Clockの雑文置き場

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エステロミア傭兵団ティティスの鉄獄紀行 Part0

復活した黒王がエステロミア傭兵団によって倒され、彼らの手によって封じられし門が攻略された、暫し後。
エステロミア傭兵団はその役目を一時終え、各自思い思いの休暇を取っていた。
そのうち二人。
人間でありながら極微量の悪魔の血を受け継ぐ戦士ジョシュアと、エルフの少女ティティス。彼ら2人は辺境にて、共同生活を送っていた。

彼らが平和を満喫し始めてから、数ヶ月。

彼らの住む家の戸をノックする存在が居た。

誰かしら、今出まーす………(ガラッ)………!?ラフニール……!?

な、なんだって!?



かつて、封じられし門と呼ばれた洞窟の最深部において、ジョシュア達と死闘を繰り広げた、魔竜ラフニール。
ラフニールは、戦闘中以外は竜の姿ではなく、人間の女の姿を取っていた。その、人間としてのラフニールの姿が、いま、ジョシュアたちの前にあった。
ジョシュアは反射的に部屋に置いてあった護身用の剣を取り、ティティスとラフニールの間に割って入る。無論、ラフニールと勝負になった場合、この程度の武器では何の役にも立たないことは解っているのだが。


久しいな、人間ども。

何しに来たんだ、ラフニール!!

待て人間。争いをしに来たわけではない。考えてもみろ、私が寝床を荒らされた時以外に、貴様らに牙を剥いたことがあったか。……何、貴様らに面白い暇つぶしをと思ってな。

私たちに……?

……ティティス、どう思う?

話くらい、聞いてみない?ラフニールがわざわざ私達を訪ねてきた事はこれまでないわ。それに、敵意があるならとっくに私達を灰にしてるはずよ。

そうかもね……。ラフニール、話を聞かせてもらえる?



三人は腰を落ち着けた。
そうしてから、ラフニールは淡々と語りだす。


……貴様ら、鉄獄という洞窟の名前を聞いたことはあるか?

……そういえば、噂程度には少しだけ。

そこの最深部に、混沌のサーペントなる厄介な魔物が潜んでいる。……実はな、今こいつの軍勢に、私の寝床が荒らされかけている。

封じられし門が!?

ああ、貴様ら人間はそう呼んでいるようだな。……本当ならば私が出向いて奴を始末したいところなのだが、どうも私はあの中では全力で戦えないらしい……そこで、かつて私をたった2人で撃退した酔狂な連中の事を思い出してな。

それはここの中の人じゃなくて、高名なゆきなり団長指揮下の傭兵団の話だよ……

それで、私達にその……混沌のサーペント?の撃退をさせたいってこと?でも私達がそれをやって、何のメリットが有るの?

もし私の寝床がこいつらに占拠されれば、貴様らの平穏も崩れるぞ。

どういうことだい?

私は、貴様らが封じられし門と呼んでいるあの洞窟から、いかなる戦力も外には出さん。貴様らの平穏を壊す気はない。だが奴らは違う。私の寝床を占拠しようとする連中だ。もしそれが成れば、次の目標は貴様らだろうな。……それと。

それと?

鉄獄の中は貴様らにも有用な武器や防具、霊薬などが豊富に落ちている。貴様らはそういうの、好きだろう。

……生憎……大好きよ。

ならば、貴様らにも私にもメリットが有る。悪い話では無かろう?

嘘とは思えないわね。魅力的よ。

それなら、場所は解ってる。早速、行こうか。

待て。……あの場所には妙な結界があってな。同時に入れるのは一人だ。

解った。それなら僕が行くよ。

あ、ジョシュア!………行っちゃった。……ねえラフ……「ラフ」でいいかしら、ラフニール?

構わん。……ティティス、で良かったか?

良いわ。ちょっとそこのタンスの上から2段目から、ダリスの薬草、取ってくれない?それから隣のすり鉢も。

構わんが……どうした?

多分2時間もしたら戻ってくるわ。右のスネ当たりに血を流しながらね。



約2時間後。
ティティスの予言通り、右すねから血を流しながら、ジョシュアが帰還した。


ね?

ティティス、ごめん……睡眠ガスの罠に引っかかって、その隙をコボルドの連中にやられて……命からがら逃げ出してきたよ……

ティティス、貴様はエスパーか何かか……?

ラフ、さっきの薬を傷口にお願い。……どっちにしても、しばらく探索とかは無理そうね……私が行くわ。

えっ!危ないよティティス!

私、罠を見つけたり、敵から見つからないように行動するのは、ジョシュアより得意なつもりよ?

それがいいだろう。……そうだ、ティティス。これを持って行くといい。

何これ……鏡?

貴様が鉄獄で見ている風景が私の鏡に映る。鏡同士で声を届けられるから、危険なモンスターなどが出たら私が警告しよう。

ありがとうラフ。助かるわ。ついでに、暫くジョシュアが無理しないように見張っていてくれない?暇でしょ?

貴様らには想像できないであろう程度には暇で退屈だ。心得た。

それとジョシュア。二つお願い。

何だい?

1つめ。私、魔法の道具とかはそれなりに詳しいけど、武器とか防具とかはジョシュアのほうが詳しいはずよ。だから、鉄獄で拾った武器防具がどういうものなのか、鏡越しに教えて?

解った。もう一つは?

近場の寺院とかブラックマーケット定期的に覗いて、良い物があったらキープしておいて。何なら倉庫のもの売り払ってもいいわ。

うん。解ったよ。

さて、それじゃあ……ちょっと鉄獄まで、行ってくる。

……ごめんね。気をつけて。

近くにイークなる種族の洞穴があるから、まずはそこでカンを戻すといいだろう。何、貴様らは簡単には死なん。



(中の人より)
というわけで始まりました。ジオ・コンフリクトシリーズのティティスになりきって、仲間たちの支援を受けつつ鉄獄を潜ろうみたいな企画です。
アイコンは駆けつけ三枚のゆきなりさんから頂きました。
こちらはティティスに鉄獄を潜らせつつラフニールやジョシュアとの掛け合いを書き、もしゆきなりさんにピピッと来るような情景が産まれたらそれをイラストにしてもらえたらいいなーとか思ってます。
ええどうせ半分くらいdeskull氏のパクリです。

そんなわけで、エルフレンジャーのティティスの鉄獄紀行、開幕です!