国産バイオ燃料の工程表

 「バイオマス・ニッポン総合戦略」が2007年2月に報告した「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大」では「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のための工程表」を下記のようにまとめている。(原文は文末に掲載)




□工程表の作成の考え方


 2010年頃までは規格外小麦や廃棄物を安価に調達し生産を行っていく。

 2030年頃には、稲わらや木材等のセルロース系原料や資源作物全体から高効率にバイオエタノールを生産し、他の燃料や国際価格と比較して競争力を有する国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図る。



□大幅な生産拡大に向けた工程表


 (1) 現時点で利用可能な作物等


・原料を安価に調達できる規格外農産物やさとうきび糖みつ等農産物の
副産物

廃棄物処理費用を徴収しつつ原料として調達できる建設発生木材等


(2) 今後5年間で技術開発する作物等


・稲わら等の草本

・製材工場等残材等


(3) 今後10年間で技術開発する作物等


・原料の収集・運搬コストが必要となる林地残材

・資源作物(ゲノム情報を利用した多収品種)




■まとめ

 2030年に競争力を有する国産バイオ燃料が大幅な生産拡大を遂げているかが注目される。稲ワラや林地残材をどう収集・運搬するか、理想的な資源作物が作れるかがポイントとなる。





出展:バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議





農林水産省:国産バイオ燃料の大幅な生産拡大

5 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のための工程表



(1)工程表の作成の考え方


国産バイオ燃料は、現時点のガソリンの卸売価格、ブラジルからのエタノールの輸入価格等と競合できる価格で生産する必要がある。国産バイオ燃料の生産コストの目標を100円/L と考えた場合、原料となるバイオマスの生産コストを大幅に引き下げ、さらに低コストで高効率にバイオエタノールを生産することが不可欠である。現状では、原料となるのは、さとうきび糖みつ等の糖質原料や規格外小麦等のでん粉質原料等の安価な原料や廃棄物処理費用を徴収しつつ原料として調達できる廃棄物に限られる。このため、2010年頃までの当面の期間は、これらの原料を用いた国産バイオ燃料の生産を行っていく。

また、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るためには、食料や飼料等の既存用途に利用されている部分ではなく、水田にすき込まれている稲わらや製材工場等残材、林地残材、公園・河川敷等から発生する未利用バイオマスの活用や耕作放棄地等を活用した資源作物の生産に向けた取組を進めることが重要である。

これらのバイオマスから国産バイオ燃料を生産するためには、原料の生産・収集・運搬コストやバイオ燃料の製造コストの大幅な低減が不可欠であり、4に掲げる課題を解決していかなければならない。

このため、2030年頃までの中長期的な観点からは、稲わらや木材等のセルロース系原料や資源作物全体から高効率にバイオエタノールを生産できる技術の開発等により、他の燃料や国際価格と比較して競争力を有する国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図る。

なお、具体的に工程表を作成するに当たっては、(1)目標コストを達成する技術が開発されるまでの研究期間、(2)開発された技術を実証する実証期間、(3)施設整備等により生産拡大が進む普及期間を考えて作成した。



(2)大幅な生産拡大に向けた工程表


今後の技術開発の可能性等を踏まえた工程表は、下図のとおりとなり、概ね、次のように原料作物等の範囲が拡大していくと見込まれる。


(1) 現時点で利用可能な作物等


・原料を安価に調達できる規格外農産物やさとうきび糖みつ等農産物の
副産物

廃棄物処理費用を徴収しつつ原料として調達できる建設発生木材等


(2) 今後5年間で技術開発する作物等


・稲わら等の草本

・製材工場等残材等


(3) 今後10年間で技術開発する作物等


・原料の収集・運搬コストが必要となる林地残材

・資源作物(ゲノム情報を利用した多収品種)