『99.9%は仮説』


『99.9%は仮説』竹内薫
 面白いタイトルだと思った。科学の世界では仮説を立てそれを検証する。十分に検証され、皆に認められた仮説は通説と言われる。通説によって世界は説明され解釈されるので、我々一般人にとってそれは動かしがたく、絶対なものに思える。しかし世の通説は新たな仮説が検証され通説となった時覆される。この本では科学の歴史をひもとくことでこの事を分かりやすく教えてくれる。地動説によって天動説は覆され、宇宙を満たしていると思われていたエーテルの存在は特殊相対性理論によって否定された。アダムとイブの創造説はダーウィンの進化論で否定されたかのように見えるがその進化論に対立する「インテリジェント・デザイン説(知的設計説)」という新しい仮説があるそうだ。

 科学とは一番新しい仮説の集まりにすぎず、科学と真理は近づくことはできても決して重なることのない「切ない関係」なのだ。そしてこの事は世の常識全てにもあてはまる。

 頭が固いと言われる人、思い込みが激しく融通のきかない人に読ませたい。この本は常識や科学に縛られた頭を柔らかく解きほぐしてくれる。分かりやすく論理的に、そしてきわめて科学的に。

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)
作者: 竹内薫
出版社/メーカー: 光文社
発売日: 2006/02/16
メディア: 新書