『じゃじゃ馬ならし』

 シェイクスピアの戯曲をむのはこれが2冊目だ。美しい娘ビアンカに求婚する男達に立ちふさがるのは彼女の姉の存在。タイトルの「じゃじゃ馬」とはビアンカの姉キャタリーナの事。このお姉さんが先に結婚しなければ、妹ビアンカの結婚は許さないと二人の父が断言したから大変だ。二人の姉妹との結婚をめぐってのドタバタ喜劇が始まる。

 お話としてはできすぎの感もあるが、『ロミオとジュリエット』『ハムレット』など、お堅いイメージのシェイクスピアにこんな喜劇があるのだと驚いた。おそらく舞台で見たらもっと面白いのだろう。硬軟使い分け、天才シェイクスピアにしてみれば朝飯前ってことか。

 さて、この戯曲は貞淑で美しく優しく控えめな妹と、男勝りで歯に衣着せぬ物言い、並の男なら歯がたたない姉という対極の二人を並べて、地位も名誉も財産もある男達が思案し悩み画策しては右往左往する様が面白いのだが、こんな事は実際にはあまり起こりそうにない。起こりそうにないからこそ、考えた者勝ち。設定の妙だと思う。

じゃじゃ馬ならし (白水Uブックス (7))
作者: ウィリアム・シェイクスピア
メーカー/出版社: 白水社
ジャンル: 和書