心の暗渠ゾーン

「おい!見たか?」>http://portal.nifty.com/2010/03/16/c/
「なんだよ、今何時だと思ってるんだよ」
「いいから! 今家に着いたところなんだよ。今すぐデイリーポータルZ見ろ!」
「あー? ええと、中央線だな。神田川だ。また千鳥ヶ淵の夜桜が恋しいとか言い出すんじゃないだろうな?」
「水道橋だよな、会社」
「そうだよ。東京ドームの裏手」
「今すぐ潜ってYouYubeにムービーを!」
「だーかーらー、そっちが仕事上がりなのは判ったけど、東京は夜の1時なの。だいたいもう中央線走ってないよ」
「だって記事の最後、危険だからって引き返してるんだよ! そこで行ってこその男だろう!?」
「だから危険なんじゃないの?」
「ああもう! なんでわかんないかな!」
「何をわかれというのだ」
「今すぐ東京に帰って暗渠巡りをしたい!」
「次の帰国、いつだっけ?」
「順当に行って再来年」
「あーもー、代わりにこれ行ってきてやるから我慢しろ」>http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_100208202804_1.htm
「それ、もう終わってるよ・・」
「え? そう?」
「ああ、暗渠。心の暗渠ゾーンが魂を揺さぶるんだよー」
「そういやその家からYouTube見えるの?」
「ストリーミングじゃないから見られるよ。30分くらい待つとバッファがたまるので、それまでほかのことしてる。ストリーミングだとだめだけど」
「5分の映像見るのに30分かぁ。気が長い話だ」
「仕方ないよ。ラストワンマイルが一番手間かかるから。国までは太い回線なんだけどね」
「明日はどこに?」
「地元農協のインターネット回線を敷設。市場価格が判らないと1日かけて売りに行けないって」
「お疲れ様。そこまではどうやってIP-reachableにするの?」
「衛星だね。電気は来てるし。電話は来てるけど、光はまだだし、DSL流すのはちょっと危険」
「おまえと話してると世界が狭くなった気がするよ。相変わらずSkypeJabberも音声だめだけど」
帯域幅はどうにもならんね。みんなあきらめてる。ただ、GSMフルブラウザってのが流行だね」
「どうやって?」
「型落ちのiPodが結構流れてくるんよ。みんな、パソコンよりもそっちをありがたがってる。ラストワンマイルを気にしなくていいから」
「今のiPodGSMじゃないからだめなのか。なるほどね。だったらNokiaの方が多くない?」
OperaよりもWebKitがいいって」
「贅沢だね」
「正直俺には違いがわかんないけどね。しかし・・」
「しかし?」
「なんでここには暗渠がないんだろうなぁ」
「下水道自体がないんじゃなかったのか? というか、町中に川有るの?」
「ない」
「東京や大阪は運河の街だった歴史があるからなー」
「町中に川がないってことに気づくのに2年かかったね。川がないから橋が無くて、橋がないから貧民街とオフィス街がシームレスにつながってる。なんでオフィス街に外資のスーツに混じって地元の小学生が走ってるのか、はじめ理解できなかったもん。川って、人の流れの中では偉大だよ、やっぱり」
「おまえは外資側?」
「さあ、どうかなー。どこ行っても神様扱いされるし、呪術師には呪いかけられまくるし」
「のろい?」
「まじない。のろってどーする」
「いや、ウィザードだけに」
「俺はしがないネットワーク屋。ウィザードじゃないよ。いろいろ低スペックなマシンの扱いには慣れたけど。そういや、今日寄付されてきたのは共産圏の16bitパソコンだったな。発展途上国を廃品回収扱いするなってーの」
「やっぱまだリユースくるんだ」
「こっちからはいらないって言ってるんだけどねー。ソヴィエト時代のPCなんかどうしろと」
「どうしたの、結局」
「8086のコピーチップ積んでたので、DR-DOSとブラウザ入れてお茶を濁した。Unix動かないとさすがに困るね。せめて386以降は欲しい」
「386でもかなりレトロだよ。20年前だ」
「でも386があればXは動くし。メモリが足りなくても廃品のHDDは潤沢にあるし。真っ先にCPUと電源のファンが壊れるから。250MByteをマスター、スレーブ全部併せて1Gにして使ったりしてるよ。ロジカルボリューム様々」
「大変そうだな。帰国したら秋葉原につれてってやるよ。変わってて驚くよ、きっと」
「そして帰りは神田川をゴムボートで」
「まだ暗渠かい」