黄昏色の詠使い 9

シリーズ新刊。ひたすら謎の説明に終始した前巻から打って変わり、今回はクライマックスと言う事で、とにかく熱い展開のオンパレード。とても面白かったです。

皆それぞれに読み所はあったのですが、特にネイトとクルーエルが...。クルーエルのために、どうにもならないミクヴァ鱗片に挑み続けるネイト、ネイトのためにある選択をするクルーエル。どちらもお互いの事を心から想っているのに、だからこそたどり着いたあの選択は避けられなくて。クルーエルの気持ちを考えると、やるせなくてグッと来ました。けど、まだ終わりじゃない。クルーエルの真の願いを見抜いて、こんな結末は認めないとばかりに、愚直なまでに真っ直ぐにクルーエルと向き合ったネイトが本当に格好良かったです。この展開には、色々と堪えるのが大変だったよ...。最高過ぎる。

また、ファウマとカインツの話も素晴らしかったです。余りにも悲痛なファウマの詠に泣きそうになり、土壇場で彼女の本心に気付いたカインツの格好良さに興奮。ファウマの殺し続けた本音に本気になって、虹色詠名で溶かしていく展開はホント素晴らしかったです。
しかしネイトはクルーエルの本心にすぐ気付いたけど、カインツがファウマの本心に気付いたのはギリギリのタイミング。この辺が、相手の事を想う気持ちの差なのかなー。カインツにはイブマリーがいる訳だし。

こんな感じの1冊でした。後1冊で完結だそうですが...最後はどんな風に楽しませてくれるのか、非常に楽しみです。