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2017-12-27 晴れ

[]原子力ゾンビ国家ニッポン

先日、NHKで「脱炭素革命の衝撃」という番組が放映されました。


激変する世界ビジネス “脱炭素革命”の衝撃

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017082982SC000/


パリ協定発効から世界の動きが大きく変化し、脱炭素CO2)≒再生可能エネルギー(再エネ)市場の拡大が進み、今や脱炭素目標としない企業投資先にも選ばれない、という“衝撃”的な内容でした。とりわけ、日本先進技術保有していながら、人々の(とりわけ政府の)認識が遅れているために、自己認識とは異なり、世界趨勢から取り残されていることが示唆されます。


ですが私が驚いたのは、ネットにおけるこの番組に関する関心の薄さ、というか無関心を装った態度です。

例えばはてなブックマークだと2つしか反応がありません。はてなブックマークでは「再生可能エネルギー」に関してネガティブネタには極めて多くのブクマが付きますが、世界趨勢を示すような記事には大した数の反応がありません。現実から目をそらすのが好きな方が多いようです。


twitter検索して見ると、そこそこリアクションがありますが、こちらではNHKに対して「偏っている!」的なコメントを見る事が出来ます。思わず笑ってしまいました。

なぜなら、NHKだけでなく、すでに日経新聞も、日刊工業新聞もこのネタを取り上げているからです。


脱CO2、先頭から脱落 環境後進国ニッポン 再生エネ普及で差

地球温暖化対策評価する複数指標で、日本は数値の悪化が止まらない。世界で急激に進むパラダイムシフトから取り残され、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及や産業構造の転換が遅れているからだ。優れた省エネ技術公害対策などで「環境先進国」といわれた日本自画像は大きく揺らいでいる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21864180U7A001C1SHA000/


再生エネ後進国日本#01】“生態文明”掲げリーダーに躍り出た中国

日本再生可能エネルギー後進国なのか―。最近、このような論調が目に付く。化石資源依存しない“脱炭素社会を目指す「パリ協定」が2015年末に採択されると世界各地で再生エネの導入が加速され、中国再生エネのリーダーとなった。対照的日本では再生エネの弱点ばかり指摘され、世界から取り残されはじめた。日本再生エネ大量導入の道筋を探る。

https://newswitch.jp/p/10920


国際エネルギー機関IEA)でさえ、世界的に再エネ拡大が進んでおり、特に中国が「再生エネで疑いなく世界を主導している」と述べています*1。手前みそで申し訳ありませんが、私も数年前から同様のエントリーを載せております。


再生可能エネルギーはもう終わり(日本では)

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20150906/1441513698


再生可能エネルギーはもう終わり(日本では)回答編

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20150909/1441799763


どの記事でも同じです。日本政府が本腰を入れて再エネ導入を大幅に拡大する方針を立てないことが、(日本における)再エネのコスト低下を阻み、普及が進まないことを指摘しています。というか、どちらかというと、日本政府(や電力会社)は再エネをオミットしているフシが見受けられます。


送電線に「空容量」は本当にないのか?

http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/occasionalpapers/occasionalpapersno45


おそらくは、原子力を維持する言い訳のためでしょう。

世界趨勢においては、すでに再エネのコスト石炭火力を下回り、太陽光発電風力発電コスト安を争っている状況です。原子力はまったく太刀打ち出来ていません。


英への原発輸出政府支援を」 出資集まらなければ中止も 日立社長

https://www.asahi.com/articles/DA3S13279736.html


東芝を潰しかけたのがアメリカでの原子力事業であるのは既に知られているところですが、日立イギリスでババを引かされかけています。日本政府はこの原子力事業債務保証を付ける方針です。原子力海外では不良資産扱いなのですね。

日本国内でも、大飯原発廃炉申請されました。


大飯1・2号機の廃炉を決定 大型炉、福島第一以外で初

(前略)関電は今回、原子力規制委員会審査クリアして運転を最長20年延ばしても安全対策費がふくらみ、採算が合わないと判断した。

 2基の炉は特殊構造をしており、安全対策技術面でも難しいとされる。安全対策費は1基2千億円ほどにふくらむ見通しだった。(後略)

https://www.asahi.com/articles/ASKDP61Y5KDPPLFA00M.html


安全措置に掛かる費用考慮したら、“割に合わない”から、だそうです。40年超(60年)の運転で割に合わない、ということは、いわゆる“原子力は安い”の根拠が崩れていることを示しています。原発コストは40年の運転計算されています*2。それが60年まで延ばしても割に合わない、とすれば実態計算根拠合致していないのです。

原電も潰れかけています。


原発パイオニア」窮地 原電、全基停止で経営危機

https://www.asahi.com/articles/DA3S13288210.html


各電力会社等からの助力が無い限り原電は潰れるでしょう。各電力会社も金を出すことには消極的で、政府の助力を望んでいます。

以前、再エネに関して


the_sun_also_rises 自由競争により再生可能エネルギーが他を上回るなら誰も反対しない。僕らは人為的相場無駄を指摘しているだけ。今は人為的供給率を上げている。その状況と人為的操作が切れた状況を混同して議論しても無意味

http://b.hatena.ne.jp/entry/265107079/comment/the_sun_also_rises


と書いていた人がいましたが、現在、息をしてますでしょうか?

それでも政府原子力の維持も低めの再エネ導入目標撤回する様子はありません。もはや、自分達が死んでいるのにも気付かない「原子力ゾンビ」とでもいう状態です。


ただ、現実容赦なく迫ってきます。世界マネーの流れは再エネ市場に流れ込み、それに消極的企業や国からは引き上げられます。


「脱炭素革命の衝撃」では、洋上風力発電開発に取り組む技術者が、日本世界趨勢から取り残されている事実を指摘され、悔しさで涙ぐむ場面がありました*3現実に直面する、とはそういうことです。

未だに「再エネは高い」だの、「不安定だ」だの云っているゾンビどもは、現実を受け止めた方が良いと思いますよ。ご自慢の「スゴイ日本!」の技術的優位性が完全に失われてしまう前に。

では。

ゾンビランド [Blu-ray]

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[]伝説香港九龍城に住んでいた日本人 って

マニア、の吉田一郎さんじゃないの。


伝説無法地帯香港九龍城にただ「物件が安い」という理由で住んでいた日本人 #激レアさんを連れてきた

https://togetter.com/li/1183801


国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

*1日経産業新聞2017,10,5

*2:このほか、設備稼働率が高めに設定されており、実績には合っていない

*3番組で指摘されているのは、日本が高効率石炭火力の輸出を進めることに対する批判でしたが、なぜ、日本が高効率石炭火力の輸出、などに力を入れるかといえば、CO2排出抑制に貢献したという言い訳と、再エネ技術輸出に力を入れたくないからです。再エネ輸出に力を入れるためには国内でも導入拡大を方針に定めなくてはなりません。これは事実上原子力必要性競争力を失わせるためにやりたくない。なので、原子力石炭火力を官民一体で売り込むわけです。この目論見が見透かされているために、世界中から痛烈な批判を浴びることになる。

2017-12-09 晴れ

[]アルスラーン戦記 完結おめでとう!

先日、アルスラーン戦記が完結する、という噂が流れまして、“そんな日が来るものかよ。そんな甘い噂に振り回されるとは、まだまだだな。”などと思っておりましたら、本当に、光文社サイトにてアナウンスされているではありませんか。


田中芳樹 アルスラーン戦記最終巻発売記念ページ

https://www.kobunsha.com/special/arslan/


うーむ、世の中に何かが起こる前兆なのか、それとも何か起こったのか、などとヒドイことを考えたのですが、同サイトに「「#アルスラーン名場面」をつぶやいて、サイン入り全巻セットをゲット!」というような事が載せられておりました。私はツイッターをやりませんので、ここでアルスラーン戦記の思い出について語るといたしましょう。


他の人々の大半は、「銀河英雄伝説」から「アルスラーン戦記」や「創竜伝」へ進んだのではないか、と予想するのですが、私の場合ちょっと違った邂逅をするのです。

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

そもそも、私がアルスラーン戦記(以下、アルスラと略す)を知ったのは、アルスラが創刊されたばかりのことです。

作者、田中芳樹氏と赤木毅氏の対談*1で、角川文庫書き下ろしキャンペーンが契機、というコメントがありますが、まさに、そのキャンペーンで発刊された数多くの作品書店出会ったのでした。

書物の森でつまずいて… (講談社文庫)

書物の森でつまずいて… (講談社文庫)

当時、本を買う小遣いが乏しかった私は、同じく本好きの友人と、本をシェアしておりました。つまり、互いに「俺はこの本買うから、お前はあれな。」と打ち合わせて、買った後に貸し合うのです。こうやって何人かで買えば、乏しい小遣いでも読む本の世界が拡がるわけです。で、その時、角川文庫新刊平積みになった一つに「王都炎上」がありました。

王都炎上―アルスラーン戦記〈1〉 (光文社文庫)

王都炎上―アルスラーン戦記〈1〉 (光文社文庫)

しかし、実はアルスラは私の興味を引きませんでした。なぜなら、当時私は田中芳樹のことが好きではなかったからです。徳間ノベルスから出ていた「銀河英雄伝説」は本好きの私の興味を引きはしましたが、そのタイトルと、表紙裏のあらすじから想像される話がどうにも気に食わなかった。


銀河」で「英雄」、スペースオペラだって


その頃、私はアンチヒーローもの、を好んで読んでおりました。最近アンチヒーローという言い方をあまり耳にしませんが、要は“正義の味方”“英雄”ではない主人公、であり*2代表的なのが、平井和正の「ウルフガイシリーズ」、主人公犬神明*3というところでしょうか?正義のためではなく、己の誇りと生存を掛けて戦うタフガイ。この犬神明はのちのヒーロー像に大きな影響を与えたらしく、その造形が似た主人公はあちこちの作品で用いられています。

狼の紋章 ウルフガイ・シリーズ (NON NOVEL)

狼の紋章 ウルフガイ・シリーズ (NON NOVEL)

 閑話休題

というわけで、「英雄」という言葉があまり好きではないうえに、「銀河」を舞台にしたスペースオペラ、というのも気に入らなかった。E.E.スミスの「レンズマンシリーズ*4じゃないんだから。私の中では、スペースオペラ、などというのは子供の読むモノ、というイメージであったのです。

その頃好んで読んでいたのが、J.P.ホーガンの「星を継ぐもの」等の、いわゆるハードSFだったから、銀河を二分して戦う銀河帝国自由惑星同盟、なんて設定自体、もうお腹一杯、誰が読むかよ、という感じだったのです。今考えると、食わず嫌い、ということでしょう。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ちょっと長い説明ではありますが、よって「王都炎上」は今一つ私の興味を引かなかった。ただ、表紙のイラストには魅かれました。今、光文社ノベルス版では、丹野忍氏のイラストですが、角川文庫版では、天野喜孝氏だったのです。というわけで、“作者は気に入らないが、表紙は気になる”本としていました。


で、一方で友人は、この「王都炎上」ともう一つ、火浦功氏の「大熱血」に興味を魅かれたようでした。というわけで、友人と私で買う本を決める段にあたり、候補はこの二つとなりました。どちらがどれを買うのか?大熱血の挿画はゆうきまさみ氏、当時「究極超人あーる」で見知っていたこともあり*5、私としては「大熱血」の方がマシだな、と思ったのです。結局、どちらを買うか(所蔵をどちらにするか)について、ジャンケンで決めた結果、私が「王都炎上」となりました。ちょっと、ガッカリしたのですが、それが後の運命を決めようとは知る由も無かったのです。

自分のものとなった「王都炎上」。さっそく読み始めると(読み終わったら、友人に貸す予定になっていますから)、いきなり惹きつけられました。登場人物がどうにも魅力的だった。

主人公アルスラーン大国パルス王太子でありながら、気取った様子の無い少年。父王や母后からやんわりと疎んじられている。なんて描写主人公感情移入します。で、トドメが、アルスラーン隠遁したナルサス軍師に迎え入れる時の言葉ナルサスもあっけに取られたのですが、読んでいるこちらもあっけに取られ、そしてアルスラーンの度量に感心したのです。当然、この部分を描き切った作者にも敬意を表し、「これは、銀英伝バカにしない方が良いかもしれない」などと思ったのでした。

結局、日本でもヨーロッパでもない中世ペルシアモデルにする、というセンス王侯らしからぬ振舞いの王太子主人公にして、王者の責務というものを問う態度、といい、私の好みでありました。読み終わる頃には、一人の田中芳樹ファンとなっていたのです。ただし、「銀英伝」に手を付けるのは、しばらく先のことになります。


読み終わった後、友人と交換した「大熱血」。これも非常に面白かった。しかし、大きな欠点火浦功氏にはありました。続巻が全然出なかったのです。

現在では信じられないことでしょうがアルスラの続き、「王子二人」は半年ほどで発刊されました。シリーズものを待ち侘びる身としては、キチンと続き出るかどうかは大きい。

というわけで、泣く泣く「未来放浪ガルディーン」は諦めることとしたのです。アルスラではシリーズものの続きがちゃんと読める、という幸せを噛みしめて。まあ、皆様ご承知ではありましょうが、それはまもなく裏切られることとなるのですが、その頃には今更足抜け出来ないほどに、ずッポリ嵌まっていたのであります。


今に至るまでに、角川文庫から光文社ノベルスへ舞台を移し、コミカライズは二度、一度は映画化され、TVアニメ化もされるという中、望まれるのは完結。当時14歳だったアルスラーンも良い歳のオッサンになっていても不思議ではないわけでして、彼の戦いを見守るのもこれで終わりか、と思うと感慨深いものがあります。

アルスラーン戦記読本 (角川文庫)

アルスラーン戦記読本 (角川文庫)

アルスラーン戦記 DVDコレクション

アルスラーン戦記 DVDコレクション

田中先生、おめでとうございます。そして、ありがとう


これから、「創竜伝」も、「薬師寺涼子」もどうなるのか、また、ライフワークである中国時代もの、後漢光武帝や明の鄭和三大奇書翻案などもお待ちしております。では。

創竜伝(1) 超能力四兄弟 (講談社ノベルス)

創竜伝(1) 超能力四兄弟 (講談社ノベルス)

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

長江落日賦 (ノン・ポシェット)

長江落日賦 (ノン・ポシェット)

纐纈城綺譚 (ソノラマ文庫NEXT)

纐纈城綺譚 (ソノラマ文庫NEXT)

*1講談社文庫書物の森でつまづいて」

*2:とはいってもピカレスクロマンアンチヒーローとは云わないのかな?

*3:「アダルトウルフガイシリーズ」では神明

*4:「レンズマンシリーズは、これぞ正義の味方、というべきキニスンを主人公にしたスペースオペラ

*5:「機動警察パトレイバー」はこのあと

2017-11-24 晴れ

[][]タイトルが中身を表す

興味深いこととなりました。


慰安婦像問題で面会拒否 米側「交渉余地ない」

サンフランシスコ市慰安婦問題象徴する少女像の設置を受け入れたことに反発し、同市との姉妹都市提携の解消を表明した大阪市吉村洋文市長は24日、この問題に関しサンフランシスコ市長側から「交渉議論余地はない」として、要請していた面会を断られたことを明らかにした。

 吉村氏は同市のリー市長に直接会って、受け入れないよう求める意向だった。23日に面会を拒否するメールが届いたという。

 吉村氏は大阪市内記者団に「リー市長サンフランシスコ市議会は(受け入れに)積極的だった」と重ねて非難。今後、幹部会議提携解消を正式決定し、12月中に同市に通告する意向だ。

https://this.kiji.is/306606204837348449


まあ、サンフランシスコ市側の反応は、こちらの予想を外れるものではなかったわけですが*1、そのあたりの経緯をうまく分析した記事ワシントンポストに載りました。


ワシントン・ポスト紙「日本はなぜ植民地時代慰安婦像設置とのたたかいに負けるのか?」

皮肉なことに日本政府が怒れば怒るほど慰安婦像拡散する。彼らが像に固執すればする程世界平和活動家を刺激するのだ」

維新バカ市長、ちゃんと読めよ、これw。

https://twitter.com/SeroriHitomi/status/933688340917784576


Why Japan is losing its battle against statues of colonial-era ‘comfort women

https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2017/09/21/why-japan-is-losing-its-battle-against-statues-of-colonial-era-comfort-women/


凄いのは、その分析を強く裏付けるように、コメント欄にクソウヨが大挙して押しかけていることです。

これ、どうみてもアメリカ側の読者はドン引きすることでしょう。

私としては、「いいぞ。もっとやれ。」というところですが、これほどの認識ギャップには目眩を感じます。

ホント、「反日」と呼ばれても構わない気がしてきますね。これが「日本」というものなら。

では。

*1歴史修正主義者で人種差別者と“交渉”“議論”してはいけない。それ自体歴史修正主義人種差別助長することになる

2017-11-18

[][]有人宇宙飛行はまったくのムダ

この間から騒がれているのが、宇宙飛行士野口さん、だそうですが、なぜ相変わらず有人宇宙開発をありがたがるのかさっぱり判りません。


宇宙飛行士野口聡一さん 子どもたちに宇宙語る

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171117/k10011226291000.html


JAXAがやたら力を入れている「きぼう」なんて、わざわざ宇宙まで人が出かけて行って得た科学的成果などゼロ*1なのですから。生活保護などに対してクレームを付けていた皆様ならば、ぜひ、有人宇宙飛行にも見直しを迫るべきだと思うのですが、何故だか有人宇宙開発には甘いんですよね。宇宙にはロマンがあるだかなんちゃらですか?

さて、以前、アメリカ科学者達は有人宇宙開発に厳しい目を向けていることを紹介しました。

ニセ科学批判の本ですが、同時にビッグサイエンスに対する批判も含まれています。)

もともとISS国際宇宙ステーション)は、ロケット研究開発者を流出させずに囲い込むための手段でしかない事が語られています。現在アメリカISSについて冷淡なのも当然で、完成してしまえば囲い込みの効果は無いわけですから、新たな囲い込みの手段必要になります。それが、火星宇宙飛行士を送り込むこと。ロシア目的に関しては似たようなものでしょう。ソユーズなんて完全に割りきった運用してますもんね。

日本ではどういうわけかこういう事情が語られませんから、“日本人宇宙飛行士”などというくだらないものが喧伝されたりするわけです。


では、他国価値無しと判断されている有人宇宙開発について、どんな目的が謳われているでしょうか。


 他の惑星に移り住むための技術開発

良く言われるのが、他の惑星 ほぼ火星一択ですが に移住するための技術を開発するため、です。しかし、火星人類が移り住む、というのは果たしてどうなのか?

火星生物がいる場合といない場合で状況は変わります。

まず、火星生物がいる場合はそれで終了です。火星への移住不可能かつ行うべきではない。

火星火星生物のものですから、惑星環境改造(テラフォーミング)は環境破壊になります。探査機の到達も最低限で隔離環境を維持したまま観察という程度に留めることになるでしょう。

ちなみに、火星にかつて生物がいた、という証拠が見つかるなら、その場合火星には現在でも生物存在するでしょう。なぜなら、火星環境地球の大部分の生物種が生存可能*2です。過去から環境適応時間を充分に得てきた火星固有種が生き延びる事は充分に考えられます。ただし、現在生き延びているとしても、その様相人類想像を絶したものかもしれません。

環境倫理無視して火星惑星改造して無理やり住み着いたとしても、その場合火星生物による疫病などが起こりえます*3。ですから、火星生物存在する場合は、火星への移住不可能です。


火星生物がいない場合でも、環境倫理的には惑星改造など許されるものではありませんが、それでも無理やり行うことにしましょうか?しかし、遥かに人類親和的地球環境でさえ損なおうという人々が、火星環境をコントロール出来ますか?そんな簡単なもののはずがありません。

二酸化炭素を増やすだの、表面を黒化させるだの、フッ化炭素化合物によって温暖化を促すだの、それ、果たして丁度良いところで止められるの?という代物です。いったん動き出した環境変動は人間の手に負えない、という事が判っていないのかもしれませんね。

それに、もともと火星移住しないといけない理由理解できません。

人類が増えすぎるから、環境破壊されるから、火星に住もう。これは、自分たち責任を放り出していますよね。人類が増えすぎるなら、定常人口になるような社会設計を行い、環境破壊は食い止める。それこそが取るべき手段であって、火星に移り住むのは無責任極まりない。そんな人々が火星を再び汚染しつくさないとどうして云えますかね。

そして、火星探査自体には人間はまったく必要ありません。いまやロボットによる探査は人間自身が行くよりも安く早く確実な代物です。人間が介在する余地は無いのです。さらにセンシングによる情報をVRによって再現すれば、人間だって異星環境を“体感”することが出来ます。安全かつ安価に。それではダメですか?


 宇宙においては画期的技術開発が進められる可能性がある

宇宙技術といえば、NASA! NASAが開発、というキャッチコピーステロタイプ的に喧伝されるわけですが、別にNASAが直接技術開発をしたりはしないです。それ以上に、宇宙における技術開発自体価値が無いのです*4

私の手元にある、未来予想に関する本には、宇宙で開発されるものとして、比重の違う材質による合金、とか、高純度・低欠陥の半導体、高精度な電気泳動分析、などがあったりします。

実は、このへんは未だに取り上げられたりする「未来技術」でして、実に30年以上も「未来技術」であったりします。つまり、役立たず、ということです。

比重の違う材質同士の合金など粉末焼結法で可能ですし、実際には比重差が合金組成に効くことはありません。また、宇宙だからといって高純度・低欠陥の半導体にはなりえず、むしろ重力による対流は熱均一性に関わるので、無重力下では半導体は不均一になりやすかったりします。高精度な電気泳動も、現在では構造の改良が著しいため、無重力下でないと出来ない電気泳動分析というのはありません。

また、工業的にどんな高価なプロセスを利用したとしても、宇宙との往復に掛かるコストよりは遥かに安いので、宇宙で何か工業生産を行なうことは考えられないのです。これは、後述する宇宙資源にも関わります。

そして、このどれもが例え有意義なものであったとしても、有人環境下で行う必要のないプロセスです。現在進行中のIoTインダストリー4.0と呼ばれるものは、工業生産における人間存在をほぼ不要にします。宇宙工業生産可能な状況になった場合に、そのプロセス人間が関与する必要があるかどうかは明らかだと思うのですが。


 宇宙には地球で希少な資源がある

よく小惑星や月には白金族のような重金属やHe3、水が含まれているので資源として有望、みたいな話があったりします。しかし、これは資源についてまるで判っていない人か、セールストークとしてやっているかのいずれかです。

というのも、資源であるかは採算ベースに乗るかどうか、という問題だからです。海洋には金やウランなどが含まれていますが、だからといって「海は金(ウラン)がいっぱい」などという人は(詐欺師以外は)いません。取り出すコストを勘案しなければ資源とは呼べないのです。そして地球天体存在するどんな希少な元素であろうとも、その到達・採取法を考えれば地球で得る方が遥かに安価なのです。


結局、有人宇宙開発にはその莫大なコストを掛ける意義がありません。もちろん、「人類宇宙に出ること自体に意義があるのだ」という意見もありましょうが、であれば、散々科学的意義や産業貢献について嘘をつくのを止めるべきでしょう。正直に、「科学価値も無いし、産業への波及も無いが、それでも人を宇宙に送り出すのにお金を出して貰えますか?」と訊くのがスジだと思います。「凄いニッポン!」に飛びつきたい人々がこぞって出資してくれるでしょうから、安心して正直に認めちゃってください。

では。

*1:成果として謳われているものも、宇宙での実験必要ないものと、無人で充分なものしかない

*2地球生物種のほとんどは微生物であり、種類といい数といい他の追随をゆるさない。紫外線さえ避けられれば、地球の大多数の微生物種は火星程度の環境下に適応出来る事が知られている

*3:このへんは、地球火星、ともに「外来種」が問題となるでしょう

*4JAXANASDA委託開発成果のスピンオフみたいなものに係わった事がありますが、引き合いはあまり無いようでした

2017-11-11 晴れ

[]トランプとモリカケ問題

先日、トランプ米大統領来日しました。メディアの扱いが凄かったですね。いかに、安倍首相トランプ氏をもてなすのか、に話題が集中しておりました。そこで頻りに取り上げられたのが、(二人の)親密さです。


トランプ大統領はなぜ格別に安倍首相を信頼するのか 安倍首相トランプ政権にとって「模範的」な存在

ドナルド・トランプ大統領の初の訪日が近づくにつれて、同大統領安倍晋三首相との密接な関係が改めて日米両国注視されるようになった。

 両首脳が個人次元でも政策次元でも、通常の日米両国首脳の友好や親交の域を越えて異例なほど親密であることは周知の事実である。米国大手メディアの間で「トランプ大統領安倍首相相棒だ」という論評まで出てきたことは、この連載コラムでも紹介した(「米国でも注目、トランプ安倍の親密すぎる相棒関係http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51099)。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51480


ちょっと驚きますね。海外ニュースでのトランプ氏の扱いは“どうしようもない”存在なのに、日本に来るとなると、そんな評価は吹っ飛んで歓迎一色でした。そのギャップめまいがします。さらに疑問なのが、これほど、首脳同士の(個人的)“親密さ”をアピールすることに何か意味があるか?ということです。


本来政治的指導者は私情を挟むことを躊躇します。政治的判断私事を持ち込まず、社会的公正さから判断するように心掛けるのが一般的です。従って、いか個人的密度を増そうとも、(本来であれば)国同士の交渉の場において“友情に免じて”手心を加える、などということは期待できないはずです。

“あの”トランプだから、という意見もありますでしょうが当人としてもホワイトハウスにて私情にほだされない人事、というのをアピールするくらいですから、“シンゾー”との“友情”により手心を加える(≒弱腰に出る)人物とは見られたくはないでしょう。


政治家同士、それも国家指導者間において求められるのは、信頼度、であって個人的友情などではありません。


でも、日本における反応、それも安倍トランプ間の友情、とやらに好意的なものが多いことを考えると、日本社会自体が、個人的親密さは利益であり特別扱いを期待できるものだ、と考えているのかもしれませんね。

例えば、水戸黄門*1にせよ、釣りバカ日誌にせよ、島耕作シリーズにせよ、個人的親密さが表向きの公正さを破る道具、いわば「チート」になっていることを“お約束”としているわけですから。

水戸黄門DVD-BOX 第一部

水戸黄門DVD-BOX 第一部

釣りバカ日誌 大漁箱 (DVD-BOXシリーズ全22作品・28枚組)

釣りバカ日誌 大漁箱 (DVD-BOXシリーズ全22作品・28枚組)

トランプ氏におもねる態度は、それによってトランプ(というかアメリカ)に特別扱いされたい、という願望の露呈でしかないわけです。あまりにみっともない態度であり、そんなもの期待する方が間違っているのですが、なぜ、こんな振舞いに出るのか?


安倍首相イヴァン基金へ57億円拠出 おもてなし効果いか!?

安倍晋三首相(63)は3日、トランプ米大統領(71)の長女イヴァン大統領佐官(36)を異例の厚遇でもてなした。5日にトランプ氏が初来日するのを前に、強固な日米関係の構築を図る上で“ファースト・ドーター”をキーマン位置づけていることが浮き彫りになった。

 首相はこの日、海外女性指導者らを東京に招いて女性政策議論する国際シンポジウム女性ダボス会議)の関連行事に出席。イヴァンカ氏が設立に関わった女性起業家支援する基金へ5000万ドル(約57億円)拠出すると表明した。関連行事には来日中のイヴァンカ氏も出席。首相は「イヴァンカ氏が主導した基金を強く支持する」と持ち上げた。その後、東京大手町にある日本食材を使った高級フレンチ「星のや東京ダイニング」でイヴァンカ氏を自ら出迎え、夕食をともにした。

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2017/11/04/kiji/20171103s00042000618000c.html


それは、安倍自身が、そうやって他者歓待とおもねりを受け、それによる特別扱いを当然のこと、と捉えているからでしょう。

最近だと森友・加計学園問題、および山口某の強姦疑惑が挙げられます。


加計学園獣医学部、認可の見通し 文科省審議会答申へ:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASKC26GYKKC2UTIL061.html


加計学園獣医学部来年4月開学 認可される見通しに | NHKニュース

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171102/k10011208861000.html


安倍御用記者山口敬之レイプ疑惑まさかの不起訴相当に! 官邸による逮捕もみ消しをうやむやで済ませるのか|LITERAリテラ

http://lite-ra.com/2017/09/post-3470.html


現職首相(とその家族)に対する個人的歓待や親密さが、許認可や犯罪捜査に対して手心を加える契機となったのでは?と疑われているのですが、トランプ氏に対する態度を考えれば、同じ構図、ただし、もてなしで親密さをアピールするのが籠池氏や加計氏、山口氏から安倍に、安倍トランプに換えたものといえるでしょうね。


つまり、事実上トランプ氏に対する態度は、安倍氏疑惑傍証になっているのです。


歓待というものは、儀礼的な分を越える必要はありません。専制君主国家指導者ならともかく、民主的指導者に対して幾ら歓待しても、その指導者は“特別扱い”などしてくれません*2。その指導者が責を負うのは、指導者を選出した有権者に対して、であり、それに不利益を与えるような真似は出来ないのです。


それよりも、社会的信頼を勝ち得る方が、よほど有意義ではないかと思いますが、安倍政権には期待できないですよね。

では。

*1:今度、武田鉄矢氏が御隠居だそうですが

*2:まあ、パラダイス文書等のタックスヘイブン問題を見るなら、必ずしもそうではありませんが、少なくとも「公式な」歓待を基に態度を変える事はありません