「新宿梁山泊」の敗北

劇作家・鄭義信氏と以前所属していた劇団「新宿梁山泊」との間で争われていた事件が決着したようだ。

「映画「月はどっちに出ている」で知られる劇作家の鄭義信さんの二作品について、劇団「新宿梁山泊」(東京)が上演権の確認を求め、東京地裁で争われていた訴訟は18日、劇団側が請求を放棄し、今後は上演しないことで双方が合意した。」(日本経済新聞2008年4月18日付夕刊・第16面)

この問題については、
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20070707/1183856482(鄭氏側の本訴)
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20070828/1188343293(劇団側の反訴)
と二度にわたって本ブログでも紹介していたが、やはり劇団側の勝ち目は薄かったようだ。


関係者にはいろいろな思いがあるのだろうが、表現物としての演劇の根幹を担っているのは「脚本」だし、その著作権は(職務著作が成立したり、契約で劇団への帰属が定められているような状況でない限りは)あくまで脚本を書いた作家に帰属するというのが法のルールである以上、やむを得ない帰結といえるだろう。


創作の果実を味わうだけしかとりえがない筆者としては、袂を分かった劇作家と劇団双方にとって、この苦い経験が新しい創作を生み出させる糧になることを願うのみである。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html