オフライン編集

素材から必要な部分を抜き出し、構成案に即してカットを繋いでいく作業。
担当ディレクターが1人で行うことが多い。
プロデューサーにレビューしてもらって修正を入れたあと、本編集に移行。

ライン編集

オフライン編集に対して本編集のことをこのように呼称する。
編集オペレーター(編集マン)が行う。
仕上がりの質が人の能力によって大きく左右される部分なので、優秀な「編集マン」は指名で仕事をすることが多く、奪い合いになることも多々。

スーパー

「重ね焼きする」という意味のスーパーインポーズを略したもの。
テロップと同義。
ちなみにテロップは、"Television Opaque Projector"という、テレビ画面に文字などを合成する装置の略称。

サブ内の番組スタッフ

サブのメインモニター正面に座るのは、スタジオ演出の責任者であるオンエアディレクター。
その日の担当ディレクターやチーフディレクターが務めることが多い。
その右隣が撮影部のリーダー、テクニカルディレクター。
カメラアングルを指示し、カメラを切り替えることから「スイッチャー」とも言われ、ベテランのスタジオカメラマンが行うことが多い。
オンエアディレクターの左隣にはタイムキーパー(「TKさん」と呼ばれる)が座る。
テレビ業界では数少ない女性ばかりの専門職。
他には、機材のメンテナンスを行い、番組の映像状態をチェックするビデオエンジニアという技術職、マイクの状態をチェックして調整する音声、音楽や効果音を担当する音効、テロップを担当するテロッパー、VTRの頭出しなどをするVTR担当など、サブには10名ほどのスタッフが詰めている。

マスター

サブである副調整室に対して、主調整室のことを指す。
曲の番組が電波として問題なく送り出されているか、CMはきちんと挿入されているかなど放送の技術的な最終チェックを行う部門。
「放送実施部」というような名称で、一般のスタッフは立ち入り禁止となっていることが多い。
局内に1カ所。

座付き作家

特定のお笑い芸人と密接に関係する放送作家のこと。
若手のお笑い芸人と人気が出る前から一緒に仕事をして、彼らがメインを務めるクラスになると、そのまま番組のメイン作家となる

放送作家のギャラ

深夜番組のネタ出しをを行う駆け出しの作家で1本あたり3〜5万円、ワイドショーや情報番組のレギュラーコーナーを担当する若手から中堅どころで10〜20万程度、バラエティのチーフ作家で30〜50万、ベテラン有名作家になれば1本100万円を超えることもある。
以上は中央キー局での話。

局P

テレビ局の社員プロデューサー。
どの番組にも最低1人は存在し、番組制作の総責任者で制作会社を統括して番組クオリティのチェックを行う。
近年は、危機管理能力が特に求められている。

テレビ局員のキャリアパス

テレビ局社員は数年のディレクター経験で、あるいは直接、プロデューサーになる。
ただし、制作会社では、30代後半から40代のベテランディレクターがプロデューサーになることが多い。

「演出の範囲」

バラエティなどでしばしば使われる言葉で、「面白さ」や「わかりやすさ」を優先するために、ある程度「正確性」を犠牲にしてでも解りやすい「演出」をすることに対して、それを正当化する際にしばしば用いられる。
度が過ぎると、「やらせ」に発展するリスクのある、グレーゾーン。

「再現映像」

撮影のために、普段の「す」の行動を敢えて撮りやすい形で行ってもらうことがある。
これは、実際に起きたことを撮したことにはならないので、このような映像には「再現映像」というテロップを入れる必要がある(可能性が出てくる)。
もしテロップがないと「やらせ」と非難されるおそれがある。
「演出の範囲」と同様、グレーゾーン。

仕込み

旅番組などで、タレントが出会う人びとや訪ねる(ことになる)店に対して、事前に番組スタッフが交渉し、了承を得ておくこと。
こちらは「やらせ」というよりは問題回避のための「礼儀」にあたる。
ただし、あまりにも普段と異なる言動を「仕込」んでしてしまうと、問題になる。

タイムCM

「提供」とも言われる。
その番組で「提供」として紹介され、金額に応じてその会社のコマーシャルが放送枠内で流れる。
1社だけで1番組を提供する「1社提供」番組と、数社でシェアする形がある。
対して、番組とはひも付かないCMのことをスポットCMという。

制作費の出所

(タイムCMの)スポンサー(仮に「1社提供」とする)がテレビ局に支払う総額 = 制作費 + 電波料金(波代:なみだい)
制作費 = (実際の番組制作費 + 10%〜25%程度の広告代理店マージン + テレビ局の利益や経費)
電波料金※ = 広告代理店のマージン + 制作会社のマージン + 番組を放送する全国のネット局のマージン


※電波料金は制作費と同程度になることが多い。

コマーシャルの総量規制

1週間のコマーシャルの総量は、日本民間放送連盟(民放連)により、「総放送時間の18%以内」と決められている。
(放送基準148)


※放送基準
( http://www.mro.co.jp/mro-info/18kokoku.htm )
北陸放送株式会社のHPより

スポットCMが増加

日本ではかつてはタイムCMが主流であったが、近年はスポットCMが増加傾向にあり、全国ではCMの7割を占めると言われている。
企業が特定の番組のイメージよりも、費用対効果を重視するようになった結果。

視聴率調査の実態

現在、ビデオリサーチ社の独占事業。
09年現在、関東地区の1都6県に600世帯、全国で6600世帯に測定器を設置。
調査する世帯はマスコミ関係者がいる家を除き、一般家庭から無作為に抽出され、定期的に入れ替える。
データは電話回線を通じて毎日早朝に自動的に集められて集計され、契約しているテレビ局や企業は朝9時には前日の視聴率を知ることができる。


番組ごとの世帯視聴率だけでなく、「毎分:まいふん」と呼ばれる1分ごとの瞬間視聴率も報告される。


関東、関西、名古屋の3地区では個人視聴率も調査されており、年齢や性別で区分けされたデータが報告される。
(関東の場合、C, T, M1, M2, M3, F1, F2, F3の8区分)

山場CM

CMを見てもらうために、CM前にわざと盛り上がりを作ること。
慶應義塾大学の榊博文教授による命名
業界用語ではない。


業界では「引き」「引っぱりを作る」「フック」「CMまたぎ」などと言われている。

フライング編成

毎正時ちょうどではなく、その数分前に番組を始めること。
「またぎ編成」と呼ばれる場合もある。
CMになるとチャンネルを切り替える視聴者が多いことから、CMが多い時間帯に番組を始め、チャンネルを切り替えた視聴者を確保することが目的。

ステブレレス

ステーションブレイクをなくし、前の番組に続いて次の番組を流す手法。
ステーションブレイクのCM中に視聴者がチャンネルを切り替えてしまうのを防止することが目的。
同系統の番組であればそのまま見てくれる視聴者が多いので効果が高いとされている。
しかし、ステーションブレイク中に流すはずのCMまで番組中に流さなければならないので、番組放送中のCMの割合が多くなるというデメリットがある。

CMの間引き

文字通り、スポンサーからお金を貰っておきながら、そのCMを流さないこと。
現在は、電波に乗って発信される特殊な「コード」をコマーシャル素材に埋め込む方式が普及している。
このコードの受信による確認照合が行われているため、このようなことはできなくなっている、と言われている。

赤坂不動産

某TV局につけられた異名。
本業のテレビ事業が赤字だったにもかかわらず、旧本社跡地を再開発した土地からの家賃収入から得られた不動産事業の収益により、決算が黒字化したのでこう呼ばれるようになった。

HUT

"households using television"の頭文字をとった略称。
放送中のテレビを見ている人の割合で、各局の視聴率を合計したもの。
生で放送を見ている人の割合と同義。
ビデオリサーチ社が発表した指標。

本記事(マスコミをまねぶSE−1)の参考文献と読書ノート

テレビ局の裏側 (新潮新書)

テレビ局の裏側 (新潮新書)

中川勇樹『テレビ局の裏側 (新潮新書)』
読書ノート