ハセガワ「1/48 無人宇宙探査機 ボイジャー」

「しんかい6500」で始まったハセガワサイエンスワールドシリーズ第二弾はうって変わってNASAの外惑星探査機ボイジャーです。深海モノと宇宙モノというくくりも、まーなんというかブームではあり。
なおボイジャー探査機には1号と2号がありますが、外見上特に区別はつかないのでお好きな方をどうぞ。あくまで気持ちの問題で、技とか力とか別に関係ないんで…




9割方は黒白2色の成形色のままでもイケるのですが、細部に塗装を必要とする箇所が散見されます。また取り付け箇所のほとんどが接着剤いらずのスナップフィット(明記はされてません)でハメコミ可能なのですが、一部の取り付け穴はかなりタイトに成形されているため、カッターやドリルなどを用いたすり合わせが必要となります。


スタンド基部は地球をイメージしているんですが、青バックだとさっぱりわかりませんね…


データーカードはボイジャー各部の機能のみならず、運用計画や航行記録についても解説されています。打ち上げは30年以上前、新聞記事などを賑わしてからも20年以上経ってますからこの辺の詳細はありがたいところでしょう。現在知られている太陽系外惑星の様相、特にネット上でも自由に見られる美しい画像の大部分はこのボイジャー計画で撮影されたものです。


注意点としては複雑なトラス構造をごく細いパーツで再現しているので、切り出し時にうっかり折らないような配慮が必要となります。三本の桁が微妙なうねりを描いて伸びていくマスト部分の造型はステキ(*´∀`)



本機で最も特徴的な高利得アンテナのパラボラ部分、説明書の指示とは逆に工程2の裏側部分の組み立てから始めた方がスムーズに進みます。


衛星バス本体部分。この箇所も含めて、キットでブラックに成形されているーツは実機では黒いシートで覆われていますが、このスケールで再現するのは却って不自然でしょう。NASAのボイジャー計画公式サイトにはボイジャー製造中の写真も多く掲載されていてなかなか見ごたえがあります。木星の写真とかつい見とれちゃって重力に魂を引かれるとはこのことか。


計測機器がいくつも設置されたマスト。説明書ではひとつひとつの観測装置の名称が明記され、この探査機への理解をいちだんと深めてくれます。以前「しんかい」の時にも書きましたが、サイエンスワールドシリーズのこのユーザーフレンドリーな製品構成はハセガワらしからぬ素晴らしさ♪(失礼だな)


丁寧な説明があるおかげでこのなんてことのない円柱が実は「げんしりょくでんち〜(CV:大山のぶ代)」だと知ることが出来ます。太陽を遠く離れた外惑星探査にはこのような動力源が不可欠なのですな。ボイジャーでは熱電変換方式という技術が採用されているらしいのですけど、日本の探査機に原子力動力装置を積むのは国情考えたら難しそうで、やはり宇宙開発は国際協力が大事です。わずか6パーツのこの部分だけでも、勉強になるなあ(笑)


この長いマストには低磁場磁力計が据え付けられています。本体機器の影響を受けないように離れた位置にあるのですが、おかげで全体像がさっぱり撮れなくなる…


宇宙機独特の無駄のない形状、無機質なメカニック感(ってナニ?)は色気のなさが魅力につながるとこって自分でも何を言ってるんだかよくわからねーが魅力なんだ、とにかく。


そんなこんなで完成…ですえけど、さすがに全部は収まらない。このキットに唯一クレームをつけるとしたらモノとしてはさほど大きな模型ではないのに異様に か さ ば る ことでしょうか。ディスプレイするにはかなりの空間が占有されます。


パラボラ裏側などはトラス構造スキーにはたまらないヌケ具合で魅力たっぷり。


本体部分に燦然と輝くゴールデン・レコードこそはパイオニア計画・ボイジャー計画に於ける夢、ロマンを体現するものであり、世界各国から集められた115の画像、55の言語、27の楽曲とそして 「Per aspera ad astra」 (困難を乗り越えて星の世界へ)のメッセージが記録されています。いつかどこかの外宇宙で、未だ人類には知られざる知的生命体に回収されることを願って。


まーこんなステロタイプの「宇宙人」はおらんでしょーが。

ところで「Per aspera ad astra」ってラテン語の格言は同時に英国空軍のモットーでもあるんですけど、やはりカール・セーガンも軍事の英国面に犯されていたんだろうか…


なぜいまこのタイミングでボイジャーなのか、それについては明確な答えを得られません。さすがに話題性の面ではすっかり時代遅れとなっています。しかしボイジャー1号はいまや太陽から約180億kmの彼方に位置し、人類が造り出した(あるいは地球が生み落とした)物質としては最も遠く離れた空間でまさに太陽圏に別れを告げて、外宇宙へと歩み出したところです。その偉業はもっと話題性をもって語られても良いはずですね。


ボイジャーとは直接関係ないけど「夜のオデッセイ」という無人探査機を描いたSF小説があって、面白いんだこれが。

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