アニメ版ドラ新体制

今回、他の方の日記引用&トラックバック機能というやつを初めて使ってみました。上の見出しクリック。この方の『ドラえもん』の読み方は素晴らしいのですよ。
さて、始まりましたねぇ新シリーズ。*1


放送2回目だった先週は「のろのろ、じたばた」「のび太のおよめさん」。
特に前者の方では
「ドラが原作どおり屁をこくか」
この点ひとつ如何に今回シリーズがどういう考え方で作っていくつもりかが大きくかかっていると思っていたので、放映前から注目しておりました。
「やきいもは、食べる前におならをする(ボム)」
やってくれましたねぇ。


水田さん版ドラの声は大山さんの頃の子守ロボット的落ち着きが無くなったことで、原作初期のドラが持つ何をしでかすか分からないお騒がせキャラとしてのポジションが期待されるわけですが、まさにその路線を象徴するような代表的エピソードのひとつがこの「のろのろ、じたばた」だったわけです。


ドラえもんが名作扱いされるにつれ教育模範的漫画として見られるようになっていた時代から、近年では原点に立ち返って教訓云々よりも「日本一のギャグまんが・ドラえもん」のスラップスティックな面白おかしさを再評価する動きが広がってきました。
その背景には以下のような要因があったと思います。

  • ドラえもん」を純粋に面白がって読んで育った少年世代が社会に進出する年齢に(オレもまさしくその一人なのですが)
  • 同人誌文化の普及によって藤子漫画公認サークル「ネオユートピア」を筆頭としたファンの評論同人誌が広まってきた
  • その風潮は同人誌のみならず、ついに小学館公式の雑誌として刊行された「ぼくドラえもん」「もっと!ドラえもん」の編集方針に反映される

こうした潮流の後押しを受けた末についに実現したのが、今回のアニメ版リニューアルでの原作ギャグ路線への回帰であったと言えるでしょう。


ここまでの2回の放送でも、ドラのびコンビの道具を使った遊びのエスカレートっぷりや洗脳系道具でのキャラたちの暴走ぶりといったギャグのテンポとテンションはかなり重視されて仕上がっているように思えます。面白い。
ただ、そのテンポの組み立て方には作画・演出・声演技ともにまだまだ課題を感じる部分もあって、それはそれで今後どのように進化していくか余地を残しているわけですから毎週見逃せませんね。


中でもひとつ一番気になる点をあげると、これはもう今更なおせるところでは無いかも知れんですが、「目」ですね。
原作タッチを非常に意識している今回アニメ版ですが、目だけは原作と違いハイライト入りの目が基本となっています。

左はオイラが勝手に点目に改造した絵で右が今回のアニメ版絵柄ね。
このハイライトが入った目というのは原作でも時々は使われるわけですが、原作でこれを使う時はそれ自体がひとつの意味を持った表情なんですよね。それを普段から多用し過ぎててしまっては、常に表情に余計な情感の不純物が混じってしまうことになると思うのです。


リンク引用先の日記の運営者さんが開かれている「変ドラ」サイトにて「白ドラ」について読んでみれば、原作ドラの持つ表情の面白さが爆笑と共に学べるかと思います。そしてそれにはこの「点目」がもたらす演出効果というのが大きく関係していると思うのです。
F先生の絵柄が持つ点目真顔の可笑しさを、近い質のものを現在で体現している作家さんは4コマ漫画界の神・植田まさしさんだけだと思います。
アニメ版でも多用してくれないかなぁ、点目。

*1:ドラと共に育ちドラによって人生を学び何よりもドラをこよなく愛するオイラですが、この4月から始まった新シリーズに関しては今まで特にコメントせずにおりました。
というのも、世間の大半の人たちは、最近話題になってるから数年ぶりにまともに観たよなんていう調子のくせに「今度ドラえもんの声が変わるんだってー」「声が」「声が」と騒ぐばっかりで、放送前にそんな半可通じみた騒ぎに少しでも触れるのが我慢ならなかったからです。声だけじゃなくて全てがリニューアルされるんだよ!

F先生の漫画の本質にまともに目を通したこともことも無いくせに、文の行間もろくに読めないような子供の頃に見た時の記憶だけを元に、知ったような顔をして
「うわ〜こんなの全然ちがう、今まで築き上げたものが失われるよ〜」だの「藤子先生が見たらきっと悲しむね」だの言っている人たちはもう、ウルトラスーパーデラックス癌細胞にでもかかってしまえと心底おもいます。
面白いか面白くないかは本質まで全てを見きわめてから決める!