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英海軍、ゲイのリクルート・キャンペーンを発動

イギリス海軍は、ゲイ男性、レズビアンを積極的にリクルートする「戦略」を発表、手始めにゲイ雑誌などに新兵募集の広告を載せる「作戦」をスタートさせた。

New Course by Royal Navy: A Campaign to Recruit Gays [NY Times]

なんと言っても英海軍(Royal Navy)である。かつてウィンストン・チャーチルが何度もゲイの軍務を否定してきたように、他のヨーロッパ諸国──フランス、ドイツ、スペイン、スイス、デンマークなど──がすでにゲイの軍務を禁じる軍規を放棄したのにもかかわらず、イギリス軍、とりわけ海軍はゲイの従軍を1999年まで公式に拒んできた経緯がある。

それがニューヨークタイムズのインタビューで、Paul Docherty 准将は、ゲイが軍務に就きやすい雰囲気、すなわち同性愛者であることをカミングアウトしやすい環境に軍を「改良」したいと述べている。

また最近のイラクでの戦闘において、ゲイの兵士は、異性愛の兵士と何の問題もなく従軍している、と軍当局は報告した。

もちろん軍における「セックス・コード」は、同性間、異性間を問わず──平等に──適用される。つまり「触れること」「キスすること」「性的な誇示」は禁止されている。この「"no sex" rules」は、1991年に女性兵士が男性兵士と共に軍艦で勤務することが認められたときに制定された。


こういったイギリスにおける軍の変化には、「同性パートナーシップ法(Civil Partnership Act)」の施行が背景にある。この新法により、同性カップルは、異性愛カップルとほとんど同等の権利と義務が与えられる。また、セクシュアリティを理由にした「就労差別」も禁止された。


イギリス海軍Royal Navy)のサイト
http://www.royal-navy.mod.uk/


関連記事
Royal Navy reforms; recruits gay staff [Gay.com UK]

Impact of Navy's gay recruiting felt overseas [Gay.com UK]

Royal Navy to promote gay rights [BBC NEWS]

Britain's navy seeks gay equality [CNN.com]

“Don’t Ask, Don’t Tell”ポリシー「終焉」への動き




イギリスの軍隊における「変化」をニューヨークタイムズはかなり詳細に伝えているのだが、アメリカでも「変化」が起こりつつあるようだ。

Move To End 'Don't Ask' As GAO Reveals Gay Ban Cost $200 Million [365Gay.com]

これは、アメリカ軍の同性愛差別軍規「”Don’t Ask, Don’t Tell”ポリシー」によって、2億ドル以上ものコストが掛かっているという記事。米会計検査院(GAO, Government Accounting Office)が発表した。

このGAOのレポートは、「”Don’t Ask, Don’t Tell”ポリシー」の再考を議員たちに促している。
「”Don’t Ask, Don’t Tell”ポリシー」はクリントン政権により始動され、1994年から2003年にかけて、1万人以上のゲイの兵士が「ポリシーを破ったため」除隊させられた。
しかしGAOのレポートによると、代わりの兵員補給に際し、納税者は一人あたり10,500ドルのコストを支払った計算になる。また、これには、(除隊させられたゲイの兵士が携わっていた)諜報、通訳・言語(解読)といった特殊任務のトレーニングのためのコストは計上していないということだ──つまり、実際には、もっとコストがかかる。

この記事は徹頭徹尾「コスト/数値」の面から、「”Don’t Ask, Don’t Tell”ポリシー」の非効率性を問題にしている。しかしこういった「実利的/合理的」な判断が差別解消の功を奏するかもしれない。