神のまにまに!

第15回電撃小説大賞・選考委員奨励賞受賞作。
人権ならぬ神権を求め、人間界に現界した八百万の神々。当然人間界は混乱したが、上手く折り合いをつけて共存してきた。しかし、ある年の神無月を境に、神様の殆どが雲隠れ。人間界への御利益も陰ってしまい、このままではマズい事態に...と言う展開。主人公は女性と見れば口説き始める普通のサラリーマンだったが、一つだけ違いが。それは幼い神様「ヘッポコ」と暮らしている事。この事を買われて、各地の神様を説得して再び現界させようとする国家組織の一員に抜擢されて...と言うお話です。

割と普通な感じ。とある温泉街に広がった、「河童が子供を川に引きずり込んで殺した」と言う噂。その河童たちと街の人々の橋渡しをするのが主な話の軸なんですが、駆け引きや嘘を巧みに使って、街の人と河童を説得していく展開が良い感じ。ラストの展開には、自分もコロッと騙されました。主人公自体、骨のあるキャラなので、読んでいて安心できるのは良かったかと。

しかしメインヒロイン? なヘッポコですが...ネタバレになるから深くは触れませんが、個人的には「えー」と言う気分。キャラ自体はどっちのverでも別に嫌いじゃないけど...割とズルい存在だよなぁ。

個人的には、その温泉街で案内してくれるキャラ・カグツチさんがとても可愛らしかったです。日本神話に詳しい方なら、なんの神様かはすぐに分かると思いますが...これが美人で、怒ったり照れたりすると熱くなるんですよ? そのお陰で誰かさんに恋しても、照れや恥ずかしさを克服しない限り、手も握れないし、その先なんてとてもじゃないけど無理! なんですよ? このジレンマの陥っている姿が無性に可愛くて気に入りました。

こんな感じの1冊でした。これはシリーズ化するのかな? 内容的にはいくらでも続けられそうですが...。