days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

V for Vendetta


このゴールデンウィークは好天に恵まれていますね。
だったら外に出掛けなきゃ。
天気の良い中、スポーツジムで汗を流し、軽く昼食を取ってから映画館へ。


・・・って、好天でなくとも良いような気が (-_-;
でも、でもですね、陽光を浴びながらベルトコンベアー上で走り、劇場を出たら陽光があるのは、気分も良いものなのです。


さて映画ですが、『Vフォー・ヴェンデッタ』を観て来ました。
アンディ&ラリーのウォシャウスキー兄弟が『マトリックス』以前に書いた脚本を映画化したもの。実際には手直しをしているそうですが、兄弟は監督せずにこれがデヴューのジェイムズ・マクティーグに任せています。主演はエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービングナタリー・ポートマン。『1984』で独裁国家に圧制される主人公を演じていたジョン・ハートが、今度は圧制する独裁者というのが可笑しい。


映画の出来はと言うと、Vが活躍し、ヒロインが徐々に変化していく前半はかなり好調でしたが、後半になるとVの陰が薄くなるのはどうしたものか。特にクライマクスはV不在になります。国家の主役は民衆であるというテーマに沿うならばそれも当然でしょうが、これってアラン・ムーアの原作とは恐らく違うのでは?(未読なので飽くまでも予想)。実際、ムーアがクレジットを拒否しているので、そう勘繰りたくなります。


映画のテンポは結構良く、他の宗教や同性愛を国家の統制の元で排除・弾圧する姿は、今のアメリカのパロディでしょう。でも国民に愛国心や奉仕を強要する国家像を観ていて、背筋が寒くなってきました。


何故って、今の日本の姿に重なる部分があるから。
保守派が目指しているのは、こういう国家なのかね。


テロリスト礼讃映画という過激な作品だし、イギリスが舞台なので心情的に分かりにくい部分もあるのでしょうが、観客に問う映画という意味でも、まずは観て良い作品だと思います。


ヒューゴ・ウィービングは最初から最後まで正体不明、顔も不明の狂人とヒーローの境界線が怪しい男を熱演していて良かったし、ナタリー・ポートマンも久々に良いと思いました。やはりジョージ・ルーカスの演技指導ってなっていなかったのね。
ご贔屓のアイリッシュ俳優スティーヴン・レイも事件を追う警視役で出ていて嬉しかったのでした。その部下を演じていたルパート・グレイヴスってどこかで見た顔だと思っていたら、ルイ・マルの『ダメージ』で、主役のジェレミー・アイアンズの息子役だったのですね。
今日の映画にはそのアイアンズの実妻シニード・キューザックも出ていて、こういう繋がりも楽しめました。


字幕でシェイクスピアの『十二夜』のヒロイン、ヴァイオラを「ヴィオラ」と訳していたのには違和感が・・・。