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Chikirinの日記 RSSフィード

2016-01-28 価値は “消費市場” にあり

先日おとずれた有楽町の家電量販店。

最上階には腕時計、ブランドバッグ、スーツケースや旅行用品などが売られており、中国からの観光客で賑わっていました。


そこで店員さんに「日本製のスーツケースはないの?」と尋ねる中国人旅行客を見かけました。

「これは? あれは?」と気に入ったスーツケースを指さして質問するのですが、

店員さんはタグを確認しながら、「これは中国製ですね」、「こちらはタイの製品で・・」と返答。どれも日本製ではありません。


「日本製のスーツケースが欲しいんだけど」と困った顔をするお客さん。

「日本で作られてるスーツケースはほとんど無くて・・・」と困った顔をする店員さん。


おもわず『 マーケット感覚を身につけよう! 』と叫びたくなってしまいました。


雑貨屋さんでも商品をイチイチ裏返して“ Made in China”ではないと確認しながらお土産モノを買う中国人旅行客の姿は珍しくないし、

今やカメラや家電売り場にはデカデカと「日本製!」と書かれた販売ポスターが掲げられています。

スーツケースや洋服などでも同じ要請があるのは当然でしょう。


ここで、「じゃあ、日本製のスーツケースを作れば売れるんじゃないか?」と考える人もいそうですが、それじゃダメなんです。んなもん日本で作ったら、バカ高くなるだけ。

てか、それって“ひと昔前”の作戦としては正しかったのかもしれないけど、今はホント・・・マーケット感覚を身につけよう! です。


どういうことかって?


たとえばユニクロで売られている商品。もう 10年も前から日本製なんかじゃありません。ずっと前から中国や東南アジアなど、海外で作られています。

ところが、その製造国のお店でユニクロと同じ品質のシャツやデニムが売られてるかというと、そんなことはありません。


あれだけ縫製がしっかりし、生地にムラもホツレもなく、しっかりした商品は、当時の中国には(もしかしたら今でも)存在しない。

ユニクロのお店で売られてる商品は「中国製」なのに、です。


これは何を意味しているか?

大事なのは「製造国がどこなのか」ではない。

ってことです。


大事なのは、「ユニクロが技術指導と生産管理をしている工場で作られ、ユニクロの品質基準を満たして店頭に並んだ商品かどうか」であって、「縫製工場の立地がどの国であったか?」ではありません。

他の商品も同じです。


どこで製造された商品であれ、日本の市場で売られている商品は、他国で売られている商品に比べて、圧倒的に不良品が少ないし、品質のバラツキも小さい。

たとえば、ベトナムの同じ工場で作られたカバンがアメリカと日本で売られているとしたら、日本で売られているモノの方が、縫製もしっかりしてるし色ムラも少ないし輸送時のシワも少ない、みたいなことが起こってるんです。


なんでかって?


日本のバイヤーの仕入れ基準が、それだけ厳しいからです。そしてそれは、

日本の小売店の商品を見る目がそれだけ厳しいからであり、

日本の消費者の要求水準がそれだけ高いから、です。


★★★


この本に、「日本の消費市場には国際的な競争力がある」と書きました。読まれた方はイラストも覚えていらっしゃることでしょう。


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製造国として優れてることを売りにしてればいいのは、中進国までです。

では、先進国は何を売りにするのか?


先進国は「消費市場の成熟度・洗練度合い」を売りにするんです。

典型的なのが、昔良く使われた「全米が泣いた!」という映画の宣伝コピーです。

これは、「アメリカは映画消費大国であり、アメリカの観客は長年にわたり、数多くの映画を見ている。その観客がみんな泣いたのだから、この作品は感動大作である」と言いたいわけですね。

「カンヌ入賞作品」という言葉も同じです。

カンヌ映画祭が認めた映画は、元々の製造国(映画の製作国)がどこであれ、ヨーロッパの“意識高い系”の知的階級が認めた映画だと認定されます。


同じコトは日本でも起こり始めています。

今、海外で日本の文房具は大人気です。使いやすい、可愛い、細かい工夫がメチャ便利! と評価が高い。

でもこの場合、その「製造国」にこだわる人は多くはありません。作られてるのが中国でもタイでもいいんです。


大事なことは、「日本人が考案してデザインし、日本の消費者が評価して売れている文房具であること」です。

「日本人が満足する文具なら、他国の人にとっては“ミラクル!”と思えるくらい使い勝手がいいに違いない」と世界が思ってくれる。


これが「消費市場の競争力」です。

日本の消費市場は、グローバルな競争力を持ち始めているんです。


★★★


先進国が売りにすべきなのは、「製造国としての評価」ではなく、「消費市場の競争力」です。

なぜなら、前者は工場を海外に移し、品質管理や生産管理の専門家を送り込めば、遅くても数年、早い企業なら 2年後には、海外でも同じクオリティの商品が作り始められます。

ユニクロが中国製だろうとバングラディッシュ製だろうと、問題無く高いレベルの商品が作れるのは、そういうことです。


しかーし、消費市場の競争力は数年なんて単位では決して追いつけません。

最低でも 10年から 20年、モノによっては 30年以上の「豊かな生活期間」を「一定以上の規模の人数が享受する」ことが必要です。

先進国になってからの期間が大事なので、豊かになってスグの国の消費市場は競争力を持ち得ないし、“一部の富裕層+大半の貧困層”という国でも、同じく市場の厚みが薄すぎて、消費市場は洗練されません。


日本も高度成長期に、極めて短期間の間に「製造国」として名をあげ、「日本製はスゴイ!」という評判を確立しました。

でも、「日本の消費市場がスゴイ」と理解されはじめたのはごく最近です。誰もが食べるに困らなくなった 1980年代から30年以上たってようやく、です。

それも、今はまだ文具、調理家電、化粧用品など、「細かい工夫が光る商品」ばかりです。


「全米が泣いた!」や「カンヌ入賞作品」といった評判を日本のエンタメ界、映画界が獲得できるまでには、まだまだ相当の期間や、映画鑑賞人口の蓄積が必要だし、

住宅や大型バカンスなど、買うのに多額のお金や時間がかかるものは、消費市場の成熟に必要な期間が小物より圧倒的に長いので、まだまだ「日本で売れるモノ」が世界で評価される段階ではありません。


それでも先進国がこれから“売り”にすべきものが、もはや「製造国としての質」ではなく、「消費市場の質」であることは明らかです。


昨年ジャカルタで若い起業家の方と話した時、

「アメリカで話題のコーヒーショップが日本に初出店!」と聞けば、みんな「かっこいい!」と思いますよね、

でも、「インドネシアで話題のスイーツ店が東京に初出店!」と言っても、誰もかっこいいと思ってくれない。それが悔しいんです。

と言ってました。


気持ちはわかる。わかります。

でもその背景には、「アメリカにおける、コーヒーを楽しむ文化」の成熟度が(競争力の源泉として)存在しているわけで、インドネシアがアメリカに追いつくには、まだまだ相当の期間が必要でしょう。

それは「組み立て・製造業」でインドネシアがアメリカを抜くのとは、比べようもないくらい難しいことなんです。


消費市場が国際競争力をもつには時間がかかります。

「国民の大半が豊かになってから数十年」かかる。


だ・か・ら・こ・そ

日本を含め先進国は「製造国としての高いレベル」ではなく、「消費国としての高いレベル」を売りにすべきなんです。

消費市場の質において中国が日本を抜くなんて、数十年単位でありえないんですから。


★★★


冒頭に書いた、スーツケース売り場の話に戻りましょう。

あの話を聞いて「じゃあ日本製のスーツケースを作れば売れるんじゃないか」と言う発想は、時代遅れです。


そうではなく

「お客様。大事なのは工場の立地ではありません。


こちらの売り場に並んでいる商品は、すべて日本で企画デザインが行われ、日本基準で厳しく生産管理、品質管理がなされております。


材質も日本のお客様が好まれるモノを厳選して採用し、ポケットの位置やキャスターの滑りも改善に改善を重ね、頻繁に旅行をされる富裕層のお客様から高い評価を得ております。


私どもの売り場に並ぶ商品であれば、製造国がどこであれ、世界最高水準のスーツケースだとお考えください。


一度、お使いになって頂ければ、きっと違いが分かっていただけるはずです」

と言って売るべきなんです。


そして、それを中国語で説明した文章を、売り場の奥の壁にデカデカと貼りだしておきましょう。


マーケット感覚の本には「中古品市場の競争力」についても書きました。中国から日本に、中古のブランドバッグを買いに来る旅行客の話です。

理由は「日本の市場には中古でも偽物がほとんどない。しかもきれいだ」ってこと。

ここでも、売られている商品はフランスやイタリアのカバンです。

でも“この市場で取引されている価値”は「日本の中古市場の信頼性」であって、イタリア職人が作ったカバンの価値ではありません。

後者なら中国でも売られているんだから、わざわざ日本に買いに来る必要はないんです。


大事なことは、自分たちが今、売りにすべき“価値”とは何なのか、正しく理解しアピールすることです。

いつまでもいつまでも「製造国としてスゴイにっぽん」で生きていくなんて“無理ゲー”な上、得策でさえありません。


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そんじゃーね。


<あわせて読みたい>

・「必読! スーツケースの選び方


“市場と価値”について、しっかり理解したい方へ↓


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2016-01-22 テレビ番組キュレーション by ちきりん

去年買ったテレビの全録機では、過去 2週間に放映された番組がすべて自動で録画され、

いつでも(しかも検索して!)見られるようになり、結果として今までよりテレビを観るようになりました。

メチャ便利!


※全録機の使用体験エントリはこちら → テレビの全録機スゴイ!!


そこで今日は「この番組、おもしろいよー」のご紹介です。 名付けて“テレビ番組キュレーション by ちきりん”

(タイトル名は番組サイトにリンクしてます)


まずは軽めの社会派番組から。

所さん! 大変ですよ

社会風習や日常生活、教育やビジネスの現場で起こっている“大変なコト”が取材され、スタジオで所ジョージさんを中心に数名の出演者が追加情報をコメントする番組。

10万円で叩き売られる苗場のマンションに移り住む人の事情とか、学校で使われる鉛筆や運動具が昔と大きく変わってきてる話、日本の霊柩車がモンゴルで大人気になってる話など、

「えー! そんなコトが!」的な現象をピックアップしてくれて大変おもしろい。


上田晋也のニッポンの過去問

所さんの「大変ですよ!」と似た番組ですが、この番組が取り上げるのは過去の大事件。

過激派だったり大型詐欺事件だったりトンネル事故だったり。歴史を変えた事件でもすっかり忘れてたりするでしょ。

“オイルショック”“愛人バンク““ホテルニュージャパン事件”など、「そーいえば、そんな事件がありましたね。あれって結局なんだったの?」って感じの昔の事件が深掘りされてます。

当時はよくわかってなかった事実が後から判明した、みたいなことも多く、この番組をみて事件のイメージが変わることも多いです。


★★★


日本の地上波チャンネルがほとんど報じない海外のニュースやドキュメンタリーを流してくれる番組もお気に入り。

ニュースでは、

ワールドニュース アジア

ワールドニュース アメリカ

ワールドニュース

他国のニュース番組をそのまま(吹き替えや字幕で)流してくれます。

大事件が起こったときに(たとえば北朝鮮の水爆実験などの時に)アメリカや韓国のテレビ局がそれをどう報じているのかが見られるし、

パリでテロが起こると、その日のフランスのテレビ局のニュースが見られて、とっても臨場感があります。

特に大事件がないタイミングでも、ベトナムのニュースを見てると、マンゴーの輸出とかハノイの水害とかが報じられてて、「へー、今ベトナムでは、こういうことにニュース価値があるのね」ってわかったり。

あと、スリランカの内戦中の人権侵害についてシンガポールのテレビ番組がニュースで取り上げるなど、「他国が、別の他国の事件についてどう伝えているか」ってのも、なかなか手に入らない視点で新鮮です。

たまにはいろんな国のニュースが見たい人、大事件が起こった時に他国での報道を知りたい人にぴったりです。


国際報道 2016

アメリカ経済、台湾の総選挙、ミャンマーの民主化、ジャカルタのテロ事件など、海外の大きな政治イベントや事件について、日本人レポーターが取材し、解説する番組。

こちらは、日本人目線で海外の主なニュースについて知るのにベスト。

海外おもしろニュース、みたいなコーナーも楽しい。

上のワールドニュースとは異なり、「ベトナムがマンゴの輸出を」みたいな話は特に大事件でもないので、こちらでは取り上げられません。


キャッチ 世界の視点

こちらも世界 20数カ国の国のニュースから主なものを選んで見せてくれるのですが、

・日本人キャスターによる事件の説明と、

・現地のニュース番組からのクリップを

組み合わせて見せてくれるので、初心者にはわかりやすい構成です。

慣れてきたら現地のニュースをそのまま見られるワールドニュースのほうが恣意性が少なくていいと思いますが、「海外のニュースを見る初心者」にはこれがわかりやすいかも。

慰安婦問題の日韓合意について、KBS(韓国のテレビ)がどう報じたか、アジアインフラ投資銀行の設立についてCCTV(中国のテレビ)がどう報じたか、吹き替えで見られるのは便利です。

後半は特集として、韓国のマイナンバーにあたる住民登録番号(既に 50年も使われてる)についてのレポートなど、独自取材もあります。

ニューヨークでイスラム教徒などいろんな民族が住むエリアでのクリスマスを取材し、ユダヤ人地区では「クリスマス? 存在は知ってるけど興味ないね」みたいなユダヤ人を取材してたり。

日本人にはよくわからない宗教観の違いなども現実感を持ってわかるのがいいですね。


ニュースじゃ無くて、特集番組やドキュメンタリーでは、

ドキュメンタリー WAVE

一番好きなのはコレかな。海外の政治や経済、文化など幅広い分野の課題について解説される番組。

台湾の大統領選、南米の犯罪組織、アフリカの若者が置かれた状況など、普段あまり気にしてない話題が深掘りされてるので、とっても勉強になります。


BS 世界のドキュメンタリー

こちらは海外で作られたドキュメンタリー番組を、吹き替えや字幕を付けてそのまま流す番組。

内容的には日本の NHK スペシャルと同じタイプの番組ですが、番組の作り方や視点の持ち方自体が海外なので、その点でもおもしろい。

フランスのテレビ局が作った“シリコンバレーの闇”みたいな番組なんて、「フランスがアメリカをどう見ているか」がよくわかって、とても興味深かった。

アメリカの「すべてのホームレスに家を」というドキュメンタリーもすばらしかった。いろんな国のいろんな問題を知ることができる。


★★★


エンタメ物では、素人さんを追いかける番組が好きです。

家、ついていってイイですか?

渋谷や新宿、上野駅などで、深夜、終電が無くなった時間に駅前にたむろしてる人に声を掛け、「タクシー代を払うから、家についていってもいいか?」と聞き、

了解がとれると、実際についていって家に上がり込み、いろいろ話を聞く番組。

他人の家をのぞき見るってちょっとドキドキするし、「こんな人がいるんだー」という意味で社会が拡がります。

また、見かけはグダグダでも真面目な人も多く、「みんな一生懸命生きてるんだなー」と思えて偏見が無くなる。


ドキュメント 72時間

こちらは秋葉原とか新宿歌舞伎町とか、時には地方のさびれたホテルとか、いろんな町のいろんなお店に 72時間、カメラを据えて取材する番組。

映すのは 72時間のうち面白いコトがあった部分だけですが、これも「人生いろいろやねー」ってのが分かってとっても楽しい。

ダンスホールや地方のモーテルなど、行ったことないって場所でも、これをみると「そーかー、こういう場所なのね」ってわかります。

ただし上記ふたつの番組は、片方に「たまたま街で出会った女性」として登場してた人が、もうひとつの番組でも「たまたま」現れたりするので、“やらせ”というか“仕込み”があるっぽいですね。

マネジメント事務所が売り込みたい人を“取材してあげてる”感じ。


★★★


日本のビジネスニュースでは、

ワールドビジネスサテライト 

が人気ですが、私が好きなのは、

日経プラス10

どちらも日経系なので似たような番組ですが、後者のほうが解説が深いです。

WBS の方は(かなり宣伝染みてはいますが)トレンドのベンチャーとか、企業からの売り込みイベントを漏らさず取材してくれるので、旬のイベントを追いたい人には役にたつかな。

どちらもコマーシャルが多すぎて、録画でないと見られませんけど。


ニュースじゃなくて、ビジネスドキュメント系だと、

ガイアの夜明け

カンブリア宮殿

ガイアの夜明けは産業の変遷にフォーカスしたものが多く、カンブリア宮殿は、社長個人、経営者個人にフォーカスした番組です。

個人的には個性的な中小企業のオヤジ的な人物が取り上げられる、後者の方が好きです。

どちらも興味が持ちやすい形に編集してあるので、ビジネスに関心の無い人でも見やすい。扱う業界の幅が広いのもいいです。就活生とか、こういうの見ればいいのでは?


ビジネスではなく社会問題系だと、

ザ・ドキュメンタリー

も、よく興味深いトピックを取り上げてますね。

皇室とか過激派に入ってしまう若者(日本の話です)とか、昔の漫画家の若かりし頃の話とか。

戦争や深刻な社会問題から、文化や流行に関わるトピックの広さがいいです。


時論公論

は、10分間で問題のポイントを教えてくれる社会問題の解説番組。社会の仕組みを全く知らない人には役立ちます。

北朝鮮の番組かと思うほど愛想がないのと、建前論みたいな解決策が示されて「意味なーし」と思うこともありますが、「なるほど、そーゆー問題があるわけねー!」みたいな(知らなかった切り口からの)問題提起も多々あり、たいへん勉強になります。


ビジネスと社会問題の狭間あたりでユニークな活動をしている人に密着するのが、

NEC Presents Crossroad

大人の引きこもり更生施設を運営するプロや、個人で救急病院を作っちゃう異端の医師など、“そこまで有名人じゃないけど、個人としてスゴイ人”にフォーカスして、その仕事振りを取材します。

フィレンツェでブランドを立ち上げた日本人のカバン職人とか、シンガポール生まれで日本で写真家として成功した人の話とか、日本と海外の両方を舞台に活躍する人の話も多い。

カンブリア宮殿は企業経営者が多いけど、こちらはもうちょっと身近な人、個人として頑張ってる人が主役かな。

フォーカスされる人は(昔ヤンキーだったとか、母子家庭で貧困で工場で働いてたとか)みたいな人も多く、逆転の人生ドラマも楽しめます。、


NNN ドキュメント

これも同じような番組です。かなり低予算で作ってるっぽいけど。

メイドカフェの火事、震災後のあれこれ、若くしてガンで亡くなったアイドルとか、ちょっと見るのが怖いようなトピックが多いかな。


★★★


ビジネスや社会問題を離れると、

ファミリーヒストリー

芸能人やスポーツ選手、作家など有名人のルーツを探る取材番組。

「この人のひいおじいちゃんって、こんな人だったわけ??」みたいな有名人にたどり着くこともあれば、

特に有名じゃ無いけど、動乱の時代を必死で生き抜いた祖父母の苦労話が古い写真などと共に明らかにされ、本人も感激で泣いてしまったりすることが多い。

自分がこの世に生を与えられたのは、3代前、4代前の名も無きひとりひとりの人間が一生懸命、生きてくれたおかげなんだなーってよくわかります。

名も無い個人の人生を通して、歴史や時代背景が学べるのものいい。


歴史秘話ヒストリア

日本の歴史のちょっとした(隠れた?)エピソードを解説する番組。

CG を駆使した再現動画がふんだんに使われるので、とってもわかりやすい。“マンガ歴史物語”の番組バージョンみたいな感じでしょうか。


妄想ニホン料理

いろんな国のレストランのシェフに、日本料理の名前と簡単なヒントだけを伝え、その名前から“妄想”して、どんな料理か推定しながら、現地の素材で作ってもらう番組。

といってもお題はスキヤキやテンプラと言った有名料理ではなく、“軍艦巻き”や“土手鍋”など、わかりにくい料理ばかり。


しかも、「土手鍋を作ってください。ヒントは“土手の鍋です”と“寒い時に食べる料理です” 以上」と、

「それじゃヒントになってないやろ?」みたいな情報だけで作るので、毎回まったく似てない料理になります。


が、

そこはさすがプロのシェフ。

似ては無いけど、毎回すごく美味しそうな料理ができあがります。

最後に、現地シェフに動画で正解料理の作り方を見てもらうのですが、彼らも初めて知る日本料理に興味津々。


いろんな国の料理の風習がわかって旅に出たくなる。

あと、どっちかの国が相手国を一方的に褒めしたり批判するのではなく、双方の相互理解が進むのも見てて気持ちよいです。


★★★


NHK (Eテレ)高校講座

こちらは高校の各科目の講座ですが、大人が見ても十分に勉強になるし、昔の「つまらない退屈な教育番組」のイメージと異なり、映像や CG をふんだんに使って飽きさせない構成になっています。

私は世界史が好きなのですが、数学、英語、化学、生物、物理など理科全般、世界史、日本史、地理など社会の各科目、さらには芸術から体育まであり、

正直言って、学校なんか行くより、家でこれを見てるほうが子供だって勉強になるんじゃないかなって思います。


自分の得意な(もしくは関心のある)科目から、ちょっとだけ録画を観てみたらどうでしょう?


★★★


インテリアや建築系のエンタメも好きなんですが、付随するトークがいまいちなのが玉に瑕

大改造!! 劇的ビフォーアフター

よく見るんですが、あまりに繰り返しの多い番組なので、最初のビフォーの部分を 1回だけ見て、あとは、最後のアフターの紹介まで飛ばします。

スタジオのおしゃべりもイマイチなので、ホントに「ビフォー」と「アフター」しかみません。特におもしろいのはビフォー。

よくこんな家に住んでるなーと驚くこと多し。


渡辺篤史の建もの探訪

これもいいんですけど、最近はあまりに凝りすぎてて、非現実的な家が多すぎる印象。「誰が掃除すんの、この家??」みたいな。

あと、「そんな年でよくそんな大きな住宅ローンを組みますね??」とか「40代半ばでそんな階段の多い家を建てちゃうと、10年後に大変よ?」などと、ブツブツ一人で突っ込んじゃうこと多し。


★★★


アートの解説番組は、ゆったりした気分の時にお茶を飲みながら見るのにぴったりですね。

日曜美術館

美の巨人達

これらの番組は実際に開催される展覧会と連動してる場合が多いので、番組を見てから展覧会に行くと、絵の背景や画家の人生まで理解できます。

てか、展覧会に行く前に番組を見て、展覧会に行くかどうかを決めればいいと思う。

ちなみに私はずううっと昔、日曜美術館で紹介されたゴッホの絵があまりに衝撃的だったので、その絵を観にオランダまで行っちゃいました。


★★★


ここ10年以上、地上波のドラマはほとんど観てない私ですが、唯一の例外がこちら。

孤独のグルメ

人気漫画のドラマ化ですが、ディテールや雰囲気を含め、ここまで再現できてるのはスゴイ。松重豊さんの演技もナレーションもほっこりしててとても暖かい気持ちになれる番組です。


その他、韓国ドラマはスカパー!で見てます。日本のドラマを観ないのは、あまりにも説教臭い(努力は報われる、的な)モノが多いから。


★★★


いかがだったでしょうか?

気になるのがあったら、この週末にでも録画予約をしてみてくださいね。or 全録機をお持ちの方は、ざっくりチェックしてみてくださいな。


他にも(よく見てる番組が)あると思うので、思い出し次第、追記していきます。

お勧め番組があれば、ツイッターで教えていただければ見てみます。(ただし全てを紹介できるわけではありません。あらかじめご了承ください)


ほんと、全録機は価値がある。去年買ったもののなかで、一番役立ってます。


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そんじゃーね。


→ 全録機の使用体験エントリはこちら


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2016-01-15 仕事は“キカイ”に任せよう!

世界では最近、「ロボットや人工知能の進化で、今の仕事の半分くらいが近いうちに無くなるよ! 」といったレポートがよく発表されてますが、

「そんなのぜんぜん怖くないよー!」 なのが、我らがニッポンです。


なぜなら、先日書いたように、日本はこれから大幅に人口が減ります。

50年間で 4500万人も人口が減るんです。

ざっくりその半分が労働者なので、日本では向こう 50年の間に 2000万人以上の仕事が“キカイ”(ロボットや 人工知能( A I )や I T サービス)に奪われても誰も失業しません。


すげー!


ここに来て少子化が国の強みになるとは!!


今後の日本では寧ろ労働力不足が顕著になり、それが原因で企業活動が成り立たなくなったり、家庭と仕事が(男女とも)両立できなくなったり、必要な福祉サービスが受けられなくなったりする怖れのほうが大きいわけですから、


「人工知能、どんとこい!」 


な状態です。不安な他国を尻目に、どんどん機械化を進めましょう。

というわけで今日は、“キカイ”に任せたらいーじゃん、な仕事をリストアップしてみます。


1)自動車の運転

物流トラックの運転手、高速バスから市内バス、観光バスの運転手、タクシーの運転手はもちろん、休日に家族を行楽地につれていくお父さんの運転も全部、自動運転にまかせましょう!

そして“居眠り運転”や“ハンドルミス”“酔っ払い運転”の犠牲者がゼロになる未来を早く実現しよう。


2)デリバリー

田舎ならドローンで、合計すれば 10個以上の荷物が毎日届くような都心のマンションならロボット“宅配君”で。人間が届ける必要は無いと思います!


こういうロボット君が、マンションのフロアを回って荷物を届けてくれるイメージ↓

マンションの前まできた自動運転の運送トラックから、自分のマンション宛ての荷物をこのロボットが取り出して自分の胴体部分に入れ、各戸を回って配ってくれる。めっちゃかわいい!

HERO 木製収納ロボ ロビット(Robit) ホワイト 収納家具/キャスター付き/ロボット/本棚/可動棚/キャビネット/オシャレ/個性的/かわいい

ロボットだからもちろん 24時間稼働。飲み会で遅くなっても、帰り際にスマホでロボットに連絡しとけば、真夜中でも帰宅直後に配送にきてくれます。


3)コールセンター 受注、クレーム処理

すべての電話注文は、ネット注文に移行するのと、一部「どうしても声で話したい」というニーズには、AIによる人工音声でお相手しましょう。

コールセンターや企業のお客様係に毎日電話してきて、何時間もしゃべりつづける事実上の迷惑電話対応もお任せだぁ!


4)会計検査、監査、建築関係などの数字のチェック

企業の不正経理とか、人間の会計士がチェックするより、圧倒的にキカイのほうが上手く見つけそうだよね。

東芝の不正経理だって、四半期の決算期毎に利益が跳ね上がってたわけで、ああいう「異常な利益計上が決算期毎に起こってる」みたいな不自然な動きを見つけ出すのは、プログラムが得意とするところです。

会計士なんて人間がやる必要、ぜんぜん無い。


監査だけじゃなく、新人アナリストがやるような財務分析だってやれるでしょ。

杭打ちデータのコピペが・・・とかも、人間では膨大な数字の羅列からコピペを見つけるのは大変だけど、コンピュータなら一瞬にして見つけますよ。

数字の検査&監視系は、ぜんぶキカイにまかせたほうがいい。


5)見守り & 監視

高齢者施設の虐待とか、保育園でいつのまにか赤ちゃんがうつぶせになって死んでましたとか、あんなの部屋の天井のあちこちに死角ができないようセンサー付きの監視カメラを付けて、

全然動かない赤ちゃんがいたら「あかちゃんの様子が変です!」とその場でも音がでるほか、音声が親のスマホに届くとか、

虐待が疑われる職員の行動にたいして「問題行動の可能性ありです。録画を警察に配信します!」と叫ぶとか、

学校だって、校内ぜーんぶセンサー付きカメラを付けて「この行動はイジメの可能性があります。録画をネットに配信します!」みたいになればいいんじゃないかな。

更に進めば、街中だって全部、センサーで監視できれば、ひったくり犯とか、ひき逃げ犯とか、誘拐犯とか、詐欺で高齢者宅にお金を取りにきた人とか、警察は全く捜す必要がなくなるわけで、人手不足の世の中、そのほうがいいのでは?


6)基礎教育

あいうえおとか、四則演算から始まり、小学校くらいの教育であれば、全部、タブレットに組み込んだ教育ソフトで教えられるのでは?

英語の発音だって直してくれたりするプログラム、作れるでしょ。もちろんネットでつなげば質問だってリアルタイムに受け付けられるし。

体育や家庭科みたいな実学と、社会性を養うとか、コミュニケーション能力を高めるみたいなコト以外の基礎教育は、もはや人間の先生が教える必要があるとは思えないな。


7)ファストフード店のオペレーション

超高級店を除き、もはやすべて“回る寿司屋方式”でいーんじゃないの? この前、ラーメン屋が導入してたけど、ファミレスだって人間が運ぶ必要なんてぜんぜん無いでしょ。

牛丼屋とか定食屋とか、ぜんぶタッチパネル注文でベルトコンベア配膳にすればいい。

ハンバーガー屋でアルバイトしてる人も多いけど、あんな商品数の少ない業態、「スマホで注文」→「ロボットが自動調理」→「カウンターで電子決済と商品受取」まで、ほとんど人間なんて要らなくなるはず。


8)コンビニとスーパーのレジ

自分の袋に必要な商品を入れて店を出ようとすると、商品につけられたタグを読み取って自動的に代金合計が計算され、あらかじめ登録してる口座から自動的に商品代金を引き落としてくれればいいです。

口座に残高が無いのに大量の商品を持ち出そうとすると、入り口で上から鳥かごみたいなのが落ちてきて捕まっちゃうみたいな漫画的なシステムが素敵。

「昔ってレジとかいうのがあって、お金払うためだけにわざわざ行列を作ってた時代があるんですよね?」って、早く若い子に怪訝そうに聞かれたい。

あと、そもそもネットでモノを買う人が増えれば、コンビニやスーパーの棚出し(商品を棚に並べる作業)だって不要になります。そして、物流センターは下記↓


8)物流センター

アマゾンも物流センターを自動化(ロボットによる商品ピックアップ)を試みてるけど、ヤマト運輸やゆうパックの物流センターも含め、荷物の振り分け、トラックへの荷積みなんかも、ぜんぶ、自動化&ロボットにやらせられるよう = 完全自動の物流センターを実現しましょう!


9)医療、健康診断

この分野も大きく自動化できそうですよねー。

健康診断でのレントゲン写真や、MRIや CTなんかの画像を見て「○○の疑いがありますね」みたいな「デジタル化された情報を読み取って判断する」仕事なんて、

経験不足の新人から勉強不足の街医者まで、質にバラツキのある人間が担当するより、ベテラン医師の判断基準を学びまくった人工知能に判断してもらったほうが正確では?


今は薬剤師がやってる「処方箋に基づいて薬を渡して説明」「処方箋通りに調合」みたいな仕事もロボットでできるでしょ。

てか、副作用情報とか飲み合わせ管理とか、うっかりしてたり勉強不足で知りませんでした、みたいなことが起こらない分、ロボットのほうが安心では?


それ以外でもロボットアームによる手術など、「医者のいない治療が可能になるかも」という wiredの記事はこちら


10)保育、介護

保育園や介護施設って、子どもや高齢者がくると、最初にかならず体温測定をするんだけど、

成田空港なんて歩いてるだけで勝手に体温測定して高熱の人を割り出してるんだから(=感染症の患者を見つけるため)

同じモノを保育園と介護施設に導入するだけで、“検温”とかいう作業は不要になります。


また、こういう施設でとても時間のかかる(&価値のある)“会話”も、相手が人間である必要はないよね。

子どもも高齢者もそんな難しい会話をするわけじゃないんだから、会話の相手はペッパー君でもいいし、

石黒浩先生の作る超人間にそっくりのアンドロイドだったら、もはや、誰が人間で誰がロボットかも分からないくらいですよ。


11)類似検索、資料検索

図形であれ文字であれ「似たようなモノ」を見つけてくるのは、めっちゃ得意そう。

・法務部や弁護士のために(かわりに?)関連する判例を見つけてくる

・似たような特許が申請されてないか検索して見つけてくる

・博士論文が誰か他論文からコピペされてないか検索して見つけてくる

・過去に似たようなロゴやデザインがないか、検索して見つけてくる

・歌詞とか小説についても同上


12)定型文章作成

決算報告書の記事なら、既に自動作成できるらしいけど、よく考えたら、放火、ひったくり、殺人事件なんかの記事だって、かなりテンプレっぽいよね。

契約書だって、企業が使う多くの契約書はテンプレでしょ。

契約書が必要な人がスマホやタブレットの画面でいくつかの質問に答えていけば、望むような契約書のひな形を提示してくれる人工知能(と呼ぶかどうかはともかく)なんて、既に存在してても不思議じゃないです。

行政関係の申請書なんて、基本すべてテンプレなんだから、行政書士の仕事とか、半分以上、キカイ化できるのでは?

上で「財務分析も人工知能でできるでしょ?」って書いたけど、分析した後、企業分析レポートにするのだって、キカイでできそうです。アナリスト、要らんやん。


13)原稿読み上げ

ニュース原稿の読み上げなんて、人間のアナウンサーがやるより、人間型ロボットが座ってて、人工音声で読み上げれば良い。てか、ニュースを見てる側が自分の好きな声を選べるようになったらいいじゃんね。

テレビのナレーションとか、会議の司会とか、原稿を淡々と読み上げるような役割は、人間よりキカイのほうが間違いも少ないし、いい声が選べていいと思う。

上で、企業の財務分析も、それをニュース記事にするのもキカイでできるはずって書いたので、ついでに読み上げまでキカイがやってくれれば、

緊急大ニュースを除き、テレビニュースに人間は要らなくなる。


14)バグ取り 検品

プログラムだろうと、リアル商品だろうと、不具合を見つけ出して(その一部は自動で直す)なんて、キカイがとっても得意そう。


15)テロ未然防止

すべての通信を傍受して、テロの可能性があると判断したら通報するプログラムとか。

いくら隠語を使ってもキカイなら見破りそう。会話分析なんてパターン認識で、最終的にはかなり精度よくなりそう。


16)気象予報・火山や地震の予知

こういう「過去の膨大なデータを分析して、判断」することについて、人間のほうが上手いなんて考えにくいです。

人間は、自分が生きてた時代に起こったことを重視しがち(記憶に強く残るため)だけど、コンピュータなら、人間の寿命を超えたスパンで判断できるしね。

天気なんて、毎日毎日“データ → 分析して予報 → 結果入力”というフィードバック・ループ(PDCAサイクル)が回せるのだから、人口知能のほうがすぐに(既に?)人間より得意になると思います。


★★★


と、ほかにもいろいろありそうなのでまた追記しますけど、

とにかく、どんどん“キカイ”に働いて貰って、人手不足でもぜんぜん困らない国を目指そう!



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そんじゃーねー!


<関連エントリ>

自動運転車 超楽しみ! - Chikirinの日記


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2016-01-10 12歳の時の私のために

先日 紹介したフェルドマンさんの本 のなかで印象に残った言葉↓

経済学とは何かと訊ねられれば、「希少資源の最適な利用の学問」と答えます。


さらにその目的は「希少性からくる争いを減らし、世界を平和にすること」と言えるでしょう。


国や人間が争ってきた歴史を振り返り、世界の現状を見れば、争いが希少な物や足りない物が原点になっている場合が多いことが分かります。


水や石油、食べ物や環境など、希少資源や希少商品をどうやって公正配分し、どうやって希少性を解消するか、それを考えるのが経済学です。

4つの文からなっていますが、主文は前半のふたつで、後半は補足説明です。

つまり「経済学とは何か」について著者は、たったふたつの文章で、その意義を明確にしてる。


ちなみに、私は昔「経済成長の目的は何か?」というエントリを書いていますが、

ごく当たり前に思える事象についても常に「なぜ?」を忘れず、自分なりの答えを持っておくのは、とても大事なことだと思います。


そして今回は、「誰かに“ちきりんブログ”の意義を問われたら、なんて答えるんだっけ?」とあらためて考えてみました。

「Chikirinの日記」はまさに“自分の専門”なんだから、いつ誰に聞かれても、迷い無くすっきりと答えたい。


その結果、私がブログを書いているのは、

大人の世界の入り口にいる子ども達(12歳の時の私)に、社会のリアルについて知り、考えるきっかけを与えること、思考することの楽しさを知ってもらうこと

に尽きると、あらためて確認できました。


実際のブログ読者には、子どもより 20代、30代の方が多いでしょう。それでも私の読者ターゲットは常に、“12歳の時の私”です。

駅前がどんどん寂れていき、郊外型のショッピングセンターができ始めた頃の中途半端な地方都市で保守的な父と専業主婦の母に育てられ、

近場の公立校に通いながら、先進的でも国際的でもないふつーの教育を受けていた当時の私は、12歳の頃からずっと「社会のリアルが知りたい!」という、強い欲求に取り憑かれていました。


当時、周囲に私の好奇心を充たしてくれる人は誰もおらず、スマホどころかインターネット自体が存在しなかった時代。

地方にいるのは、男は公務員か大企業の社員になり、女は結婚して子どもを産むのが最高の幸せだと考える人たちばかり。

だから当時は、現実より本の中の世界のほうがワクワクできて楽しかった。

星新一、松本清張、山崎豊子氏など、小学生の頃から社会派の小説を次から次へと読んでいたのは、自分の目の前にある現実の世界なんかより、それらフィクションの世界のほうがよほど興味深かったからです。


★★★


世の中はもっと広いはず、もっとおもしろいはず、もっと可能性に満ちているはず、もっといろんな人がいるはず!

そう考えていた 12歳の私は、ずっと焦っていました。早く世界に出て行かなくちゃと。


でも、中学生にできることなんてタカがしれてる・・・

そんなとき私を救ってくれたのが、「街の書店」と「父が購読していた新聞」でした。(テレビは、巨人戦とアニメと演歌の花道と大河ドラマを映すための機械だったので)


★★★


街の書店と学校の図書館は全く違います。

学校の図書館には、大人が「子どもはこういう本を読むべき」と選んでくれた本しかありませんが、

街の書店には、良書から悪書まで大人向けの本がたくさんあり、マンガと異なり、一般書籍の立ち読みが咎められることはありません。

新聞も、親はお金を払って購読していたけれど、私は一円も払わずに、それを読むことができました。

「無料でリアルな社会を知ることのできる環境」が、子どもの身近にも存在することの重要性を、このときの経験から、私は痛切に感じています。


12歳の子どもは、クレジットカードも持っていないし、お小遣いもたいした額ではありません。

だから、買わないと本が読めないネット書店だけではダメなんです。

大人には格安に思えるワンコインのメルマガだって、12歳の子供が購読するのは難しいでしょう。


最近は親も紙の新聞の購読を止め、スマホでネットニュースやメルマガを見ていたり、日経新聞の購読もネットだけ、という状態だと、

子どもはそれらを読むことができません。

小さい頃、親の本棚に並ぶ蔵書を勝手に読んだという子は私だけでは無いはず。でも、

親がすべての本を電子書籍で買うようになれば、子どもがそれを読む機会も、大きく減ってしまいます。


とはいえ、むやみに昔を懐かしむ必要はありません。なぜなら今は、当時はなかったインターネットがあるからです。

それは当時の新聞や書店以上に広い世界を「無料で」12歳の私に見せてくれます。


★★★


私はこのブログを、日本のどこかにいる“ 12歳の時の私”のために書いています。

周りに、イケてる大人がいなくても、

親が本を全く読まず、家にはなんの本も無くても、

親が紙の新聞を購読してなくても、


学校のパソコンさえ使えれば、

もしくは、ごくごく低スペックでいいので、スマホさえ持っていれば、

無料で簡単に社会のリアルに触れることができ、周りの保守的な大人達とは異なる考えや発想に触れることができる。


そういう環境を維持していくことが、とても大事だと思っているんです。


ビジネスに携わる大人たちは、価値ある情報が無料で提供され、誰でも見られるインターネットの世界に満足していません。

企業の場合、無料では質の高い情報を継続的に提供し続けることはできないし、

誰でも読めるサイトの場合、誹謗中傷を趣味とするおかしな人達からの罵詈雑言にも晒され続けます。

だから多くのメディアが有料化にチャレンジし、無料の場合でも読者に個人情報の登録を求め、広告単価を高めようと考えます。

個人の書き手についても、「価値あるものには対価を払って欲しい」と考えることが増えています。


その流れに異を唱えるつもりはありません。

誰でも読めるサイトで読者の質を維持することの難しさは十分に理解しているし、より多くの人がネットで稼げるようになる時代は、素晴らしいと思っています。

それでも私自身は有料サイトには記事を書かないし、インタビューや対談の掲載も、無料サイトに限定しています。

メルマガでもサロンでもなく、「Chikirinの日記」を無料サイトとして維持し続け、

フェイスブックではなく、ツイッターで発信を続ける。

それは、そもそも「なんのためにネット上に文章を書いているのか」という、根源的な理由に関わることだからです。


加えて、新聞サイトやキュレーションサイトが有料になればなるほど、お金を払えない子ども達は「無料サイトを通じて、初めて大人の社会を知る」ことになるわけで、

昨今の情報サイトの有料化や会員制度化を見ている限り、“読者の青田買い”という意味で無料のブログはむしろ有利にも思えます。

つまり、12歳の時の私をターゲット読者として書くことは、単なるボランティアや社会貢献ではなく、長期的にはサイトの価値を高めてくれるはず、とも信じているのです。


★★★


当時の私のような子どもが、今も日本のどこかの地方都市で、ジリジリしながら生きているとしたら、

ネットを利用するのも学校のパソコンか、ごく低機能なスマホのはず、もちろんクレジットカードもありません。

だから登録も課金もしなくても読める場所に書き続ける。


「社会はこんなふうになってるんだ!」と気づき、

「世の中にはこんな問題があるんだ!」と理解し、

「未来にはこんな、びっくりするほどすごいチャンスがあるんだ!」と目を開かせてくれる情報が、

裕福な家庭に生まれなくても、

教育熱心で先進的な考えを持つ親の下に生まれなくても、

どんな子でも自在に手に入る。

そういう場所と環境を提供し続けたい。


★★★


自分がやっていることの意味を、きちんと考えておくこと。

誰に、どんな価値を提供するために、自分は今これをやっているのか、明確に意識しておくこと。

それはとっても大事なことです。

無料でブログを書く人にとっても、有料で記事を提供する人にとっても。


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そんじゃーね。



ブログ運営の考え方や ツイッターなど SNS とのつきあい方については、下記の本にまとめています。(紙の本のみ)

「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記
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2016-01-03 獲得・流通・消費のネット化

自分自身の生活を振り返っても、また、世の中全体を見ても、経済活動の舞台はリアルからネットへと急速にシフトしています。

たとえば、お金について、

・獲得 = お金を稼ぐ場所

・流通 = お金を使う(払う)場所

・消費 = 買ったものを消費する場所

に分けて考えてみると、

以前はみんな、

・普通に会社で働いて給与を得て = リアル社会で全収入を得て、


・スーパーやコンビニやショッピングセンターや専門店でモノを買い、= リアル社会だけでお金を使い、


・食べたり、着たり、読んだり、旅行する = リアル社会だけで買ったモノを消費する

という生活を送っていました。


図で書くと、こんな感じです↓

f:id:Chikirin:20160103015202j:image:w480


★★★


3分野のうち、最初にリアルからネットへのシフトが起こったのは「流通」です。

本を街の書店ではなくアマゾンで買うとか、ホテルの予約や飛行機チケットの購入を、HISの窓口ではなくネット経由で行う人がでてきた頃です。


この頃はネットで買えるものはまだ限られていたので、流通のごく一部がネットシフトしただけでした。

f:id:Chikirin:20160103165331j:image:w480


もちろん、ネットで買ってもそれらを消費するのはほぼすべてリアルの世界でした。本だって、ネットで買うけど、買うのは“紙の本”だった時代です。


★★★


その後、「流通のネットシフト」は急速に進みました。

この現象は“中抜き”と呼ばれ、付加価値を付けず、単なる販売代行をしていただけのリアル仲介業者は、軒並み売上げを下げ、その一方で、名も無いネットショップが大きな売上げを上げることも珍しくなくなりました。


f:id:Chikirin:20160103165332j:image:w480


加えて、消費のネットシフトも始まります。

エロ系コンテンツから始まり、最初に音楽、そして本やマンガ、エッセイ(←ブログなど)、ゲームなどを、デジタルで購入するだけでなく、デジタルで消費する人が現れます。

これに代替される形で、紙のコンテンツや音楽 CD の売上げが減少。「お金を使う場所=流通場所」がネットシフトした時代から、「消費」自体がネットシフトする時代も始まったわけです。


★★★


同時に、お金を獲得する場所のネットシフトも起こりました。「アフィリエイトでちょっと稼いでます」くらいだとこんな感じですが

f:id:Chikirin:20160103165333j:image:w480


ここ何年かは、本格的にまとめサイトを運営したり、youtuber などとして、ネットからの収入だけで食べていく人も出てきました。

クラウドソーシング市場で、ネット上で完結する仕事(プログラミング、資料作成、文章やイラスト作成、秘書サービスなど)を請け負って稼いでいる人も、この例ですね。

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★★★


これ、個人の図を書いてみて、時系列に並べてみるのもおもしろいと思います。

私の場合、 2015 年だと、こんな感じ。

f:id:Chikirin:20160103015207j:image:w480


収入の多くは書籍の印税ですが、それを可能にしているのはネット上での「ちきりん」の活動なので、「獲得」部分は半分くらいがネット経由だと言えます。

流通は・・・旅行や本はもちろん、食べ物や日用品、そして、洋服や靴まで、ネットで買うことが増え、急速にネットシフトが進んでいます。

この部分に関しては、早晩 80%くらいがネットになっても不思議じゃない。


ただし、消費の大半はまだリアルです。

これは私自身がデジタルネイティブでもなく、ちょっと出歩くくらいならスマホも持ち歩かないほどの旧世代人間だからというのもありますが、

日本全体、世界全体としても「消費」のネット化はそこまで進んでいません。


これから消費のネット化が本格的に進めば、

・雑誌、本、音楽、映像や動画コンテンツなどはすべてデジタルで購入、そのまま消費

・教育も学校に行くのではなく、ネットで授業を受けて学位を取る

・習い事の大半もネットで


・スポーツ観戦やコンサート鑑賞なども、VR (バーチャルリアリティ)機器を利用してデジタル参加

・旅行もデモも工場見学も展覧会鑑賞も VR で


・友達と話すのは SNS、飲み会も VR 参加

・就職活動も、動画で会社説明会に参加し、面接もネットで受け、

・仕事だって自宅(バーチャルオフィス)で大半を行う

みたいになり、“情報コンテンツ”だけでなく、“体験型コンテンツ”もネットシフトする未来が予想されるわけですが、

今のところはサービスの供給企業も少ないし、そのレベルやデバイスの完成度も低いので、消費のネットシフトはまだ本格化していません。


このように、リアルからネットへのシフトは、

・最初に「流通」分野で起こり、いわゆる“中抜き”が問題になった後、


・一部の人が「獲得」部分でのネットシフトに成功したことで、“新しい稼ぎ方”“自由な働き方”ブームが起こり、


・次の段階として「消費」のネットシフトが、いつ、どれくらいのスピードで起こるか、が注目される段階に入ってきたということです。


★★★


ちなみに3つの分野のネットシフトには違いもあって、たとえば使われるデバイス。

ネット上でお金を稼ぐツールとしては今のところ PC が主流ですが、流通のネット化については、スマホが主流となりつつあります。

今後、消費のネット化が進むには、それらとはまた異なる新しいデバイスがでてくることでしょう。

「獲得」は、PC ファースト

「流通」は、スマホ・ファースト

「消費」は、ウエアラブル・ファースト

とかになるんですかね?


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昔は「流通」のネットシフトにも PC が必要でしたが、今 PCが必要なのは、「獲得」をネットでやる人だけです。

ここのところ PCが売れなくなってるのは、「獲得はリアル、流通はネット」という段階の人が多いからでしょう。

そして、もし将来、大半の人が「獲得」におけるネットシフトを迫られる時代が来るとするなら、その時には PC ではなく、「ハイパワースマホ」みたいな新デバイスが現れてくるのかもしれません。


それと、日本の子どもや学生は、他の先進国に比べて(スマホの使用率は変わらないが) PCの使用率が非常に低いと言われているので、

今後のネット時代において、日本人は稼ぐ側ではなく、お金を使う側に入る可能性が高いのかもしれません。


★★★


3つの分野では、ネット化レベルの個人分布も大きく異なります。

「獲得」部分については、完全にネット化した人(=ネットからだけで 100%の収入を得ている人)もいますが、割合としてはそんな人はごく僅かで、世の中の大半の人は、稼ぐのはリアルだけです。

この分野では、獲得をネットで行う人とリアルでしか行わない人の“分離”が生じているので、両者間での“論争”(?)も起こります。


一方、流通に関しては、程度の差はあれ大半の人がネットシフトを進めています。このため流通のネットシフトには、「是か非か」的な論争は起こらず、「世の中の流れ」として受け止められています。

つまり、大半の人は今のところこんな感じなんです。全体としては、まだまだリアルの比率が大きいでしょ。

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今後ネットシフトが起こるであろう「消費」部分に関しては、最初は(獲得部分と同じように)個人差が大きいでしょう

=ごく一部の人だけが消費をネットシフトするだけです。なので「獲得」と同様「是か非か」論争が起こると予想されます。

が、デバイスやサービスが進化すれば、流通部分のように大半の人がネットシフトを進めていくんじゃないかな。


なぜなら「獲得」には専門性が必要ですが、流通や消費は、

・使いやすくなり

・価格が下がり、

・リアルより快適に消費できるなど、使うことに合理性が出てくると。

一気に(誰でも)シフトを起こすからです。


★★★


2016年1月の段階で、自分のネットシフトが各分野、どれくらいの割合になっているかを記録しておくと、数年後いろいろ面白い発見があるんじゃないかと思ったりしました。


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そんじゃーね。


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