まずはお土産を

早朝に目が覚めて、今日の昼には金沢を発つんだなぁと思うと寂しくて、ガイドブックをベッドの中で眺める。どこに行こう。先にお土産を買っておけば、ぎりぎりまで回れるかも。今日はバスに乗ってみよう。平日だから観光客も少ないはず。
朝食を早めに済ませてチェックアウト。金沢駅構内の百番街でのどぐろの干物、かいちん、加賀棒茶などを購入。諸江屋のオトキクズユは店頭になかったので自宅に配送してもらうことにする。買ったものはスーツケースと一緒にコインロッカーへ。身軽になったところで駅から出発する「ふらっとバス」の此花ルートに乗り込んだ。ふらっとバスはフラットな乗降口の乗り降りしやすいバスで15分間隔、4つのルートがところどころで交わり、金沢の街を走っている。これに乗れば、大抵のところには行ける。(ルートが決まっているので目的地まで大回りになったりすることもあるから、徒歩と組み合わせた方がいい)
時折、こんな細い道を通るの?とびっくりするのだが、それも小型のバスならでは。観光客だけではなく、地元の人にもしっかり利用されているようだ。

室生犀星記念館


白菊町で降りて、室生犀星記念館へ。ロビーでは犀星を偲ぶ友人や長女朝子さんの映像が見られる。どんな文章より、1つのエピソードの方がその人にふれた気がするのは何故だろう。
杏を押入れにしまって、おやつの度に1人2つずつ食べる決まりになっていたのだが、留守中にこっそりお母様が朝子さんを使って2つ余分に食べたのが見つかり、「あれは多く食べると必ず夜中に胃が痛くなるんだ」と叱られた話や、朝子さんは子供心に新しく建つ家を「犬小屋もあるのかしら?どんな家なのかしら?」と楽しみにしていたのだが、小さく横長の新居を見て、思わず「お母様、新しいおうちは長屋ね」と言って叱られた話を聞き、くすっと笑ってしまう。
私生児として生まれ、実の母は彼を置いていなくなり、幼くして養子に出され、学校では窓の外を眺めて建物の瓦の数を諳んじていたという犀星。

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや

あの詩はそうして生まれていたのだな。そして、よき家庭人になったのだなぁ。
長女朝子さんの自由帳の表紙に貼り付けたという「フウセン帖 序」。

フウセン帖 序
ハナヲカイテ フウセンノゴトク
ネコヲカイテ タドンノゴトク
イヌヲカイテ トラノゴトク
十ヒク三ハ六ノコリ
八タス五ハ十一トナリ
ナガグツハ ジネンイモノゴトク
シウジハ クギヌキノゴトシ

なんて温かくユーモアのある父親なんだろう。火鉢にあたる愛猫の可愛さに悶絶し、写真が苦手という犀星のにこりともしない(家族といるときは笑ってる)姿に口角があがる。来てよかった。

片町・LINEさん

昨日寄れなかったLINEさん。開店してすぐで掃除をされていたところを「あら、ごめんなさい!もう時間ですね」と開けていただく。オーナーは感じのいい朗らかな女性で、ちょこちょこお話をしながら店内をぐるり。水牛の角で出来た鳥(ブローチに加工するか、バッグにつけたい!)、かもめとオカメインコのピンバッジを購入。本当ならお皿が欲しかったけど、持ち帰ることを考えて我慢。ああ、金沢に住んでいたらなぁ。

新竪町商店街

竪町商店街を通り、新竪町商店街へ。古い商店の中におしゃれなお店がちらほら。残念ながら定休日のお店が多くて、かもめ食堂みたいだと聞いていたカフェ・コフクさんは窓から中を覗くのみ。でも、素敵なお店でした。次は絶対に行くんだ〜!

KiKUさんで指輪を購入し、竪町商店街のFULL OF BEANSさんで昼食。

 
古民家を改造した落ち着くお店でした。床の間や押入れにベンチがあって腰掛けられるようになってるの。
金沢は大学などが多いせいか若い人が多く、おしゃれで意欲的なお店がたくさん。21世紀美術館の企画展も刺激的なものが多いし、きっといつ来ても飽きさせないのではないかしらん。また来たいなぁ・・・きっと来ると思いながら金沢を後にしたのでした。
MASA♪Oさん、楽しい旅をどうもありがとうございました。おかげで素敵な場所やお店にたくさん行くことができました。MASA♪Oさんの金沢への愛が感じられるあの地図がなかったら、こんなに楽しい旅は出来なかったです。金沢、大大大好きな場所になりました。