Campbell,Glenn(グレン・キャンベル)

僕が洋楽に本格的に親しみはじめたのは、76年、中学2年の頃ですが、中学に入ったころは英語の歌よりも日本語のフォークロックに耳がいってて、洋楽はどうもピンと来ませんでした。75年というとまだポピュラー・ミュージック(死語〜洋楽一般と置き換えてもいいでしょう)はロック一色ではなく、ヴォーカル(これも死語か〜ロックでもソウルでもない、演奏よりも歌を重視したもの、MOR(=Middle Of The Road)なんてのはここに入ります)やイージー・リスニングも同じように幅を利かせていて、こだわりがない音楽ファンは、ビートルズエアロスミスピンク・フロイドと同じようにビージーズスティーヴィー・ワンダー富田勲パーシー・フェイスを聞いていたのです。
そんな中コカコーラのCMを歌ったダイアナ・ロスとグレン・キャンベルの名前は、ひょっとするとビートルズ以前に知ってたかもしれません。当のCMソングはすっかり忘れてしまったけど、グレン・キャンベルが、ポップカントリー界の大物と知るのはずいぶん後のことです。またジム・ウェッブの一連の曲を歌った(バカラックにおけるディオンヌ・ワーウィックのように)人という事も後で知りました。
"恋はフェニックス"なんてふざけたタイトルが付いた"By The Time I Get To Pheonix"は、67年に#26まで上がったヒット曲。キャンベルという人のキャリアではさほど大ヒットというわけでもないのですが、ウェッブが書いた一連の曲では"Wichita Lineman"と並んで大好きです。別れの曲なんだけど、淡々とした情景描写が素敵。手が切れるような美しいストリングスもいいです。

Candy & The Kisses(キャンディ&ザ・キッシズ)

Here Come the Girls, Vol. 9: Slow Fizz

Here Come the Girls, Vol. 9: Slow Fizz

もともとは英ガールズを紹介するSequelレーベルの「Here Come The Girls」シリーズも回を重ねるごとに新鮮味を失ったのか、米レーベルに手を伸ばして紹介するパターンもありました。98年にリリースされたVol.9はジェリー・ロス・ガール・グループスというサブタイトルがついた「Slow Fizz」で、ボビー・ヘブ、スパンキー&アワー・ギャング、キースなどを手がけたMercuryレーベルのプロデューサーのロスが60's初めに手掛けた、Cameo、ABC Paramount、Colossusなどのレーベルのアーティストが収録されています。"The 81"をヒットさせたキャンディー&ザ・キッシズがまあ有名クラスで、サファイアーズ、ハニー・ラヴ&ラヴノーツ、ヤム・ヤムス、スワンズ、ディヴォーション、ディヴォンズなどほとんど無名のグループばかりですが、これがすこぶる気持ちいいのです。大半が黒人ガール・グループで本格的なR&Bにしては、甘すぎるという評価でしょうが、僕にはほどよい感じです。これが白人グループになると、もっと上品なとってつけた感じがしてしまって、ことガール・サウンドに限っては白人ものよりもカラード*1のほうが味わい深いです。
さてキャンディ・ネルソンと妹のスザンヌジーネット・ジョンソンから成るキャンディー&キッシズは、64年にジェリー・ロスが見出したグループで、最大のヒットとなった"The 81"は、90'sのクラブシーンで流れてもおかしくないグルーヴィーなダンス・チューンで#51まで上昇しています。

65年のシングルとなった"Soldier Baby(Of Mine)"は、ピート・アンダース=ヴィニ・ポンシア=フィル・スペクターの共作で、ロネッツのために書かれながら、慎重なスペクターはシングル化を思いとどまり*2、結局それがキャンディー&キッシズに流れたと言われています。
Phil Spector: Back to Mono

Phil Spector: Back to Mono


実にかわいらしい曲です。今気がついたのですが、河合その子のデビュー作「その子」に収められた"向こう De ギャルソン"に途中のhornソロが引用されていました。恐るべしゴッキー(後藤次利)!

*1:ロニー・スペクターはヒスパニック系なので、あえてこう書いてます。もちろん差別的な発言ではないです

*2:フィル・スペクターのレア音源を集めた「Rare Masters」('75)に収録済みですが、のちのボックスが出た時にも収録されました

Captain & Teniel(キャプテン&テニール)

デジタル・リマスター・ベスト

デジタル・リマスター・ベスト

A&M Digitally Remaster Best('98)
キャプテンことダリル・ドラゴンとト二・テニールの男女デュオ。70's半ばクリーンなイメージでカーペンターズの後釜を狙いまあ成功したチーム。ニール・セダカが書いた"Love Will Keep Us Together"('75,A&M,#1)は大ヒット。悪くないが滅菌され過ぎで消毒薬の匂いがしそうな音。