「ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、東京地裁は19日、証券取引法違反罪に問われた村上ファンド前代表、村上世彰被告(47)に懲役2年、追徴金11億4900万円、罰金300万円(求刑懲役3年、追徴金11億4900万円、罰金300万円)の実刑を言い渡した。高麗邦彦裁判長は「ファンドマネジャーというプロによる悪質な犯罪。被告の語る理想を信じてファンドに出資した人や資本市場に与えた影響は大きい」と指摘した。追徴金はインサイダー事件で過去最高額。」(日本経済新聞2007年7月19日付夕刊・第1面)
予想された結果とはいえ、この種の事件の「一罰百戒」的傾向がますます加速しているように思えてしまうのは筆者だけだろうか。
「実現可能性の認識」等に関し、一種の形式犯に近い解釈をとるのであれば、それに伴う罰則も薄くして、広く浅く処罰していかないと公平感を欠く。
だが、そういった健全なバランス感覚が、今の刑事司法の世界にあるのか。
道義的責任と法的責任が混同される傾向が強まってはいないか、あるいは、マスコミ受けするような有名人の些細な瑕疵をあげつらって、厳罰を課しているのではないか・・・
そう考えていくと、半ば絶望的な気分になる。