から学ぼう!」とか言ってるわけで、自分自身が得意なコトしかやらないようではお話しになりません。


でもそのとき反省したのは、私はそれでよくても、この日は数年ぶりに番組をリニューアルした初日で、その番組をずっと作ってきたスタッフの方にとっては、とっても大事な日だったんだと(番組が終わってから)理解したからです。

しかも(たぶん)あたしはそれなりに期待してもらってた。

だから番組が終わって、関係者の方がみんな集まってきて、なんとも言えない空気がその場を漂ったとき、私は心から反省しました。

みんながとっても大事にしているものを、私の怠慢で台無しにしてしまった気がしたからです。


しかも前に働いてた外資系企業だと、こういうとき、ものすごく率直なフィードバックが飛んでくるんです。俗に言う「ボコボコにされる」ってやつですね。

それはそれでつらいのだけど、この時は別の大変さを感じました。


だって番組関係者の方が、私をボコボコにできたりするはずがありません。

「もうちょっとゆっくり話していただけたら、それだけでかなりよくなると思います」とか、


「 CNN みたいですよね。夕方の番組なんでもうちょっとリラックスできる感じがあったほうが・・・」とか、


「せっかくの生放送なので、こんにちはではなく、こんばんはと言って頂けると・・」


「もうちょっと会話のキャッチボールがあれば・・・」


「できればラジオの世界をもうちょっと知っていただいて・・・」


みたいな、ほんとーに気を遣った形で(それでもたっぷりの)アドバイスを貰い、あたしは帰り道、久々に本気で反省しました。


★★★


私は、作文は子供の頃から得意だったけど、話をするのが得意だったわけではありません。

加えて長い間、少々話し方が適当でも、聞き手側がずば抜けて高い文脈理解力でそれをカバーし、こちらの言いたいことを完璧に理解してくれるという環境で働いてきたので、「順を追って、誰が聞いてもわかりやすくしゃべる」というスキルが身についていません。

そしてその拙さを“言葉の数”で補うため早口で話し、それが続くと声がキンキンしてしまうんです。


唯一プレゼンテーション能力については、仕事に必須のスキルだったため、あれこれトレーニングも受けたし、何度も練習することで、かなりマシになりました。

だから講演で話をするだけなら、何百人のホールでも緊張しないし、自分なりの及第点レベルで話すことができます。


でも、それ以外の「話す」は今でも不得意です。

たとえば講演なら聴衆の反応のみに集中すればいいのですが、「観客が入ってる会場での対談やトークショー」だと、気にすべき相手が複数になり、一気に難易度が増します。

「対談相手」と「聞きにきているお客さん」という、全く異なるふたつの相手に向けて上手く話すのは、私にはまだかなり難しいんです。


ましてラジオの場合、聞き手の表情も見えないし、そもそも私はそれがどんな人達なのか、想像もできてない。

だから、

あきらかに「得意じゃないことだ」とわかっていたのに、たいした準備もせずに初日に臨んで玉砕し、ほんとーに申し訳なかったわけです。


★★★


んで、それ以来、他の方の番組を聞いて勉強したり、オンエア後に自分の出演した回を聞き直して直すべき点を挙げたりしてるのですが、

今日はそのプロセス自体をみなさんに公開することにしました。


私の出ている番組は、東京 FM なので、ラジオとしては関東圏の方しか聞けません。ただし、放映後何日かは、こちらのサイトで(たぶん全国どこからでも)聞くことができます。(ただし PC からのみかな)

→ 東京 FM Time Line 番組サイト


※ 6月 24日 追記)番組の保存期間が過ぎたため、既に下記の方法で当該放送分をお聞きになることはできません。ご了承ください。

そのページの右上にある、下記の部分で、

・下の白い○の中にある日付の矢印を、上部の赤枠の中に“6月 17日”と表示されるまでクリックして動かし、

・再び、下の白丸の中、矢印の先にある 1 をクリック

すれば先日の放送のうち、音楽や交通情報などを除いた番組全体がお聞きになれます。

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さっきそれを聞きながら、「自分による、自分のための、自分に向けた突っ込みメモ」を作りました(下記)

みなさんもコレを見ながら聞いて頂ければ、めっちゃくちゃ笑っていただけると思います。

・「はい」「はい」言い過ぎ。なにこれ・・・

・相づち打ったことないのか、あたし。

・語尾が「発言」っぽいんだよね。コメントしてる感じじゃなくて。「○○でーす。○○と思いまーす。終わり」みたいな

・ちょっと早口? (電話インタビューの時の)

・「なるほど」ばっかり。相づち系の語彙が少なすぎです。

・質問が途切れがち(独立しすぎ)じゃない? 相手の発言にたいして、更に聴くっていう感じになってない。(後半はちょっとそういうの出てきた タブレットの話のあたり)

・うーんみたいな、ぼんやりした声、変です。相づちになってません。

・笑うのとかはいいかも。

・すごいぼーっとした人みたいに見える(聞こえる)よね。まあ、それはいいのかな。そのほうが?

・後半のゲストとの会話のところは、自然な感じでいい感じ。

・相変わらず「はい」多い。ひどいなー

・「うん」ってどーなの?

・「はい」と「なるほど」しか言えない私です。

・あと「うーん」も変。

・「はい」って何回言ってるんだろ。40回くらい? 60回くらいかな。

・多すぎ!!! 静かに聞け! (あたし)

・低い声なのに、時々キンキンするよね。これはやめたい。

・でも最後のほうが最初のほうよりいい感じ。


そしてぜひ、どうやったら、

・よりわかりやすく、

・より親しみやすく、

・より心地よく聞ける話し方になりそうか、

アドバイスをいただけるとありがたいです。


あと、「はい」「なるほど」「うーん」以外で、もうちょっとマトモに聞こえる相づちの候補も!


★★★


このエントリ、書こうかどうか、ずっと迷っていました。

なぜなら私にとっては「あたしだって失敗しながら学んでるでごじゃるのよ!」ってアピールできるいい機会なんだけど・・・

番組スタッフの方にとっては「うぎゃあ。そんなことをアピールされても・・・」って感じだろうなと思ったからです。


でも。さっき自分がでた回の録音を聞きながらメモをとってたら、「やっぱ公開すべきでしょ」って思いました。


世の中には、成功してる人をみて、「あの人は自分なんかとは違う。なんでも上手くできるんだ」と思い込んでる人がたくさんいます。

でも、実際にはそんな人誰もいない。どんだけ成功してる経営者だって、芸術家だって、アスリートだって、みんなたくさんの失敗をして、今の場所にたどり着いてる。

ましてや私も含めごく普通の人が、失敗せずにできるようになることなんてありません。


でもそれは「成功した後」だけみると、なかなかわからないんです。見えないんだよね。

だから、「失敗してる最中にそれを見せる」ってのは、きっと意味がある。

と思ったんです。


マーケット感覚を身につけよう 』にも書きましたよね。

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どうぞみなさん、私の拙い“しゃべり”を大笑いしながらお楽しみください。

そして、なにかアドバイスがあれば教えてください。


今日のエントリのタイトルは、録音放送を聞いていただいた方には、心から納得して頂けるタイトルになっていると思います。


そんじゃーね!


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2015-06-18 自治体が高齢者を取り合う時代

日本創生会議という政策提言集団が、いい仕事をしていて素敵です。

2011年の東日本大震災の後、元総務相で岩手県知事でもあった増田寛也氏を座長として発足した政策提言グループで、

特に大きな話題になったのが、昨年 5月の「若年女性の流出により、2040年には全国 896の市区町村が、人口減少による消滅の可能性がある」としたレポート。

これ、インパクトが大きかった理由は、「消滅可能性都市」の個別名を列挙したことにあります。


今後は日本の人口がどんどん減っていく、だから全自治体が今までどおりの人口を維持するのは不可能。それはみんなわかってる。

とはいえ一般論としてそう言われただけなら、「大変ですなー」とか、他人事みたいなことを言ってても済んでしまう。

ところが、具体的に「あんたの市は無くなるでごじゃる」と名指しされたら、「大変ですなー」とは言ってられない。さすがに当事者意識が出てくるでしょ。


★★★


その組織が出した今年の提言が、「東京圏高齢化危機回避戦略」で、簡単に言うと、

・これから、千葉県、埼玉県、神奈川県など(東京圏)で、医療・介護需要が急増する。


・それらの地域では、医療・介護従事者への求人が非常に多くなる(人の争奪戦が起こる)。


・一方、地方では医療・介護需要はそこまで増えないので、このまま放っておくと、地方から東京圏へ、医療・介護従事者が大量に流出する。


・すると、地方の人口減少が更に加速する。


・これ(=地方の更なる衰退)を防ぐには、一大産業である医療・介護産業を地方に維持すべく、東京圏から客(=医療・介護を必要とする高齢者)を呼び込む必要がある


「東京圏高齢化危機回避戦略」報告書

 同 「図表集」

ってことです。


この提言について、

「東京で行き場がなくなった高齢者を地方に押しつけるなんてケシカラン!」とか

「高齢者を地方に追い出すのか!?」などと、

トンチンカンなこと言ってる人がいますが、そういう話ではありません。寧ろ逆なんです。


高度成長期には東京圏にだけ建設需要があり、地方にはそこまでの需要はなかった。だから建設現場で働くため、地方からどんどん東京に人が集まったでしょ。

あれと同じコトが、今後は医療&介護分野で起こりますよ。地方に客(高齢者)を呼び込めないと、働く人がみんな都会に行っちゃいますよ。大変ですよ。って話です。


つまり日本創生会議は

昨年の提言で「若い人を東京一局集中させずに地方にも呼び込もう!」と言い、

今年は「高齢者を東京一局集中させずに地方に呼び込もう!」と言っており、

一貫して「地方に人を呼び込む方法」を提言してるわけです。

元総務相(昔なら自治相)であり、岩手県知事だった方が座長なんだから、当たり前と言えば当たり前ですが、この組織は常に、「地方をなんとかしなければ」目線です。


このため、この提言に対する地方と都市部の自治体の反応は、真っ二つに分かれています。

 移住先に例示された自治体は総じて歓迎ムードだ。大分県別府市は「評価されたことは正直にうれしい。交流人口を増やし、別府を気に入ってくれた人に定住してもらう」(企画部)と語る。


 人口が年約3千人のペースで減少し「消滅可能性都市」にも挙げられた北海道函館市も「医療施設が充実し、介護面でも有料老人ホームなどには空きがある」(企画部)と歓迎する。


 一方、神奈川県の黒岩祐治知事は4日、「移住策には違和感を覚えざるを得ない」と不快感を示した。


東京都の舛添要一知事も住み慣れた場所で暮らす重要性をかねて指摘している。高齢者が地方に流出すれば、経済の活力がそがれ、税収も減るとの危機感もある。


日経新聞より )


つまり今や高齢者は、「他の自治体に押しつけたい邪魔者」などではなく、

「貴重な人口ソースであり、今後の一大産業となる医療・介護業界の主要顧客」

として、都市部と地方の自治体が取り合いをする対象なわけです。


★★★


そういえば最近は「地方に移住する若者が増えている」みたいな特集をするメディアも多いけど、んなもん数としては“びびんちょ”(めちゃくちゃ少ないという意味の関西弁?)で、今でも東京中心部には、どんどん若い人が流入しています。

今回の資料集によると、2014年に東京 23区では 5万人以上も人口が増え、その大半が 10-29才の若者でした。東京の「若者を呼び寄せるパワー」は今でも圧倒的なんです。

それに、10年後(2025年)には 20代の人数が 1176万人なのにたいして、75才以上人口は 2179万人とダブルスコアに近い多さなんだから、人口減少に悩む地方の自治体が(来て欲しいのは若者だけ、などと言って)高齢者を無視するなんて、できるはずがありません。


というわけで、これから地方の自治体は、地元の雇用を守るため、

「我が市は高齢者にこんなにやさしい環境です!」と必死でアピールし、様々な優遇策を打ち出し始めるはず。

今まで「我が市は工場立地にこんなに向いています!」と必死でアピールし、様々な優遇策を打ち出していたようにね。

(もちろんいずれのケースでも必要になる財源は国から貰うという前提で)


でも、

他の産業は維持できず流出させてしまったのに、医療・介護業界だけは維持できるって考えるのは、ちょっと甘くない?

工場なら優遇税制とかで誘致できるけど、マーケット感覚無くして、長年 都会で暮らしていた高齢者を誘致するのはかなり難しいはず。

そういう人達が何を求めているのか、彼らのインセンティブシステムを深く理解し、求められているものを供給する、そんなことができてる自治体なら、今でも衰退してないって気もします。


そんじゃーね。


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/

2015-06-14 国と個人

国と個人の関係は、歴史に規定されます。

日本人が国にたいして極めて大きな信頼をおいているのは、過去において政府が(概ね)個人にとって「頼りがいのある存在」だったからでしょう。


日本ではときに、「個人は国のために存在するとでも思ってるのかな?」とさえ感じます。

昔は「お国のために死ぬ」ことが美化されてたし、最近でも「年金制度が破綻するから少子化対策をすべき!」みたいな論調があります。


私は、「個人が幸せになるために国があるのに、国が繁栄するために個人に子供産め!みたいなこと言うのって、本末転倒」と考えてるわけですが、

自由な個人生活より年金制度の方が大事だと(本気で)思っている人も、いそうだし、

何かあるとすぐに国の責任を問うたり、制度を改正しろ、国が取り締まれ! と求めるのも、裏返せば「国とはしっかりしていて当たり前」と考えているからですよね。


国への信頼感が低い場合、国民は、

・金の現物を保有する、もしくは、ドル札を持ち歩く (最近ならビットコイン?)

・家族や親戚の誰かを、海外に住ませる

・海外の金融機関に預金をする

・自国の新聞を読まない(メディアは国家の広報誌だと思われているので)

・国を相手に訴えたり、国の制度にたいしてアレコレ議論したりしない

のですが、いずれも日本人には当てはまりません。

日本では金やドルを買う場合でも、何の疑問も持たずに取引仲介会社や銀行口座に置いてる(=自国の金融制度を信じてる)ので、結局は「お上」を全面的に信じているわけです。


途上国や内戦の多い国では、身なりは貧しいのに、金の指輪やネックレスを付けてる人も目立ちます。

彼らは、国家も金融制度(銀行)も信じておらず、「いつでも身一つで海外に逃げる覚悟」を持ってるおり、小金がたまると(貯金なんてせず)せっせと金のアクセサリーを買うのです。


★★★


今年 5月に チューク諸島(ミクロネシア連邦のチューク州) を訪れたとき、国と個人の関係について考えさせられました。

チューク州の人口は、200以上の全部の島を合わせても 5万人ほど、最大の島であるワーロでも 1万 5千人ほどしかいません。現地在住 30年近いガイドさんの説明に寄れば、


・現地の人の多くは、生まれてから死ぬまで、一度もチューク州を出ない

・だから住民登録も戸籍もパスポートも必要ない


・義務教育はあるが、教育を受けても受けなくても生活が変わらないので学校に行かない子も多いし、親も、子供を学校に行かせる意義を感じない。だから読み書きができない子も珍しくない。


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(本エントリの写真はすべて2015年5月にチュークにて撮影)


・南国なので、タロイモや果物などが(人間が手を入れなくても)どんどん育つ。それを食べていれば、現金収入は不要

・当然、一生に一度も税金を払わない人も多い。(現金収入がなければ、税金を払う必要も無い)

・現地の人には働く慣習がないので、ホテルや官公庁のビルを建てるときは、フィリピンなどから労働者を連れてくる。現地人の職を奪っているのではなく、島にはそんな仕事ができる人はいない。


・なので、大人でも働いてない人がたくさんいる。てか、継続的に働いてる人は、それだけでスゴイと思われてる。

・ただし働くといっても、週に数日、一日に数時間ほど

・観光客向けのホテルで働けば、ドルでチップがもらえるので、それだけ働けば十分

・というか、島には何も売ってないので、そんな無用に現金を稼いでも意味が無い


・多くの人が 10人から 20人くらいの大家族(親戚一同)で、雨露が防げる程度のトタン壁の家や洞穴に住んでいる

・家は洞穴を利用したり、植民地時代の家を利用したり、その辺で集めてきた材料を使って、家族や近所の人で組み立てる(?)ので、ほとんどお金は要らない。(土地は国から貸与)


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・思春期になった男女には自然と子供ができるが、大家族の中で育てるので、「どの子が誰の子供か」という意識が薄い。大家族の中には常に幼い子供が何人かいるので、みんなで育ててる、という感じ。

・「日本では子育てにお金がかかる」と言っても、おそらく誰も(どういう意味なのか)理解できないと思われる。


・子供も大人も一日中、遊んだり、おしゃべりしたり、散歩したりして過ごす。一生ぜんぶがそういう感じ。

・趣味とか、生きがいとか、目標という概念もない。

・一生に一冊も本を読まない人も多い。

・教会は身近な存在。祈ったり、結婚や葬式をするし、なけなしの募金もする。


教会↓

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・20人もの家族で住んでいると、誰かひとりくらいは料理が得意だし、別の人は大工仕事が得意、子供好きで(自分の子じゃなくても)育児を進んで担当する子もいれば、高齢者や病人に優しく接する子供もひとりくらいはいるので、国が育児支援や介護制度を整備する必要はまったくない。


・電気の来てない家が多いので、冷蔵庫やテレビなどはない。洋服もひとり二枚とかで、そもそも所有物の量が少ない。 (なのに歩きスマホしてる若い子がいるんだけどね)

・ゴミという概念もない。モノが少ないのでゴミは出ない。今要らないモノも、その辺に放っておけば、そのうち何かに使えたりするので、捨てる必要は無い。

・つまり「今使わないモノがその辺に放置されている」だけ。私たちが見ればゴミに見えるが、ゴミではない。

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・町には数件のお店があるが、売っているのは食べ物(魚や調味料など)と消耗品(洗剤、紙など)くらい。

・アルコールは、観光客は飲めるが、現地の人が飲むのは禁止されてる時期もあったし、あまり好ましくないとされている。現金も必要なので、「飲みに行く」という概念はない。


・何かが壊れても、修理に必要なパーツが手に入らないので、壊れたものは壊れた場所で放置される。(島のアチコチに動かなくなった中古車が放置されてる)

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・たまに大家族の中から、「海外で勉強したい、働きたい」という人がでてくる。すると、パスポートを取って海外に行く。

・その子が飛行機で 2時間ほど離れたグアムのホテルスタッフとして働けば、アメリカ人としての給与がもらえる。

・その子が家族に一ヶ月 10万円の仕送りをすると、家族一同( 20人とか)はまったく働く必要が無い。そういう子が、家族の中で( 30年にひとり現れれば!)後は誰も働かなくてもいい。

・ときには出稼ぎにいった兄が、妹にスマホを買ってあげたりする。(これが歩きスマホの子供がいる理由)


・貯金という概念はないので、仕送りで得たお金はさっさと使う。そもそも誰も銀行口座なんて持ってない。

・「将来、お金が必要になる」という発想も無いし、実際チュークでは、そんなものが必要になることはない。


・電話も電気もすべてプリペイド方式。電気が使いたい場合、最初に「電気代」を払って、その代金の分だけ電気が使える。「最初に使って、後から料金徴収」なんて方式では、誰もお金を払わない。

・雨が多いので、家のそばにデカイ瓶を置いとけば、濾過して飲み水に使える。水には困らない。


植民地時代の家を利用した住居。右側の黒いのが、雨水をためるタンク↓。その左にある黒い碑は、日本人兵士の慰霊碑で、これを観せてもらうのに、ひとり 5ドル払う。(彼らにとっての生活費なんでしょう)

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・降水量が日本の倍で、めちゃくちゃ雨が多い。それなのに道の大半が舗装されてないので、多くの道は水たまり(池?)状態でドロドロ&ぐちゃぐちゃ。スゴク歩きにいし、自動車も時速 10キロほどしか出せない。

・が、それらを「問題だ!」「国が何とかすべきだ!」と考える人はいない。

・ていうか、大半の人はこの島以外に行ったことがないので、「道は舗装されているものだ」と思ってないかもだし、自動車が実は時速 100キロで走れる機械なのだってコトも、知らないかもしれない。


・一番いいホテルでさえテレビもうつらないので、ドラマでそういう都会を見ることもないです、

・テレビは自分で設備を整え、毎月お金を払えばアメリカのケーブルテレビ(英語のみ)が見られる。がそんなもん見てる一般住民はいません。英語もわからんし。

・あたしが行ったときは、インターネットどころか普通の電話回線も死んでて、全く日本と連絡がとれませんでした。

・空港にあるネットカフェが唯一、回線がつながっていたらしく、旅行業に携わってる人は(予約メールの確認などのため)毎日、空港まで行ってた。

・世界のどこかで戦争とか起こっても、みんな気が付かないかも。


・税金も払わないし、住民登録もしないし、学校も行かないので、大半の人にとって「国」が自分の人生に関わることはない。

・国という概念を大半の人は(一生の間)ほとんど意識しない。自分たちの人生に関わる唯一の他者は「教会」。


昔の軍壕を利用した地元の人の住居 ↓

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・もちろん貧富の差はある。高位の行政官や政治家、事業で成功している人は、海外にも行くし、お金もある。

・が、そういう人の数は少ないし、自分たちが住んでいる町で贅沢をするわけではない(チューク州には贅沢できる場所はないので、お金は海外で使う)ので、一般の人の目に入らず、したがって「狡い」「ねたましい」という感じにならない。

・たとえば、島の道は未舗装で常にドロドロなので、お金持ちも、ここでいい車を買って乗り回そうとは考えない。だから一般の人から見ても、観光客である私からみても、「すごい貧富の差!」は目に入らない。

・チュークのお金持ちにとっては、贅沢な暮らしとは「島を出て行き、他の場所に住むこと」なのでしょう。


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↑左のトタン屋根の建物が住居。ものすごく眺めのいい場所


・事業をしている人や外国人(大半がダイバー向けの観光業に従事)からは、営業免許や自動車保有税的な形で、税金が徴収されている。

・税金とは、そういう「特殊なコトをする人」から徴収するモノであって、一般国民の、所得や資産や売買から徴収するものではない、と思われてるっぽい。


・しかもそんな税金の額なんてたいした額ではないので、基本的に国が何かをする(予算を組んで道を舗装するなど、インフラを整えて、国作りをする)という概念も薄い。(無い?)

・国がなにかデカイことをするには(たとえば空港を作るとか)、税金でなく国際援助資金が使われる。そのお金で、海外から連れてこられた労働者が工事をする。


・独自の通貨を持たず、米ドルを使っているので、金融政策という概念もない。

・(義務教育制度など)最低限の法律や制度は米国から借りてきてるので、自分たちでルールを決めて国を治めていく、という感じでもない。


・たまーに、スゴク勉強ができる子がいれば、アメリカの大学に進学するケースもあるが、余りにレアケースで現実味がない。また、そういう子は若くして島を出たら戻ってこないので、家族の中でも「そういえば昔そういう子がいた」というレベル。


だそうです。


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どうすか?


個人はともかく政府に関しては、マトモに税金を集め、道路を整備してもっと観光客を呼び、現地の人の仕事や収入を増やせばいいじゃん、と(最初は)考えたのですが、

仕事なんて増えても住民は誰も喜ばないので、意味が無いんですよね。

道はたしかに歩きにくいし、車も時速 10キロでしか進まないけど、毎日暇なのだから、急いで移動する必要もないし。


こういう話を書いてると、ごく自然に「国民」ではなく「住民」と書きたくなる。

あたしがこのミクロネシアの島で感じたのは、「国と個人の関係性」ではなく、「国の不存在」だった。


国なんて存在しなくても人間は生きていけるし、普通に死んでいく。

チュークの人に言わせれば、「ところで国が必要な理由は何ですか?」って感じなのでしょう。ホント、彼らの生活には国なんて必要ない。


てか昔、アメリカと日本という国の戦場にされて大変な目に遭った彼らからすれば、「国なんて戦争するようなモノ、迷惑なだけ」なのかも。



日本ではかって「お国のために死ぬ」なんて無茶な概念さえ、意義あることだとされていました。

今でさえ「日本(という国)が経済大国であること、国際競争力を維持することがスゴク大事だ!」と考えている人はたくさんいる。

教育政策も産業政策も、そういう視点で語られることが多い。


いったい私たちはなんで、そこまで「国」が大事だと思うようになったんだろう?

世代的に、「国が大事」みたいな教育をたくさん受けた記憶もないのにね。


そんなことを感じた、チューク州への旅でした。


そんじゃーね



あなたも“ちきりん”と一緒に旅した気分が味わえる。

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2015-06-10 新幹線のトイレを飛行機にも!

今日はコレのお話し

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新幹線のトイレですね。J R 東海の。

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新幹線のトイレに入ると“常に”こんな感じなんですよ。

びっくりでしょ?

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「何がびっくりなのか、わからない」って方は、もう一度、よーく上の写真を見てください。

トイレに入ると、“常に”こうなってるんです。


ねっ! びっくりでしょ?


・・・・


注目すべきは、便座(座る時に使う“わっか”部分)が、跳ね上がってることです。

新幹線のトイレは、入ると“常に”こうなっているので、男性で「立って使う」人は、このままスグに用が足せるんです。


なんで?


前に入ったのも男性で、使用後、そのまま出て行ったから? 


違います。もしそうなら、前に使ったのが女性だったら、便座が下がってる可能性があるでしょ。でも、そういうことは起こらないんです。

便座は“常に”上がっています。


なぜか? 種明かしは後にして、じゃあ女性を含め、「座って使いたい人」はどうするのか。手で便座を下げる必要があるのか、というと・・・


そんな必要はありません。


なぜなら壁にこういうのがあるから↓

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上は使用後に水を流すためのもの、下は、便座を下げるための非接触スイッチ(センサー)です。


左側の下にある四角い白枠の真ん中に手をかざすと、便座が自動的に下がってくるんです。ゆっくりと。

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で、便座が下がった後トイレを使用すると・・・便座は下がったままの状態ですよね。

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壁についてるのは「便座を下げる」スイッチだけなので、「便座を上げる」には、手で持ち上げる必要があるんでしょうか?


それ、めんどくさくない?


触りたくないよね?


大丈夫。


あなたは何もする必要はありません。そのまま、外に出て行けばいいんです。


だってね。外に出るためには、ドアの鍵を外す必要があるでしょ。


これ↓ トイレのドア内側に付いてる鍵です。

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トイレから出るためこの鍵を外した瞬間に!

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なんと、便座が上がるんです!!!! 

↓ ※

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そう。これが・・・最初にあなたがトイレに入ったときに目にする光景です。


便座は“常に”上がってる。


★★★


ちなみに、ドアから出る時、便器は後ろにあるし、動作音もほとんどしないので、便座が自動で上がっていることに気付いてない人も多いと思います。

あたしは入るたびに便座が上がっていること、壁に「便座を下げる」ボタンはあるのに「上げる」ボタンがないことなどから、

「なにかが変だ・・・」

と不審に思い、ある日、出て行く振りをしてフェイント掛け、さっと振り向いたところ初めてソレを目撃して驚愕しました。

便器を見て「ええっ!」と声を上げたのは、人生初めてです。


★★★


さて、まずは WHY ? 

なんでこういうシステムなのか?


この仕組みなら、便座が上がっているか気にせず立って用を足し、便座を汚してしまう不届き者がいても、便座が汚れないんです。

これ、長時間フライトの飛行機のトイレで、イヤな思いをした(主に)女性はたくさんいるのでは?


海外の公共施設では、どうせ便座なんてスグに汚れてしまうため、「便座のないトイレ」まで存在してるほどです。(中腰で用を足すことになり、めっちゃ大変)

その点この新幹線のトイレでは、不特定多数の人が使っても、少々マナーの悪い人がいても、便座が汚れる可能性が非常に低い。


皆が皆、やってくれるとは限らない 「上げる」 作業を完全自動とし、


使う人は必ず自分でやってくれる 「下げる」 作業を(半)手動とする。


このアイデアが新幹線クオリティ!


てか、利用者が快適なだけでなく、東京から博多までの運行途中で掃除をする必要もなくなるので、オペレーション上でも大きな意味がありますよね。


★★★


で、So What ?


このトイレのシステムを、世界中の飛行機会社に売り込んで欲しい。


あたしはこれ、ウォッシュレットに匹敵する素晴らしいトイレ系発明だと思ってるのですが、まずは


・誰が考えついたの?

・どこの会社が作ってるの?

・新幹線以外の場所にもあるの?

・なんで飛行機会社は採用しないの? コスト? それともスペースの問題?


などについて知りたいところです。


ちなみに飛行機内のトイレは、入り口の鍵と内部の照明がリンクしていて、トイレに入って中から鍵を閉めると明るくなり、出て行くために鍵を開けると暗くなります。

これは省エネ目的と思われますが、鍵の開け閉めで何かをコントロールしようという発想は既にあるのだから、ぜひこれもやってほしいなと思います。


★★★


というわけで、新幹線のトイレに入ると“常に”こんな感じなんです。

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びっくりでしょ!?


そんじゃーね。


※実験的に、ドアを閉めて中に入り、鍵を閉めずに非接触スイッチで便座を下げ、その後、ドアを開けて外に出たら、便座は下がったままでした。


これにより「ドアを開ける」ではなく、「鍵をはずす」という動作が「便座を上げる」トリガーになっていることがわかりました。


従って理論的には、鍵をかけずに便座を下げて用を足す人がいれば、便座は下がった状態のままとなります。


とはいえ、鍵をかけないとドア外の表示は「あき」のままだし(=鍵をかけると「使用中」に変わります)、実際、外から開けられてしまうので、そんなことする人は(私のような実験をしてる人以外は)存在しないと思われます。


なお、北陸新幹線などは別のシステムとなっています。この話はまた後日。


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2015-06-07 今年のソーシャルブックリーディングは8月8日!

毎年、秋に行っている “ Social Book Reading with Chikirin (SBR w/C) ” を、今年は 8月 8日(土)に行います。

これは、みんなでひとつの本を読み、ツイッター上で本の感想を交換し合うイベントで、過去 3回のイベントには多くの方が参加してくださいました。


これまでの課題図書は、

第1回(2012年) 未来の働き方について考えよう! (グローバル編)

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン
プレジデント社
売り上げランキング: 2,351


第2回(2013年) 未来の働き方について考えよう! (自分ごと編)

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
ちきりん
文藝春秋
売り上げランキング: 6,049


第3回(2014年) 人工知能について考えよう!

クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)
小林雅一
朝日新聞出版 (2013-07-12)
売り上げランキング: 6,820


そして第4回目の今年は、戦後 70周年ということで、下記を課題図書に選びました。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)
半藤 一利
平凡社
売り上げランキング: 8,139


→ 昭和史 1926-1945 キンドル版

→ 昭和史 1926-1945 楽天ブックス

近現代史に関して多数の著書のある、半藤一利さんの本です。昭和の 64年間が日本にとってどんな時代だったのか、俯瞰しつつ理解できます。

上記の前半編では、日清日露戦争を経て、日本がどのようにアメリカとの戦争にツッコンで行ったのか、どんな戦争が行われ、最後はどんな状態だったのかと、当時の日本の様子が時系列に綴られています。


単行本しかなかった時は高かったけど、今はキンドルを含め電子書籍、そしてソフトカバー版(紙の本)も 1000円以下で手に入るし、電子書籍なら文字の大きさも変えられて読みやすいです。


ページ数は多いですが、語り口調で書いてあるので、この手の本としては比較的、読みやすいと思います。2ヶ月後の SBR w/C に向けて、ぜひ早めに読み始めてくださいませ。

てかこの本は、日本人ならみんな一度は読んでおくべき本のひとつだと思います。


なお本書には「戦後編」もあり、占領下の日本でマッカーサーと天皇陛下がどう受け止められたのか、鳩山内閣や佐藤内閣は何を目指したのか、財閥解体や農地改革が何をもたらしたのかなど、こちらもとても面白いです。

が、今回のソーシャルブックリーディングの課題図書については、上記の 1926-1945年(昭和の前半版)のみとします。

昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)
半藤 一利
平凡社
売り上げランキング: 13,126

→ 昭和史 戦後篇 1945-1989 キンドル版

→ 昭和史 戦後篇 1945-1989 楽天ブックス


※課題図書はこちらではなく、ひとつ上で紹介してる“戦前・戦中編”です!


現代史に関しては、学校でも詳しく教えられないコトも多く、今まであまりちゃんと勉強したことがない、考えたことがない、という人も多いでしょ。

でも、あの頃の日本はどんな国だったのか、政治家はどんな判断をし、国民はどんな状況に置かれていたのか。

一度は考えておきたい、知っておきたい、という方に、今回のソーシャルリーディングイベントを、自分の国の近現代史を知るきっかけにして頂ければと思います。


ぜひ予定表にイベントを記載・登録しておいてください!

・第四回 Social Book Reading w/Chikirin → 8月8日(土)の午後3時から5時(予定)


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そんじゃーね!


<公開・読書メモ>

私も最初に読んでから何年もたつので、あらためて読み直しました。下記はその読書メモです。


自分用のメモなのでキレイな文章ではありません。誤字脱字をご指摘いただく必要もありません。みなさまの読書のお供としてご活用ください。


→ 『昭和史 1926-1945』 読書メモ.docx 直


→ 『昭和史 戦後篇』 読書メモ.docx 直



<追記>

・当日のツイートの多くは こちらでご覧頂けます



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2015-06-02 本に必要な4要素のアンバンドリング

それなりに売れるいい本を作るには、次の 4要素が必要です。

1.コンテンツ

2.文章力

3.企画・編集力

4.販売力


コンテンツは本に書く内容そのもので、それを言語化するスキルが文章力。

本全体のメッセージを決め、それが読者に伝わりやすくなるよう構成、タイトル、デザインなど、「書籍」という形を作り上げていくのが企画・編集力。

最後の販売力は、書店での販売力と、本人のブランドや訴求力の二つに分かれます。


よく間違えられているのですが、「これを全部もっていないと、本は出せない・売れない」わけではありません。

下表のように、私(ちきりん)は「そこそこ面白いネタ」と「かなり上手い文章力」と「本人による“それなり”の訴求力」をもっていますが、

有名企業の経営者やトップスター、一流アスリートであれば、コンテンツの破壊力が抜群、かつ、本人の知名度も「日本中が知ってるレベル」なので、文章力や企画編集力などを自分でもつ必要は全くないんです。

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(色が濃いほどレベルが高いことを意味します)


上表の三番目は、下記の著者みたいに「息子 3人を全員、東大の医学部にいれた」みたいな人のことで、こういう場合、本人の文章力、知名度、販売力なんてまったく問われません。 

他にも(加害者であれ被害者であれ)大事件の当事者となった人や、深刻な障害を持ちながらなんらかの分野で大成功した、みたいな人も同じです。

「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方
佐藤 亮子
KADOKAWA/角川書店
売り上げランキング: 484


このように、本を作って売るには 4つの要素が必要なのに、そのうちのひとつ、もしくはふたつしか持たない人だって出版を実現し、ベストセラーを出しているわけです。

てか、寧ろそういう人の本の方がよく売れてます。


なぜかって?


足りない部分を補うプロのサービスが確立しているからです。

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つまり、

<強力なコンテンツ + プロの仕事> の方が、

<ひとりが 4要素すべてを、ちょっとずつ持ってる>

なんかより、よほどいいんです。


だから本を出したいからといって、「一生懸命ブログに自分の経験を書き続ける」のが最もいい方法とは言えません。

そんなことするより、なんらかコンテンツとしてインパクトのある経験をしておいたほうが、本がベストセラーになる可能性はよほど高くなる。


ただし、いわゆる作家さん(フィクション=物語を書く人。小説家)は、最低でもコンテンツと文章力は自分で担当する必要があります。

フィクション(小説)はビジネス書や実用書とは異なり“作品”であり“芸術”なので、文章化部分をアウトソースしてそれを開示しなかったら、いわゆる“替え玉問題”になっちゃいますからね。

芸術家は、「創造」に関わる部分は自分でやらないとダメです。てか、認めてもらえない。

なのでそこを目指してるなら、こうなります。

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★★★


で、ここからが電子書籍時代のセルフ出版(自己出版)の話なのですが、

「誰でも本を出せる時代になった!」とかいって、

・自分の経験をコンテンツとして、

・自分で文章を書き、

・自分でコンセプトやメッセージを決めて、ストラクチャーし、

・自分の SNS で売る

みたいなことをする必要はまったくありません。

そんなことしても、できあがった本は全く売れなかったりします。

なぜなら、それだと往々にして・・・4つの要素が、どれも中途半端になっちゃうからです。

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別の言い方をすれば、「誰でも自分で本を出せる時代」ってのを、「すべて自分でやらなくちゃいけない時代」だと思い込まなくていい、ってことです。


たとえば、「自分は毎日ブログを書いてて、ブログ読者やツイッターのフォロアーもそれなりにいる。文章も書ける。でも、まだ学生の自分の経験なんてタカが知れている」と思うなら、

「自分の考え」なんかを本にするのは止めて、「なんかスゲーおもしろい人とか、スゲー強烈な経験をしてる人」=強力なコンテンツを持ってる人を探しだし、その人を取材して本にしたほうが遙かにいいです。

それが、下記でいう取材型のセルフ出版

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さらに、ごく普通の優等生として生きてきてユニークな経験も無いし、文章力もごく普通。

だけどフォロアーは多いし、おもしろそうなモノに気が付く能力は高いというなら、二段目にあるような企画型のセルフ出版を試みて、「他者のコンテンツを、外部ライターに文章化してもらう」って方法を試すべき。


さらには「企画自体も公募しちゃえ!」ってのが、三段目。ネットワークと影響力だけは持ってる、というなら、これでもいいでしょう。

ライターにしろ編集者にしろ、今や特定のスキルを持ってる人は、クラウドソーシングサイトを含め、ネットで簡単に探せる時代なんだから。


必要なのは、「すべてを自分ひとりで揃える必要は無い」、「自分が持ってる中途半端なモノを 4つ集めるより、他者のでいいから“スゲー”モノを探してきて 4つ揃える」ほうが、最終的な生産物の質は高くなるかも、と考える“発想の転換”です。


先日受けたデジタル出版機構の “ I Love ebook宣言” というキャンペーンのインタビューでも、そういう話をしています。

→ ブログではなく、電子書籍で出版するメリット by ちきりん


世の中には、「めっちゃスゴイ」コンテンツでありながら(本人が文章化する能力も意思もないため)言語化されてないって経験がいくらでも存在します。

文章を書くのが好きな人は、安い原稿料で細切れの記事を書いて生活するより、そういう“インパクトのあるコンテンツを持ってる人”を積極的に探し、取材して電子書籍を出せばいいんだよね。

もし私が今 20才だったら(=今ほどの経験を持っていなければ)、自分のコトなんて書かずそっちを狙うと思います。

っていうのが、私の“マーケット感覚 ” です。


私事で言えば、つい最近、電子書籍印税の総額が(ようやく)1000万円を超えました。

過去数年の合計額なんで、まだウハウハって感じではないけれど、電子書籍元年から 3年でこれくらいなら、未来は決して暗くありません。

「自分で本を出す」と言うのは、そこそこ生きていける規模の市場になっていくだろうと思います

ただし、「てきとーなモノを、てきとーな文章で、てきとーに本の形にして、てきとーに売って」ても、成功はできません。

全部自分でやって中途半端なものを作るよりは、卓越したものを見つけてきて組み合わせる方が上手くいく。

企業も個人も同じなのですが、「何でも自分でやる」ではなく、「自分は何に集中すべきなのか」、しっかり考えることが必要な時代なのです。


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そんじゃーね!


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