研究室立ち上げ。

息つく暇も無い毎日が続いているが、やりがいがある。毎日新しいことがほとんどで、その中で以下に今までの研究を継続させていくかを学んでいかないといけない。こうしてブログを書くのも続けるのには努力が要る。例えば、この30分を利用したら、科研費の書類が出来るのだから。しかし、科研費その他様々な書類が控えているけれども、今はブログのほうが重要であるという判断をしないといけない。いかに早く的確に判断をするかということも重要な要素らしい。このように世の中の研究所大学は進んでいるのだ。そういえば英語ブログのほうの更新を怠っていた。Twitterと所内Twitterにそれぞれ少しずつ色々書いていると、もうブログを書いた気になってしまうところが、負の作用となっている面もある。やはり違ったことを書く場にするほうがいい。明確な線引きはこれから。

毎日、ぽつんと一人座って、秘書や事務、工事担当、業者と話す日々が続いていると、自分の理想と理念に沿った研究環境を手で構築しているという充足感が非常にある一方で、ずっと計算したいと思っていることがなかなか進まないイライラ感は常にある。ある程度、今の立ち上げの時期はそれをコントロールするしかない。所属長というのは全く違う職種だというのがよく分かる。印鑑を使う頻度が文字通り100倍になり、会議と書類の締め切り、意見交換、本当に色々と学ばせていただいている。最も重要なものが、研究室の運営方針の決定だが、これは、幸い、京大、サンタバーバラ駒場、そして理研と色々な場所の研究室を見て関与してきた間にずっと胸にたまっていたものが一気に吐き出されるような感触で、すんなり方針が決まった。というか、決めた。これは、自分自身から沸いてきた指針もあるけれど、むしろ、今まで見させていただいた研究室のさまざまな指針によるところが大きい。これは大変ありがたい話で、もしぽつねんと理研に放り出されて研究室を作れといわれたら、全くの無理難題だろう。理研に来て2年半、その間の経験は、今回の研究室構築にあたって必要不可欠。こんなこと書くのは当たり前なんだが。それに加えて幸いなことに、一人でのスタートではないということもある。月曜日、新研究室のメンバーであるPDの方4人と矢崎先生と集まり、6人で初めてのミーティングを行った。皆、この研究室の新しい方向性に期待を抱いているということがありありとわかった。まあ、僕が一番期待を抱いている人間かもしれないが。この高揚感をそのまま、新しい研究へつなげたい。

これも当たり前だが、研究室というのは、部屋がどうこうということではなく、何をおいても、構成員である。人が研究を作り研究室を作る。立ち上げに当たって、そのドタバタが予想されるにもかかわらず移籍してくださった新構成員の皆さんに感謝したい。そして、新しい研究室を支えてくださる周囲の皆さんに心から感謝したい。

さらに、長いスパンでの研究室の立ち方を考えると、不断な新しい資金獲得や数年後を見据えての研究環境の構築が不可欠となる。その意味で、仁科センターそしてセンターの人たちに大きなサポートをもらっていることは大きな支えや。これからのPD雇用は、もっとも重要。理研の基礎科学特別研究員は非常にその意味で大事な制度で、自由に研究してもらうことで研究室全体に相乗効果がある。もちろん学振特別研究員も、である。是非、意欲ある人に応募して欲しい。科研費基盤Bの審査結果が一昨日やってきて、来年度に一名のPD雇用が可能になったことは大きい。

昨日は新人歓迎会、そして准主任の集まり(こちらは僕が新人)。准主任の「准」と大学准教授の「准」は違う。理研のきまりでは、准主任は対外的には教授である。改めてそのようなことを先輩准主任と話して、身の引き締まる思い。もちろん格というのは本質ではない。研究成果をもって研究者は評価されるのが、これも当たり前だが、大原則。格は研究と研究に付随する業務を円滑にする手段である。つまり、結局のところ、どのような研究成果を出すかが、研究者人生にとって全てである。ぐだぐだ言っていても何にも始まらない。先輩准主任の方々の熱い思い、研究への情熱、研究継続への惜しみない努力、苦労話、をたくさん聴き、新人准主任の僕も胸が熱くなった。やったるで。ええ研究環境を構築して、ええ研究をやるで。

この文章を読んで、なにを教授格とかゆうてええ気になってるアホが、と感じる人も多いと思う。その通りなので、そう思ってください。ええ気になっとるんやわ。ほんまに人生最大のチャンスをもらった。周りの人に支えられて今まで自分なりにやってきて、ほんまにすごい幸運にも、チャンスをもらった。こういうときにええ気になって、やったるで状態になってるところを、このブログの読者の皆さん、見といてください。そんで、5年後、やっぱりアホな奴やったな、てな具合になってるか、それとも、あいつちょっとはやりよったな、となってるか、見てください。一緒に新しいことやる人、集まってください。

昔、テストで一番になったとき、おやじに自慢げに報告したら、すぐ言われた。「よかったな。けど、テストで一番になるやつは、テストごとに必ずおるんや。そんで、テストは毎月毎年、全世界で行われとるんや。一番はゴマンとおるんや。肝に銘じとけ」天狗のようになった鼻が根元からばっさり切られた。けど、ええ気になる瞬間があるから、切られてもまた生えるということや。そのオヤジは、いまだに、ノコギリ持って見守ってくれている。