拓海広志「枕崎の海・・・」

 かれこれ20年近い付き合いとなる、僕よりも一回り半ほど若い畏友・高橋素晴さんが住む枕崎を訪ねた。この町で塩作りをしながら、環境や地域、食をテーマとする様々なNPO活動を展開している彼と共に、黒潮寄せる海でカヤックを漕ぎ、海に潜って銛で魚を突くのが目的だ。


 僕は素潜りは大好きで、よく海に潜ってサザエやアワビなどの貝類や蛸を採ったりはするが、意外にも銛で魚を突くのは子どもの頃以来のことだ。ところが、久しぶりにやると狩猟民の魂に火が点いてしまい、これがなかなか面白い! 沖合いにアンカーを打ったカヤックをベースに、数時間にわたって潜り猟に没頭した。

 
 浜に戻った僕らは、獲った魚や蛸を刺身にして食べながら語り合った。早いもので素晴君ももう30歳に近いが、彼の世代は様々な冒険あるいはNPO活動などを行っていても、足が地にしっかりと着いているのが素晴らしい。この傾向は彼よりもさらに若い世代になるほど強く、僕がこれからの日本に大きな期待を抱くのは、いつもそんな若い連中と付き合っているからだ。


 僕も若い頃からたくさんの旅と冒険をし、また様々なNPO活動にも参画してきたが、若き日の僕が素晴君や彼らほどしっかりと地に足が着いていたかと問われるといささか頭を掻くことになる。本当にこれからとても素敵な時代が来そうな、そんな予感を抱きながら、僕らはエビスビールで乾杯をした。


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高橋素晴さん(左)と・・・】


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