January 27(Fri), 2012
■ ユダヤ教の十戒とキリスト教の十戒は微妙に違う(おまけにイスラム教もね)
ユダヤ教であってもキリスト教であっても十戒の元は出エジプト記の20章(と並行記事の申命記5章)だ。それならば一緒でよさそうなものだが、そうはいかない。普通はそれをそのままではなく十の戒めとして箇条書きに短縮したものであるから違うのは当然であるとも言える。(念のため言っておくが、一般の信徒にここにあるから十箇条抜き出せと言ってもうまくできないのが普通だ。それは原文のどこに力点を置くのかわからないからである。)
だから、ここで違うというのは単なる字句のことではない。字句の違いであれば日本語訳の聖書も各種あるので字句が違うのは、くどいが、当然なのである。日本語ウィキペディアの「モーセの十戒」という項目に、キリスト教内部でも異なるかのように書いている。この項目を書いた方が何を根拠にしたのかは知らないが、正教会とルーテル派以外のプロテスタント教会を一緒にし(仮にグループAとする)、ルーテル派プロテスタント教会とカトリック教会を一緒にしている(グループB)。すなわち二つに大別しているのだが、この鷹揚さの理由もよくわからない。ともかく、このようになっている。(参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%81%AE%E5%8D%81%E6%88%92)
グループA(キリスト教)
1. 主が唯一の神であること
3. 神の名を徒らに取り上げてはならないこと
4. 安息日を守ること
5. 父母を敬うこと
6. 殺人をしてはいけないこと(汝、殺す無かれ)
7. 姦淫をしてはいけないこと
8. 盗んではいけないこと
9. 偽証してはいけないこと(嘘を言ってはならない)
10. 隣人の家をむさぼってはいけないこと
グループB(キリスト教)
1. わたしのほかに神があってはならない。
2. あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
3. 主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
4. あなたの父母を敬え。
5. 殺してはならない。
6. 姦淫してはならない。
7. 盗んではならない。
8. 隣人に関して偽証してはならない。
9. 隣人の妻を欲してはならない。
10. 隣人の財産を欲してはならない。
さて、一般のユダヤ教ではどうか。これをグループCとして日本語に訳して紹介する。
グループC(ユダヤ教)
1. わたしはあるという(永遠の)あなたの神であり、エジプトからあなたを救い出した。
2. あなたのはほかに神を求めてはならず、偶像を造ってはならない。
3. わたしはあるという(永遠の)神の名をみだりに唱えてはならない。
4. 安息日を覚えてこれを聖としなさい。
5. あなたの父と母を敬いなさい。
6. 殺人を犯してはならない。
7. 姦淫してはならない。
8. 盗んではならない。
9. 偽証してはならない。(隣人に限らない)
10. 貪ってはならない。(隣人に限らない)
これはグループAに似ているが、第一の戒めが特徴的だろう。
さて、イスラム教だが、これはもっとも難しいらしい。難しさの第一は、ユダヤ・キリスト教のように記事元が明確でなく、コーランのどこを根拠にするかによって変わるからである。一つの試みがこのサイトにあった。
英文だが、いいだろう。→http://www.islam101.com/religions/TenCommandments/tcQuran.htm
January 10(Tue), 2012
■ 『史的イエス研究ハンドブック』(全4巻)と「イエスの話した言語」(承前)
この本については2回前の記事に紹介しているし、イエスの言語については何度か書いた。その続きと思ってほしい。ハンドブックは、いわゆる辞書的・教科書的なハンドブック、例えばゲルト・タイセンの下記のようなものではない。
- 作者: Gerd Theissen,Annette Merz
- 出版社/メーカー: SCM Press
- 発売日: 1998/03
- メディア: ペーパーバック
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むしろ、ここ数十年の斯学の世界的権威による論考のアンソロジー(論文集)と言ったほうがいい。もう一度紹介しておく。この本だ。
Handbook for the Study of the Historical Jesus
- 作者: Tom Holmen,Stanley E. Porter
- 出版社/メーカー: Brill Academic Pub
- 発売日: 2011/01/12
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編者はフィンランドにあるスウェーデン語の大学オーボ・アカデミ(Abo Akademi)の若手研究者トム・ホルメンとカナダ・オンタリオ州ハミルトンのマクマスター神学大学(McMaster Divinity College)のスタンリー・ポーターだ。この両者の学識は疑うものではないが、編集の仕方は意図的なのか雑なのか著者の紹介はないし再録論文の初出の注記はない。しかも序説を無駄に4回も繰り返している。
そのこととは別に、本書を初心者には薦められない。いや、本が高いから、というのは冗談で、一応上記のタイセンの本でも読んだあとならばよいが、いきなり深みの議論ばかりの論文であるから老婆心までに言うのである。まあ、それが好きなら止めはしない。
編者のポーターはベテランの域に達しているが、ホルメンはここ十年ほどの新進の学者で、たぶん実務はこの人が進めたのだと思う。自分たち以外の論文は(生きてはいるが)もはや骨董的な学者や超大物ばかりで他の新進の学者は皆無である。ちなみに余の師匠は3編寄稿しているが、既にどこかで発表したものだよ。
4冊のうちほぼ半分は方法論の議論と言っていい。認識、史学、解釈学、聖書学、考古学、等々いずれにわたっても方法論が20世紀末の史的イエス研究の本流であったことを思えば当然であるかもしれない。余自身、そのような潮流の中で神学研究の世界に飛び込んだのである。
もちろん、個別のテーマの知見もこのハンドブックにはある。例えば、編者であるポーターはイエスの使った言語について書いている。理由はいろいろと異なるものもあるが、余がいままでにこのブログで書いたと同じ結論だ。イエスはアラム語とギリシア語を理解し使うこともできた。ギリシア語で会話するだけではなく、説教もできたであろう。また、ヘブル語は聖書本文を読み、それに関して議論できるだけの理解力はあってであろう。しかし、ラテン語に関しては強い証拠が得られない。
December 31(Sat), 2011
■ 年の瀬にオールド・ロスアンジェルスの写真、ちとおセンチに
一枚目は1930年代のダウンタウン。都市の感じがする。しかし現在のロスアンジェルスは関東平野の広さの中に、昔のダウンタウンがあちこちに散らばっているような都市になり、ロスアンジェルスの本来のダウンタウン自体は、どうということはない。
二枚目もダウンタウンだが1945年。終戦の年だ。白黒の写真に色加工したものだろう。この辺りは今でも金融・保険関連の大会社のビルがある。
三枚目はダウンタウンから少し郊外のいわゆるミッドタウンの一角。1948年の撮影らしい。写真の奥がハリウッドの山々である。近くに高級住宅地もあって、今でもここは有名な商店街だが、路面電車はとうの昔になくなったし、ここにあるような店(八百屋、金物屋、肉屋など)は消えて、銀行、喫茶店、アパレル、書店などに変わってしまった。いわゆる若者やインテリ(を装う人)の集う街。
December 24(Sat), 2011
■ ちょっと真面目に本の紹介:余の分野で今年最大の本『史的イエス研究ハンドブック』(全4巻)ブリル社(オランダ)
Handbook for the Study of the Historical Jesus
- 作者: Tom Holmen,Stanley E. Porter
- 出版社/メーカー: Brill Academic Pub
- 発売日: 2011/01/12
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笑っちゃいけない。今年完結(2009年−2011年)なのだが、円高のせいか新刊揃いのほうがセコハンより安いじゃん。にしても、1冊2万5千円。合せて10万円超だなや。
史的イエス研究の方法論から、さまざまな史的イエス関連の研究まで。4冊読んだら、あなたもイエス研究の全体像が・・・なんちゃって。ほんとだよ。史的イエス研究って結局もうお終いなんでしょ、なんてぬかしてる某ニッポン人はベンキョしとかなきゃ。
実は、ともかく高いので(執筆者だってもらえないそうだ)、図書館を頼りにしているのだが、自由に借り出せる一般図書(レファレンスでなく)なので先に借りられるとしばらく待たなければならない。しかし、余の使える図書館のうち2館が購入したのでチャンス。
December 23(Fri), 2011
■ イスラエルの歌手エティ・アンクリ(Etti Ankri, エステル・アンクリ)の歌
今日はハヌカの三晩目。昨日、二晩目にイスラエルの映画『新地(New Land, Aretz Hadasha)』を観た。二度目だった。1993年の作品だが、扱っている時代は1948年のイスラエルの建国から数年目のようだ。明確ではない。映画の中の言語は、ヘブル語、イーディッシュ語、ポーランド語だが、DVDはヘブル語か英語の字幕を選定できるようになっている。(参照:http://www.israelfilmcenter.org/israeli-film-database/films/new-land)
この中で少年が歌うハヌカの歌が美しいのでYouTubeで探してみたが見つからない。まあ、マイナーな映画だから仕方がないと思った。探していたら、エティ・アンクリのヨウツベがやたら出てくる。それもそのはず、主人公の兄と妹によくしてくれるローザという脇役として、この映画に出ていたのだ。
エティ・アンクリ(エステル・アンクリ)については、イスラエル人の間でも好き嫌いが激しいらしい。彼女は1963年にテルアヴィヴとエルサレムの間にあるロッドで生まれた。両親はチュニジアからの帰還民であるからセファラディ系ユダヤ人だ。シンガソングライターでロックから始まったが、今頃はクリスチャン風に言えばボーンアゲインのユダヤ教徒で、超正統派のユダヤ教に目覚めてしまったらしい。(参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Etti_Ankri)
紹介する歌は暗いが映像が面白いので取り上げた。題は『どれだけの間(How Long, Ad Matai)』。忘れてしまうのも時が必要。自分は弱いのに、どれだけの間待てばよいのか。まあ、そんな内容であり、暗い。暗いけど面白い。その他にも彼女の歌はヨウツベでいろいろ出てくるでしょう。
Updates @Marukusu_hakase