氷結鏡界のエデン 楽園幻想

黄昏色の詠使い』の作者の人の新シリーズ。浮遊大陸を舞台に、遥か下界、凍りついた海のある「穢歌の庭」から上がってくる幽幻種と呼ばれる存在から、結界を張って世界を護る皇姫と5人の巫女。その巫女の1人・ユミィの幼馴染である青年・シェルティスが主人公。元々巫女を護る優秀な護士の1人だったが、事故で「穢歌の庭」へ落下。しかし奇跡的にも浮遊大陸へ生きて帰ってきたものの、その身に宿った力を忌避されて追放され...と言うお話です。

前作がお気に入りだったので、この新シリーズにも期待していましたが、期待通りの出来て満足。面白かったです。元エリートだけど今は追放されて一般人と言う主人公が、浮遊大陸を襲った危機を目の前に再びヒロインと共に歩むために目を覚ます。正直、主人公がやる気を出すまでウジウジしているのは「さっさと本気出せ!」と怒りたくなったんですが、1回決めたら悩まず突き進んでくれる展開は爽快でした。戦いに対して長い時間ブランクがあった割には強すぎね? と思わなくも無いけど...これでも弱っているんでしょう、多分。そうすると元はどんだけ強かったんだろう...と思うと、この世界を護る大変さが良く分かります。

前作を気に入った理由の1つに、要所要所で書かれる「歌」が好きだったと言うものがあるんですが、このシリーズにも歌は健在。詩からうっすらと伝わってくる世界観に想像力をかきたてられるのが大好きです。今回登場したのは、巫女達が張る結界の歌と幽幻種たちが力を振るう際に使う歌。この全く相反した2つの力の元となる歌ですが、しかし歌詞を読むとどことなく繋がりがあり、単純な敵味方...と言うだけではなさそう。人間と幽幻種が、一体どんな関係なのか非常に気になります。

と言う訳で、普通に面白かった1冊でした。続きも楽しみ。