2011-09-18 晴れ
■[雑記][適正技術][環境論]脱原子力はチャンスだよ 回答編
5回に渡ってエントリーしてきました。しばらくお休みを頂きますが、一応、頂いた意見に回答しておきます。
回答無い方は御免なさい。無視しているわけじゃないんですよ。
ギンちゃんへ
単純に、原発を無くした上での「代替案」を信用した人間、もしくはそもそも「代替案」などどうでもいい人間が「積極的脱原発」になり、「代替案」を信用しない人間が「消極的原発賛成派」になってるというのが現状だと思います。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898#c1315131228
違いますよ。原子力(原発)運用に伴う夥しい犠牲と差別構造を許容できるか否か、の問題です。私は許容しないから原子力には徹底して反対します。それを見逃す、過小評価しているのが「消極的原発賛成派」。代替案の問題は二次的なものにすぎません。
場末のブログに書いたくらいで、「命令」って、ナイーブすぎだよ、ギンちゃん。
しかも、積極的原発賛成派に比べれば反原発派になりやすいであろう消極的原発賛成派に対して、この扱いは、将来的に脱原発になるかもしれない層を敵にまわすしか無い記事でしょう。
いきなり見ず知らずの他人から頭ごなしに命令されて、その相手に好意を抱く人間は、実に希少です。もし、貴方が原発推進派から「反原発派は原発に賛成しなければならない」と言われて、相手に好意を抱くでしょうか?
悪いんだが「消極的原発賛成派」など最初から相手にしていない。正確に言えば、一連のエントリーは、妙な連中に絡まれて迷惑している「脱原発」を表明している人たちに、反撃手段を提供するのが目的。ゴミ連中がこちらにくれば、纏めて対応するつもりだし、「消極的原発賛成派」の言い訳のタネを潰すことを目指しているから、連中がどう感じるか、なんてことには一切興味がない。
臣民さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898#c1315178685
勝手に相手の態度を感情的、と決めつけたり、感情的だから論外、とか、ダメな人ですねぇ。
ま、「消極的原発賛成派」の方が、噂や伝聞から脱原発はムリ、と感情的に反対していますが。
(共産党は問題外ですが)
共産党の原子力に対するスタンスを知らないんですか?本当に調べないで決めつけてるんだね。
菜々氏さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898#c1315207918
・危険性を指摘する報告があっても「そんなことがやたらに起こるはずがない」「自分が当事者になるとは思えない」と「不安を否定したい気持ち」から、リスクを過小評価する賛成派も多いと思いますが。事故のときは、恐怖からパニックになるより、「正常性バイアス」で逃げ遅れることのほうが深刻だそうです。
そうですね。「自分は冷静、合理的」と云ってる人間が冷静であるケースは少ないですから。正常性バイアスは結構問題だと思います。地元でも津波避難訓練で問題が指摘されています。
ZuoTengさん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898#c1315278768
置塩先生は存じ上げませんでしたが、主流派の経済学者に経済成長と地球環境について両立した意見を出せる人がいないのが気になっています。経済成長は必需、みたいな。で、低成長や持続的経済に関する意見に冷笑的だったりしますね。でも、現在の人類全体の経済成長率を考えたら、50年と経たない間に(経済成長が物質的消費を伴うことが必至なら)地球環境の許容限度を明らかに超えてしまいます。
kussan01さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898#c1315700617
なぜ、戦勝国米英仏露中が原発推進で敗戦国日独伊が原発反対なのか
また負け組みですか・・・・
ま、いいじゃないですか。負け組で。戦争じゃあるまいし、困ることあります?
sakuragaoka99さん
http://b.hatena.ne.jp/sakuragaoka99/20110904#bookmark-57752878
原発再稼働問題については良いこと言ってる。経済苦境が弱者に厳しい。これは政策不在で片付けられるだろうか?ここでの政策は減少するパイの取り合いにすぎず、満足する解決はあり得るだろうか。
いちおう、後ろのエントリーで、回答を出したつもりです。日本ではこの20年以上需要不足に陥っていたわけですが、脱原発に伴う新市場は需要喚起策と為りうる、というのが私の意見。大掛かりな「エコポイント制」と考えてもいい。大した規模でなかったエコポイントでも、家電・自動車業界は業績回復しましたから。しかも、海外にも市場が広がってますしね。
空飛さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340#c1315258235
初めまして
良い意見ですね!実は、ゴミ焼却もエネルギー源として利用可能です。課題は満積してますが、有望な火力源だと思いますよ。こういうのもあります。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061205/124982/
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/35/12-13.html
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/landfill/central_breakwater/data_gas_power/index.html
私は、これをSOFC(固体酸化物型燃料電池)で分散型発電するのが、いいんじゃないか、と思ってます。
時々拝見さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340#c1315307355
tei_wa1421さん
http://b.hatena.ne.jp/tei_wa1421/20110906#bookmark-57904902
これは、単純に私の好みの問題です。大企業より家庭や中小事業所主体がいいと考えているので。協同組合形式によるソーラー発電所というのを夢想しますが。
メガソーラーが有効だというのも判るのですけどね。ただ、メガソーラーは結構コストダウンに有効なために、効率改善のインセンティブが下がってしまう可能性が、研究屋としては気がかりかな、というのもあります。効率75%の太陽電池なんて実用化して欲しいじゃないですか。
m-matsuoka
http://b.hatena.ne.jp/m-matsuoka/20110906#bookmark-57904902
エントロピーの法則を理解していれば、エネルギー密度の高いものほど有望なエネルギー源になることがわかる。自然エネルギーはエネルギー密度が低すぎて使えない。
えー、“エントロピーの法則”って、熱力学第2法則の事?そこからは、「エネルギー密度の高いものほど有望なエネルギー源」なんて、アプリオリに引き出せないけど?むしろ、地球環境を(熱エネルギー的に)閉鎖系ではなく、開放系たらしめている太陽エネルギーこそ持続的利用可能、というのが引き出せてしまうのだけれど。物理学んだこと無いの?
satromiさん
http://b.hatena.ne.jp/satromi/20110906#bookmark-57904902
自然エネルギーを未だにまともに使えると思ってるのはおめでたい。お手盛りと他のデータは否定する割に、NEDOのお手盛りはスルーとか、相変わらず読みたいデータだけ読む人だなぁ。
ここでは、菅さんの発言は思いつきではない、という話なので、別にお手盛りかどうかは関係が無いのだが、相変わらずエントリーも読まずにコメントしてしまう人だなぁ。
で、お手盛りだ、おめでたい、と思うなら、NEDOや産総研の研究の不備を検証してみれば?やれるなら。
http://b.hatena.ne.jp/satromi/20110912#bookmark-58541474
見込みの甘すぎる仮定が多すぎる。その新エネルギーの投資をする前に、キャッシュが無くなったら終わりだろうに。だからこそ、海外へ逃げる発言が出るんだけど、机上の空論は楽でいいよね。
見込みがどう甘いか指摘してみれば?で、キャッシュが無くなったら?バカじゃないの?日本では、需要不足が問題で、むしろ金余り状態にあるのは常識なのに。机上の反論は楽でいいよね。
意見は一致しているさん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110910/1315639169#c1315642237
なんだ、どの層でも意見は一致しているじゃありませんか。
違いますよ。私の過去エントリー、「原子力はやめよう」を読んで貰えば判ります。
最初に、ビジョンとして「脱原子力」を打ち出すこと。それが一番大事。
で、「即時停止」か「漸次廃止」かは、その後の政策レベルの問題。
「即時停止」なら、一時的に火力増強と節電で乗り切っても良いし、「漸次廃止」なら、原発の運用中の安全確保も討議対象になる。「代替案」は、そこで具体的に検討される話であって、「代替案を用意してから徐々に…」なんてのは、いつまで経っても終わりはしないのです。
コインさん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110913/1315914333#c1315939705
愛国心を企業は持つことが出来ないし、外国人経営者には持つことはもっと不可能だと思います。今の米国もそうですが、過剰な行動は愛国心でないし、国を傷つける自己満に私はみえます。
私の意見はちょっと違います。企業だけでなく、個人にだって愛国心を強要することは出来ません。ですが、政府や企業経営陣は、個人には愛国心・愛社精神とやらを説きたがりますね。一方で、企業の行動の制約は嫌がる。雇用も守ろうともしないし、出すものは惜しみたがる。それは、企業とはそういうものだ、で済ましたりしないで、指摘していくべき、というのが私の考えです。
地下猫さん
http://b.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20110913#bookmark-58925230
儲かるというのは大事なことですね。自然エネルギー産業で適正に儲けてくれればいいと思いまつ。原発はそもそも「適正な儲け」というのが無理なんじゃねえかと。
産業として成り立つ、というのは重要で、それはドイツやアメリカ、中国で実証されているわけです。そうして考えるとドイツの自然エネルギーに関わった人たちは凄いと思いますね。保証も無い未知の領域で勝負したわけですから。日本の太陽電池メーカーや関わった研究者も立派だと思います。
suzu_hiro_8823さん
http://b.hatena.ne.jp/suzu_hiro_8823/20110914#bookmark-58925230
安くてそこそこいい物をドンドン作るというビジネスモデルを展開するんなら、そりゃ賃金安いところがいいということになる罠。それが可笑しいというのならその考え方そのものが可笑しいってことかね。
元祖、大量生産国家イギリス、アメリカ、がどういう変遷を経たか、を考えれば、自ずと明らかじゃないですかね。大量加工貿易国家、というスタイルを維持し続ける事は不可能、という事です。
また、必要に応じて回答していきます。
■[雑記][トンデモ]男は理性的/合理的、女は感情的/非合理的
このところ、エントリーを上げるたびに、面倒なくらいコメントが付くようになって、キチンとしたコメントくれた方への返信まで怠るようになってしまいました。すいません。読んでないわけじゃないんですよ。
さて、それらのノイジーなコメントにやたら混じっているフレーズが気になりました。
ぼくちゃんへ 2011/07/17 01:21 本当に理系だとしたら可哀そうなくらいロジカルでない雑文だな。もう少しよく考えてからアップしたほうがいいですよ、ぼくちゃん。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110716/1310803436#c1310833289
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20101221/1292940554#c1292998485
はぁ…。この人本当に「研究者」なのか?
あんたのやってることは、単なるレッテル貼り。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20101221/1292940554#c1293463878
理系開発者 2010/09/18 15:59 理系研究者という割には、屑だの糞だの全然論理的ではない罵倒だけで・・・論理的に何が悪かったのか?自分ならこうした位の考証や検証をしてから、述べるべきでは。物事の表層を見て判断するなんて、自称でも理系研究者を名乗って欲しくないですね。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100917/1284730633#c1284793182
中産階級 2010/09/19 09:11 このブログ主の主張からはまったくなんの展望も解決の方向性も見出せない。これで一応理系研究者で「本出したい」って言うんだからあきれてものも言えない。日本の左翼って、もう社会不適格な残りかす以外残ってないんだろうなと分かった。よし、これからは自民党とみんなの党に入れよう!
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100917/1284730633#c1284855113
しにすぎ 2010/09/19 18:00 理系研究者とは思えない乱暴な物言いだ
論理性の欠片も感じない
頭に蛙でも詰まってるんじゃないか?
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100917/1284730633#c1284886824
munyuu 2009/12/05 00:42 理系研究者を自称して偉そうなことを言う割に、現実には無力なんですね(・∀・)ニヤニヤ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091203/1259844768#c1259941334
性犯罪以前に犯罪は基本的に無いのがベストで、でもそれを実現する手段がないからまずは自衛してくれっていうだけの話。具体策が無いのに文句だけはつける人ってどうなんでしょうね?とても研究者とは思えない。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091203/1259844768#c1259945554
かんじ 2009/10/22 13:45 理系ってこの程度かよ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091021/1256132106#c1256186727
bob 2009/10/22 17:09 >>一応さん
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091021/1256132106#c1256198941
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091021/1256132106#c1256229967
一部取り上げましたが、プロフィールの「理系研究者」に反応したような、そして似たようなコメントです。
「オマエの考え方は理系の研究者らしくない。本当に理系研究者なのか。理系研究者を名乗るな。」
こんな論調ですね。面白いのは、論者が理系かどうか、なんてのは関係無い話にまで、「理系研究者ならこんな考え方はしない」的な意見が書き込まれている事です。
私が研究者をやっているのは、単に他に取り柄が無く、研究が好きだからです。それ以上の理由はありません。研究者であることは、別に他人に誇るべきことなどではなく、むしろ普段は隠しておく事にしています。
参考:気になる人に「お仕事って、どんな事されてるんですか?」と訊かれたら?
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090113/1231856153
だから、いったい「理系研究者なのか?」と問われても、何が尋ねたいのかさっぱり判りませんでした。そうでも、そうでなくても、質問者が何か得るものはあるのか?
ちょっと前に、上野千鶴子氏が朝日新聞に載せているコラムが話題になったことがありました。
今朝の朝日新聞コラムの自殺相談への回答がヤバイwww:ハムスター速報
http://hamusoku.com/archives/4989875.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/hamusoku.com/archives/4989875.html
要約するとこんな内容です。
自分は、50代で、無職で、独り者で、家族も親しいものもいない。社会に迷惑を掛けないために自殺しようかと思う。その方が社会のため。(シートン要約)
その回答は明快でした。
自殺するのに社会貢献がなんたら云って死ぬヤツはいない。死ぬったって、本当に死ぬ気はなくて、自分の苦境を素直に訴えられないだけだろ。つまんない気取りは捨てて素直に、苦しい、寂しい、つらい、と助けを求めろ。(シートン要約)
で、こう締めくくります。
これだから男はめんどくさいんですよね。
見事な回答です。弱音を吐いてはいけない、助けを求めてはいけない、という「男」にとらわれている限り、人生の先は見えなくなる。助けてほしかったら、(ジェンダーとしての)男を脱ぎ捨てればいいのに(それが出来ないから)“男はめんどくさい”と述べたわけですね。
でも、先のエントリーやブクマを見る限り、反発が多いです。なんで、これほど反発するのか。それは、おそらく自身も質問者にシンパシーを寄せるような立場にあるからでしょう。そして、彼と同じく、「男」の立場に拘っている。
http://d.hatena.ne.jp/ka-ya1789/20110424/1303642259
「誰もお前の“女”なんて買わねぇよ」とかそういう、個別具体的な問題ではなくて、この社会では、女であること=常にすでに性的商品であることを期待されているんだな、と実感することが、ときどきあります。
女性は、その存在自体が「性的商品」として「値付け」される立場にあります。その役割を果たすことが、今なお、社会に期待されている。ka-ya1789さんは、それに対する違和感を表明してらっしゃいますが、続けて興味深い論点を提供してくれます。
私から「若い女」であることを取り除いたら、いったい何が残るんだろう、と考え込んでしまいます(同じように、「自分から『若い男』であることを除いたら、何が残るのかな」って考える男性はいるんだろうか。いるかもしれない)。
女が「買われる性」としての役割を持たせられているなら、男は「買う性」としての役割を担わされている。つまり、買える立場、買える能力、こそが、「男」に期待されているわけですね。
定職があるとか、女性をスマートにリードするとか、物理的にも経済的にも“守る”能力を持つこと。それが出来ないものは、「男」として失格、という事になります。
(「男」という立場に拘る限り)何も残らない男性、それが、殊更に上野氏の論調に反応してみせたのではないか、そう思います。
持つものは、上野氏の論調に気づきもしないし、鷹揚に扱うわけですから*1。過敏に反応してみせたこと自体が、彼らの拘束状態を示しています。
実際、先のコラムに対するブックマークで上野氏をdisっているものの多くが、(エロゲ関連で)ミソジニー垂れ流しだったり、韓流報道がどうたらこうたら騒いでいる連中です(ブックマークコメントを比較してみれば判ります)。
では、「男」としての立場に拘るが、「男」の立場を「買う側」に置きたいのならどう振る舞えばいいのか?元手は無いが、女になめられたくない。言い換えれば、「女性」に対する「優位的立場」をどう担保するのか?それが、理系=理性的=合理的、なのではないだろうか、と思います。
実際、男+理性的・合理的・理系 女+感情的・非合理的・文系 でググると興味深い結果が見れます。
お山の大将ごっこに興じるための道具、それが「理系」。「理系」は、自分の立場を強化し、支えるもので無くてはならない。だからこそ、自分の意見と異なる事に対して、(その意見が科学的に扱うべきかどうかを考慮せずに)「理系ではない」と意見表明したくなるのではないか。そんな事を思ってしまいました。
これだから「男」はめんどくさいんですよね。
では。
2011-09-17 豪雨
■[雑記][適正技術][環境論]脱原子力はチャンスだよ その5(5/5)
このエントリーは
脱原子力はチャンスだよ その1
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898
脱原子力はチャンスだよ その2
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340
脱原子力はチャンスだよ その3
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110910/1315639169
脱原子力はチャンスだよ その4
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110913/1315914333
の続きです。
この話も一応これが最後です。
さて、産業が海外流出する話ですが、前に述べたとおり、勝手にすればいいと思っています。
出ていく事も決して悪影響ではない、という事以外にも、企業のハッタリにすぎない、という事情もあります。
そもそも、「出ていく」と恫喝する企業の挙げる新興国、中国・タイ・インドネシア・ベトナム・マレーシア…、どの国も慢性的に電力不足です。出掛けてみれば判りますが、しょっちゅう停電があります。経済発展に伴う電力需要の増加に電力供給が追いつかないんですね。当然、電力の質もよくない。でも、進出する企業が相次いでいる。これはどういうことか?
一つは、電力供給を優先して貰っている。ただ、これは進出先の都合によって影響を受ける。自国資本を優先する政策となれば、電力供給もおぼつかなくなります。
もう一つが、自己で賄うこと。大概は、日系企業群は同一の工業団地へ合わせて進出しますから、その団地レベルで発電所を持つ事が出来ます。
であれば、日本でも同じですよね。電力供給を自分達には質の良い電力を廻してくれ、と要求しても良いし、幾つかの企業工場群で共同の発電所を持っても良いわけです。そのどちらでもなく、「原発を始動しろ!でないと、出ていくぞ!」
というのは、単なる難癖に過ぎないのです。
人材、人材育成、労働力、労働力調達手段、用地、交通アクセス、部品/部材供給、顧客、経営、etc…。様々な問題を粘り強く解きほぐして、ようやくその国に根を降ろせるのです。覚悟と長期的展望が必要な話であって、単に「電気が高いから出ていく」みたいな甘い話はありません*1。
出ていくところは、どうやっても出ていきますし(莫大なイニシャルコストを回収するため)、出ていく詐欺をはたらくところは、その程度のランニングコストさえケチっているわけですから、莫大なイニシャルコストを気前よく出したりはしません。
むしろ、日本においては独占の弊害である高い電力料金が、妨げになってきました。静岡県の中部、現在は静岡市になりますが、蒲原にある日本軽金属蒲原製造所は国内ではアルミ精錬を行う唯一の工場です。
http://www.nikkeikin.co.jp/pages/kaisya_annai/06seizoukyoten/seizoukyoten_dtl/kanbara.html
アルミ精錬には莫大な電力が必要なため、日本ではアルミ精錬業は潰滅しました。なぜ、蒲原製造所が残ったか、というと、自前の水力発電所を持っていたからです。
参考:(こちらに蒲原製造所の水力発電用導水管が載っています)
http://blog.goo.ne.jp/voyage-voyage/e/cbd9e49c96a0b2e5abeaffa8adabca73
でも、アルミ精錬業が出ていくような状況に異論を唱えていた「原発推進派」っていましたかね?日本では、電力料金に全ておっかぶせる「総括原価方式」を取っています。高コストにした方が利益になる。それが、原子力を進める理由の一つともなりました。そういった構造にクレームを付けたりしなかった方々が、自然エネルギーを「高い」と騒ぐのは、あまりにバカすぎます。今更何言ってんの?
前にも説明したように、成熟段階にある(進むべき)日本において、全ての加工産業を残すことは不合理で不可能です。いかに人件費をケチり、こき使い、値切って、海外市場での価格競争力を維持しようとしても、為替レート次第で全てチャラになります。為替レート自体、抱え込む外貨量によってシフトしますから、どこかで限界がくるのです。故米原万里さんは、それをパスカルの定理に喩えて説きます。むしろ、得た外貨を効果的に再分配によって内部循環させて内需を活性化する方が良い。
一部産業が国外へ出れば、為替レートが下がることによって国内生産と国外生産の価格競争力が均衡する時が来ます。どの企業も、本音では出ていきたくない。均衡状態になる時を待った方がいいか、打って出る方がいいのか、ババ抜きみたいなものなのです。だからこそ、出ていく詐欺を行っているとも云えるわけですが。
日本が行うべきことは、ひたすら輸出産業を維持し続ける事ではありません。均衡レベルで国内経済が充分に廻る構造を作り上げること。今まで進めてきた政策は明らかにダメな方向にありました。税よりも、電力よりも、内需を創ること。それが、求められる事なのです。そして、自然エネルギーにはそのチャンスがある。原子力に固執するなら、チャンスを失う。
虎視眈々と自然エネルギー市場進出を狙う企業と話をして感じるのは、政府が本腰を入れるかどうかを疑っている、という事です。本腰を入れるなら、驚くほど巨大な産業が立ち上がるでしょう。ドイツなど比では無いほどに。でも、脱原子力が進まなければ?
みなさんはどちらがお好みでしょう?
では。
この後、少し頂いたコメントに回答するエントリーを上げていきます。
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■[雑記][適正技術][環境論]原子力の安全性
今回の原発災害にあたって、安全審査を徹底し、もっと安全な原子力を目指していくべきだ、的な意見が見受けられますね。停止中の原発の再稼働や、新規建造にあたって肯定的な意見を持っている人たちが賢しらに叫んでおります。なるほど。ごもっともかもしれません。キチンと、起きた災害に対して真摯な反省をしたなら、そういうのもありかもしれませんね。
この危機認識を社会に定着させていく上では、いわゆる原子力の「安全神話」や観念的な「絶対安全」という標語は捨てられなければならない。事故の発生防止に万全を期することは当然であるが、重要なことは、確率は低くとも事故は起こりうるものとして、それが大きな被害をもたらさないように事前に適切な手段が講じられており、それらが相まって事故の総合的リスクを許容しうるレベルにまで低減することであって、そのことが、関係者の間はもとより、国民的にも理解される必要がある。
このことは「絶対安全」から「リスクを基準とする安全の評価」への意識の転回を求めるものである。リスク評価の思考は欧米諸国において既に定着しつつあるが、我が国においても、そのことに関する理解の促進が望まれる。
2011-09-13 晴れ
■[雑記][適正技術][環境論]脱原子力はチャンスだよ その4(4/5)
このエントリーは
脱原子力はチャンスだよ その1
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898
脱原子力はチャンスだよ その2
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340
脱原子力はチャンスだよ その3
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110910/1315639169
の続きです。
さらに、もう少し「自然エネルギー」の産業論について述べていきましょう。
現在、日本の産業中核である自動車産業が国外へ移転していますね。ひどいのが日産で、どんどんと傘下企業の移転を後押しして技術・資本流出を進める一方、タイ製の自動車を日本で売りさばく始末。
http://www.news-postseven.com/archives/20110806_27627.html
【株主総会ライブ 一覧】日産自動車 関心の的はゴーン社長の報酬とEV
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110629/bsa1106292145004-n1.htm
日産自動車の定時株主総会が29日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で行われた。総会の中でカルロス・ゴーン社長は、2011年3月期の役員報酬が、約9億8200万円だったことを明らかにした。
愛国的な日本人だったら、韓流がどうたらいっていないで、こうした“反日外国人”に抗議する方がいいんじゃないですかね。そして、売国的(文字通り)自動車はスレッジハンマーでぶっ壊すとか、ブルドーザーで潰すとかしないと。
ま、それはともかく、日本の自動車産業は、日本を食いつぶす形で国外へ飛び出ているわけです。これを国内へ留めなくてはいけない、そのために賃金を下げろ、労働条件を下げろ、的な意見が出たりしますが、
トヨタ伊地知専務「日本の技術力を守るために労働規制の緩和を」
http://response.jp/article/2011/08/03/160391.html
個人的には自動車産業にそこまでして残って貰わなくても構わないと思ってます。というのも、産業というのは必要に応じて違うものにシフトしていくものだからです。
私の住む静岡県の西部地域といえば、自動車産業の発祥地の一つです。ホンダ、スズキ、ヤマハ…、なぜ静岡県西部で自動車産業が興ったのか。それは、他の発祥地と合わせてみてみれば判ります。もともと繊維産業が盛んな地域で自動車産業は始まったのです。
戦前の日本の産業の主軸といえば、繊維産業でした。その繊維産業の紡績機や織機には高速度で高精度な往復運動・回転運動の部品が必要です。そのノウハウが自動車製造へ応用されたのです。本田宗一郎らがいかに野心的ビジョンを持っていようとも、そのビジョンを支え、裏付けとなる機械製造技術が無ければ、実物は生産できません。浜松には多くの繊維産業を支える町工場がありました。その町工場の技術を母体として自動車産業は進展したのです。
自動車産業ばかりではありません。繊維素材関連産業も繊維だけでなく化学工業や化粧品などへも活路を求めました。産業は決して一所に留まったりはしません。常に変化し、新たな活路を求める。であれば、成熟してしまった国内市場を持つ自動車産業だって同じ事の筈です。彼らも新たな活路を求めるし、為すべき事は恫喝(○○しないと国外へ逃げる)に付き合う事ではなく、新たなビジョンを提供することです。
繊維産業を支えた技術が自動車産業を巣立ちさせたように、自動車産業を支えた技術は自然エネルギー技術に必需です。私は自動車部品の単価を聞いた時、その値段に驚いたことがあります。一般に外注した時の値段と3桁は開きがある。「数が出るから、何とかやっていける」そう、関係者は云います。その状況がいいとは云いませんが、しかし、明確なビジョンが定まり、数値目標を打ち立てれば、自然エネルギーもコストダウンが進む事は間違いない。現在の関連産業で製造される部品は特注品にも近い扱いだからです。
今まで電力産業に独占されてきた市場。そこが開放されて新規参入が相次げば、与えるインパクトは情報産業どころの騒ぎではありません。大きなチャンスがそこにはあるのです。
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2011-09-10 晴れ
■[雑記][適正技術][環境論]脱原子力はチャンスだよ その3(3/5)
このエントリーは、
脱原子力はチャンスだよ その1
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898
脱原子力はチャンスだよ その2
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340
の続きです。
前回エントリーのような話を持ってくると、次いで登場するのが「(発電)コストが高いから、企業が海外へ逃げる」と騒ぐ連中です。新聞記者にも多数いてウンザリしますね。もともと、私は企業が海外へ出る事はそれほど大きな問題とは思っていません。開発途上の国家と違い、日本は成熟型に脱皮するべきであって、為替レートが違うのに価格面で対抗するようなバカな真似は続けられるわけはありません。適当に企業が出ていけば、為替レートは下がり適当な水準で均衡します。重要なのは再配分や雇用を維持することであって、価格低下のために人を削りまくり通貨の流れを淀ませる企業を守っても得るものはありません。
ま、それは別の機会に詳述しますが、それを置いても自然エネルギー開発を進める事には重要な意味があるのです。というのも、産業界は実際には自然エネルギー利用へ軸足を移し始めているからです。
私が一番よく読む新聞は、朝日新聞でも赤旗でもありません。実は日経産業新聞です。
日経新聞に比べてメーカーを主とする産業に関する記事が充実していて、どちらかといえば企業の技術デモの役割を果たしていますが、この数ヶ月の間に大きな変化がありました。昨今、紙面で多くを占めているのが、「省エネ」と「自然エネルギー」関連技術記事なのです。
そうした記事を丹念に辿ると、面白い事が判ります。
米倉弘昌経団連会長といえば、露骨なほどの東電と原子力擁護で多くの人々の顰蹙を買いました。
米倉経団連会長:「脱原発なら経済成長落ちる」 − 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110720k0000m020142000c.html
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110628k0000m020037000c.html
経団連会長「東電は被災者。東電の賠償は国が負担し、皆で東電を支えるべき」
http://alfalfalfa.com/archives/2940162.html
経団連会長「福島事故の東電の奮闘に頭が下がる。甘かったのは東電ではなく国だ。それと国有化は全然ありえない」
http://blog.livedoor.jp/newskorea/archives/1487276.html
今、彼の人は新政権下で原子力推進再開を期待してウハウハなのでしょう。でも、その米倉氏のお膝元、住友化学を含む住友グループを見ていくと少し違ってます。
「半導体・オブ・ザ・イヤー2011」でグランプリ(住友電工)
http://www.sei.co.jp/newsletter/2011/08/6a.html
当社の「白色LED用6インチGaN基板」が、半導体産業新聞の主催する「半導体・オブ・ザ・イヤー2011」の半導体用電子材料部門で、グランプリを受賞しました
本賞は、重要性を増している最先端のIT機器・産業を支える半導体製品・技術を表彰し、業界の技術および市場のさらなる発展に寄与することを目的として1994年に創設。半導体用電子材料部門は、17回を迎える今年新たに設置され、記念すべき第一回目のグランプリを頂くことができました。
このたびグランプリを獲得した「白色LED用6インチGaN基板」は、LEDチップの小型化、高放熱性による高出力化に寄与します。また、優れた熱伝導性や、高速の電気応答性、高耐圧といった特長を有していることから、パワーデバイスの有望な材料です。
この、GaN(窒化ガリウム)単結晶基板は照明用白色LEDの高効率化(高輝度化)、大量生産に道を開くものです。つまり、照明の省エネルギー化を進めているんですね。また、GaNは、パワー半導体と呼ばれる大電力制御に欠かせない素子を高性能化させます*1。これら、パワー半導体の一番大きな市場として期待されるのが、自然エネルギーなのです。
住友大阪セメント、Liイオン2次電池に用いるリン酸鉄の特許ライセンスを取得
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110705/193109/
住友大阪セメントは、Liイオン二次電池の性能向上の鍵を握る材料のライセンスを取得しています。高性能なLiイオン電池の大市場が何かは言わずもがな、ですね。
住友金属工業も大型の自家発電施設を持っています。もし、発送電分離が行われれば、効率の良い新型発電設備にして売電も見据える事が出来るでしょう。
自然エネルギーや電力自由化は経団連会長のお膝元でもマイナスにはならないのです。むしろ、従来に比べて市場拡大が見込める状況になろうとしているのです。
もっとハッキリと自然エネルギーシフトを見据えているのが電機産業です。白物やAV、IT市場が成熟し、先細りで海外展開も思わしくない電機産業にとって、創エネ・省エネは有望な次代の市場に成りうるからです。太陽光発電はもちろんですが、家庭用蓄電システムなども力を入れています。
パナソニック、2013年に誕生する藤沢市の「スマートタウン構想」を発表
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20110526_448578.html
実現に向けた取り組みが本格化
http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2011/0712/index.html
必ずしも、その方針に賛成とは云えませんが、電機産業にとって大きなチャンスとなっている事は確かです。韓国・中国勢との競争で疲弊した電機産業に新たな技術と市場獲得の機会を与えます。実は、このジャンルでも中国勢の伸長は著しいので、積極的な支援をすべきだと思うのですが。「原子力が無いと経済が落ち込む」という人々は、本当に何も判っていないというか、調べようともしないのですね。
「自然エネルギーでは半導体は製造できない」という意見もよく出ます*2。
でも、これもくだらない意見です。自然エネルギーの導入が進んでいるドイツにはインフィニオン社があります。
infineon Technologies
まだ、全部自然エネルギーに置き換えてもいない、導入も進んでいないうちからデマを飛ばすのは止めましょう。この手のくだらないデマに対しては、水道を例に取ってみればいいでしょう。
日本の電力供給は電圧も周波数も変動の少ない「高品質」です。水道でいえば高度浄水された水道ですね。でも、皆が高品質の水道が必要かといえばそうではないわけです。多くの用途が風呂やトイレである日本において、全量を高度浄水する必要はない。飲用や調理などには「浄水器」を利用したり(実際、皆そうしてますよね?)、スーパーで「アルカリイオン水」とやらを買ってきて利用したりするわけです。
電力でも同じです。以前、説明しましたが、家庭用に限らず現在の電器製品に使われるのはインバーターを通しますから高品質の電流はいりません。産業用でも必要なところは限られます。そういうところでは、「自家発電」でもいいし、バッファーや精度の高いインバーターを設置すればいいのです。その方が送電設備も簡素化出来ますし、コストダウンに繋がるでしょう。
さらにつけくわえるなら、
三菱総合研究所、三菱電機、青森県八戸市の3者は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの委託事業「新エネルギー等地域集中実証研究」の一環として、太陽光発電などの再生可能エネルギーのみを用いて商用電力系統と同等の高品質な電力品質を得ながらの自立運転に世界で初めて成功したと発表した。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20071114/1195029911
