イスカリオテ

三田誠の新シリーズ。<獣>と呼ばれる敵と、神の奇蹟を模倣して戦うお話です。行方不明となっている英雄・九瀬諫也のニセモノとして1年間振舞って欲しいと言う依頼を受けた、諫也の弟が主人公。品行方正な英雄とは正反対な性格だけど、報酬に釣られて引き受けたものの...と言う展開。タイトルからも分かる通り、題材はキリスト教。都市を襲う<獣>と戦う技は、聖人たちの奇蹟を封じた断罪衣。都市を支えるため、英雄のニセモノとして抜擢された主人公が活躍するお話です。
結構面白かったです。元々は報酬目当てで引き受けた身代わりだったのに、敵と相対し、苦しむヒロイン達を見て徐々に考え方が変わっていく展開が良い感じでした。ヒロインは2人で、1人は自分が扮している英雄の知り合いだった少女・玻璃。もう1人は共に敵と戦う少女の姿をした戦闘用の人形・ノウェム。特にノウェムが目立ってました。最初はテッキリ玻璃の方がメインヒロインなのかと思ってましたが...どちらかと言えばヒロインはノウェムで、玻璃はストーリーを進める上の鍵となるポジションにいる感じ。ノウェムは人形と呼ばれているものの、実際には人間とさほど変わらない上、振る舞いがひたすら健気。この設定は卑怯だ...。
主人公としては半ば無理やり引き受けさせられた英雄代行ですが、気が付けば他の道を進む気が無くなっている様子。英雄なんて成り行きだ、と言う話が素晴らしかったです。なろうと思ってなれるものじゃないですし。1年間と言う契約期間ですが、その期間が終わった時、この主人公はどうするんだろうと考えると、今から楽しみで仕方ありません。続きにも期待。