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2018/05/26 土

「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」とスピルバーグとぼく

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ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [Blu-ray]

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昨晩金ローでやった「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」を観た。先日の高畑勲作品といい、こいつ金ローばかり観てやがるなと思われても仕方ないし、まあそうなんだけど、これはたまたまであって、テレ東の午後ローとかも観ています。以下「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」の感想。当時の劇場では観ておらず、初見はVHSソフトだったので、2度目の鑑賞。

唯一心を奪われたのが、ビデオレンタル屋の店内にバスが突っ込んでくるカット。バスからギリギリ逃げる客たちが凄いスタントだと思ったのだが、これもCG使ってんのかな。 ★1

バカとバカとバカと大量のバカしか出てこないため誰にも肩入れできぬばかりか終始イライラさせられる本作は、マイケル・クライトンの原作小説と脚本参加を待たずにデヴィッド・コープが単独で勝手に書いた知能指数ゼロの脚本を、ティラノサウルス本土上陸を撮れることに目がくらんだスピルバーグが何も考えずに早撮りしたものだ。

これによって判ることは、クライトンが娯楽小説の中で曲がりなりにも表現しようとした科学への疑念や生命倫理といったテーマをスピルバーグは何ひとつ理解しておらぬばかりか興味も一切なくて、前作のそういった部分はただ脚本通りに撮っただけで、本当に興味あったのは恐竜の挙動とダメオヤジの成長、本質からズレたどうでもいいサスペンスごっこのみにすぎなかったということだ。

我々は、スピルバーグさんのこういうアレなところを理解してあげなくてはならない。『激突!』も『ジョーズ』も、そういう子供じみたスピルバーグだから作ることができた傑作だった。つまりクライトンの着想と作劇を借りた前作『ジュラシック・パーク』よりも本作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』こそが、スピルバーグの本質的な作家性があらわれたド真ん中の作品なのだ。誰だって、そうは思いたくないよな。オレも思いたくないよ。しかしスピルバーグが徹底してディレクター=演出家であって、ストーリーテラー=脚本家ではない、ということなら同意いただけると思う。

それにしても我々の愛する娯楽映画の申し子スピルバーグが、連結型キャンピングカーが崖から落ちるかどうかドキドキですね! と頑なに言い張るズレたオッサンであることを認めるのは辛いことだ。しかしインディ・ジョーンズ映画なんて全部ズレたドキドキで構成されたカラッポ映画で、そうと薄々知りつつみんな喜んでたんだから、この辛さは引き受けなくてはならないよな。

我々の世代の巨匠スティーブン・スピルバーグさん、お好きな方は多いだろうが、わたくし個人は「オレはスピルバーグが好きなんスよォー、大好きッ!」とは全然思っていない。本気で死ぬほど好きなのは「激突!」と「ジョーズ」のみで、大きな声では言えないけどかなり好きなのは「1941」だが、他はそうでもない。「プライベート・ライアン」を、もう一度観てみなくてはと思っているくらいだ。インディ・ジョーンズは全部嫌いだ。「E.T.」は最も重要な映画と思うが、好きかといえばこれも違う。頭いい路線は、すべて信用していない。

製作作品なのであんまり関係ないが、みんな大好き「グーニーズ」もオレの大嫌いな映画のひとつだ。12歳当時劇場で観て、オレをバカにしてんのかと呆然としたものだ。いまだに同世代の映画好きが「グーニーズ」を好意的に語るたび、居心地の悪さを勝手に感じている。しかし今にして思えばあれは製作スピルバーグの映画でも監督リチャード・ドナーの映画でもなく、脚本クリス・コロンバスの映画ですわな。

スピルバーグの功はたくさんの人が語っているので、ここでは罪のほうを書いておきたい。上記ジュラ2の感想でも書いたような、本筋に関係ないどうでもいいサスペンスを尺かけて長々と展開するという恥知らずな映画作りを始めたのは、他でもないスピルバーグだと思うのだ。ジュラ2より遥かにマシだった前作「ジュラシック・パーク」においてさえ、樹の上から車が落っこちてくる、あぶなアーい! という、クッソどうでもいいサスペンス場面があった。本筋とも観客の興味とも何ら関係ないため、実はサスペンスとして成立さえしていない。出来損ないのイベントを脈絡なく「置きに行く」ようなこういう展開を、なぜかスピルバーグは好んで作る。インディ・ジョーンズは全部これ。そして凡庸な作り手たちほど非常にこれをよく真似するために、この悪癖はアメリカ娯楽映画にひとつの潮流を作り、全体のレベルを下げたと言ってもいいと思う。ジェームズ・キャメロンのような腕の立つ作家は、絶対にこんなことはやらない。

スピルバーグもいつか死んで、その時はみんな手放しで誉め讃えるのだろう。映画の申し子、映画の神様、映画の良心とさえ言われるだろう。本当に死んだらこの記事のようなことが言いにくくなるので、彼が死ぬ前に書いておいた。そういうことです。

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2018/05/22 火

高畑勲作品を2本、テレビで再見

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2018年4月5日に高畑勲が亡くなった。正直言って、超悲しいですぼく泣いちゃいます、とは全然思わなかった。そうか死んだのかあ、と思っただけだ。その死をまっとうに悲しむには、オレにとって高畑勲は怪物すぎた。

東大仏文科卒のスーパーエリート高畑勲は思想の人で、豚であるところの大衆、つまり我々度し難き愚民を水槽に入れて観察し、その研究と描写に生涯を費やした人という印象がある。たぶん高畑勲個人はいい人だと思うのだけど、創作では客観的で突き放した、圧倒的に冷徹な作品を作る。

4月13日、日テレは緊急追悼で「火垂るの墓」を放送した。RECしといて、後日久しぶりに観た。公開時に「となりのトトロ」との二本立てを劇場で観て、VHSのビデオソフトで観て、テレビ放送も1回は観たと思うので、たぶん4回目か5回目の鑑賞だ。

公開当時、野菜泥棒した清太を百姓が殴る場面は未完成で、無着色の線画のままだった。高校1年だったオレは「斬新な演出! さすが高畑!」と感心し、まさに高畑勲に叱られても仕方ない明き盲っぷりを露呈した。それでもいわゆる単純な反戦映画ではないことは、2回目くらいの鑑賞で判っていたと思う。

今回観てみて驚愕したのが、清太が節子に恋人や母親の役を投影し、近親相姦願望を持っていたことを明確に描いている点だった。節子の死後、清太の幻想として描かれる一連のアイドルビデオみたいな場面が凄い。おヌードは勿論、ふりむいて笑顔とか、針仕事=世話焼き=甘やかしプレイとか、敬礼(ミンメイ!)とかひと通りやってみせる。ゾッとするほかない。

「節子は私の母になってくれたかもしれない女性だ!」 とくれば、これは完全にシャア・アズナブルである。まさか神戸弁の中学生と、宇宙翔ける赤い彗星が重なるとは思わなんだ。

節子は幼女なので、ちゃんと母を求めた。だが母の無惨な姿を目撃DQNしてしまった清太からは母を慕う気持ちが消え失せてしまい、その代償に節子にとことんのめり込んでいく。この感じが本当に危ない。そこに節子の意志はもはや存在せず、清太は恋人や母親の依代、偶像、人形として節子を愛でてしまう。押井守の「イノセンス」より16年早い。

きれいに死んだ節子を、腐敗する前=母のように醜くなる前に速攻で焼く清太が涙ひとつみせないこのブッ壊れた感じ、マジでイカレてる。本当にヤバイ怖い映画がテレビで放送されて日本中みんな感動して泣いてる。なんだこれすげえ。宮崎駿が悪魔と契約した表現者なら、高畑勲は表現の悪魔そのものだ。


5月15日には三鷹のジブリ美術館高畑勲のお別れ会があり、宮崎駿が涙ながらに読んだ弔事ならぬ開会の辞、その内容を報道で知り、動画も見た。オレは冷たい人間なので、フーンなるほど、と思っただけだ。

追悼気分さめやらぬ5月18日、日テレは「かぐや姫の物語」を放送した。これもRECしといて、後日観た。劇場2回とDVD以来、4度めくらいの鑑賞だ。

かぐや姫の物語」公開時、印象深い感想のひとつが雨宮まみさんの記事だった。

『かぐや姫の物語』の、女の物語 戦場のガールズ・ライフ

不思議な縁で一度だけ、生前の雨宮さんと同席する機会があった。きれいな、花のような人だと思った。正直言って雨宮さんや女性の多くがいかに生き辛く、どれほど抑圧されているのか、がさつなおっさんのオレには想像すれども本当のところはよく判らない。それでも、この感想には胸を衝かれた気がしたものだ。まあそれはそれとして、オレはオレのがさつな感想を書くしかない。

以前書いた感想はこれ。

観たぜ「かぐや姫の物語」 挑戦者ストロング

「かぐや姫の物語」 追記 挑戦者ストロング

今回の放送を観て、発見がひとつあった。映画の後半、かぐや姫が月に帰らねばならぬとなった後、屋敷の中の作業小屋でわらべ唄の続きを唄う場面。ここに妙なインサート映像が3カット入るのだ。まず夕焼けの海と陸、雁の群れ。次は海辺を空撮でトラックバック、駆けてきた男と幼子が波打ち際で立ち止まる。最後は海辺に立つ松の木の下で、月を見つめる男と子供(2カット目より少し大きいようだ)。

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劇場での初見時にはなーんだ妙なカラオケ映像だな程度の印象で全然気にしてなかったのだけど、今回観てびっくりした。松があるのは松の原、つまり松原、ということはこれって「羽衣伝説」の結末を描いてるんじゃないのか。2カット目は地上を離れ天に去る天女の俯瞰視点で、砂浜を走って見送る夫の漁師と我が子の姿を。3カット目は天女が去った後、かあちゃんを思って月を見つめる父子の姿。ま、羽衣伝説のストーリーは常識だろうからここでは説明しない。

オレは昔、能の「羽衣」を観たことがある。観世流だった。この「羽衣」では天女は漁師からすぐ羽衣を返してもらい、その場で天女の舞を踊る。幽玄なる舞に漁師と我々が陶酔するうちに、天女は天に帰ってしまう。「E.T.」を色っぽくしたようなお話だった。そういえば、手塚治虫の「火の鳥」にも羽衣編というのがあった。舞台劇をそのまま漫画にしたような実験的なやつで、あまり好きじゃなかったが。

さてアニメに戻ると、唄い終えたかぐや姫は嫗にこう言うのだ。

「遠い昔、この地から帰ってきた人がこの唄を口ずさむのを、月の都で聞いたのです」

「月の羽衣をまとうと、この地の記憶は全てなくしてしまいます」

マジか。「羽衣」の天女は、かぐや姫のパイセンだったのだ。「羽衣」はいつの話なんだかよく判らなかったんだけど、さっきネットで調べたら奈良時代に編まれた「風土記(古風土記)」によるものらしい。この映画は劇中設定を平安時代としているから、時系列上も確かにパイセンなのである。

つまり高畑勲のヨタ話はこういうことだ。「羽衣」の天女は月から奈良時代の地上にやってきた。この天女はあろうことか地上で愚民と結ばれ子をなしたので、事態を重く見た月世界当局は天女を本国へ強制送還し、記憶を奪ってしまった。天女が覚えているのは、地上のわらべ唄のみ。その不思議なわらべ唄を聞いてしまった月人の少女は生命の坩堝たる地球に憧れちゃって仕方なく、決死のテロリズム精神で大気圏単独突入。平安時代の竹林に落っこちて、翁に拾われた。羽衣伝説と竹取物語を股にかけた、壮大なクロスオーバー作品。今川泰宏監督の「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」かよ。

そうと判れば、月に赤ん坊の姿が重なるラストカットの説明もつく。あれは地上におけるかぐや姫の幼少の姿の回想かと思ってたが、そうであれば月と重なるのは具合が悪くて変なのだ。あれは月で姫がこれから生む赤子の姿なのだ。なにしろ姫は、地上のマイルドヤンキー捨丸兄ちゃんと空中セックスして身ごもっている。生まれてくる赤子は成長し、地上のすべてを忘れた母こと元かぐや姫がブッ壊れたレコードプレイヤーのように唄うわらべ唄に魅了され、いつの日か地上にやってくるのだろう。歴史は繰り返す。赤子の性別は判らないので、今度はどの昔話に登場するキャラクターになるのやら、想像もつかない。海に落ちて竜宮城の乙姫になるか、スケール間違えて一寸法師になるか。これが高畑勲の、まんが日本昔ばなしスーパースター列伝構想なんだよ! な、何だってェー! お後がよろしいようで。

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2018/04/22 日

浅いぜ 被写界深度

「リズと青い鳥」 若い若いね 若いねー 

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吹奏楽地獄道行(すいそうがくじごくのみちゆき) (★3)

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krokawakrokawa 2018/05/07 19:32 オーボエがいつ包丁取り出すか、ヘタなホラーより怖かったです

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2018/04/21 土

この映画最高のショット

スピルバーグ翁と遊ぼう 「レディ・プレイヤー1」

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公開初日に「レディ・プレイヤー1」を観てきた。前座に「パシフィック・リム:アップライジング」を観たのだけどこれがダラダラ冗長な映画でガッカリしたので、直後に観た「レディ・プレイヤー1」は非常に楽しめたよ。

以下感想ですが、決定的なネタバレを含むので未見の方は絶対に読まないように。予告編にも一切出てない大ネタがあります。

スピルバーグは地球に残る人 (★3)

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2018/03/06 火

Dersu2018-03-06

同情の拍手はいらない 「シェイプ・オブ・ウォーター」

| 同情の拍手はいらない 「シェイプ・オブ・ウォーター」を含むブックマーク 同情の拍手はいらない 「シェイプ・オブ・ウォーター」のブックマークコメント

アカデミー賞が発表されたから、というわけでもないのだけど「シェイプ・オブ・ウォーター」を観てきました。あんまり気に入らないんだろうなという事前の予想が当たってしまった。以下の感想では結構悪口書いてますが、まあアカデミー賞とったんだからいいだろう。ネタバレありますのでご注意を。

よせ、野暮になる。(★2)

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2018/02/25 日

Dersu2018-02-25

「ひるね姫」で出たヘドを

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ひるね姫 知らないワタシの物語」をブルーレイで観た。ま、評判もあまりよろしくなかったこの映画を観た人も少ないのでしょうが、これが実にひどい作品で、早速怒りの感想を書いたものの、先日からCinemaScapeが落ちており投稿できない。はてなダイアリなんかに酷評を載せると以前の「スカイ・クロラ」の如くプチ炎上してめんどくさいことになるかもしれんのだけど、まあ押井守作品に比べりゃファンも少なかろう、と思ってここに載せる。一応ネタバレありますが、もはやネタバレとかいう問題でもあるまい。

ヘドが出ます! 大っ嫌い!!(★1)

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2018/02/04 日

3枚の看板

ネタバレ前に観ましょう 「スリー・ビルボード」

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マーティン・マクドナーさんは、もともとアイルランドやイギリスの演劇の世界の人だそうだ。わたくし演劇のことはサッパリ判らないのだけど、この人が作った映画はなぜか観てて、「ヒットマンズ・レクイエム」も「セブン・サイコパス」も非常に面白かった。

ヒットマンズ・レクイエム (字幕版)セブン・サイコパス Blu-ray

ということで評判の高い新作「スリー・ビルボード」を観に行ってきましたよ。いやーこれがまた凄い映画で。まだ観てない人は、以下の感想も読まないほうがいいです。すぐ観に行ってください。

リアルは地獄 (★5)

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