殊能将之 鏡の中は日曜日
『叙述トリック』は著者が読者を騙す事を目的とした作品で、その『騙される』事に快感を感じる読者であれば、一作目の『ハサミ男』と同じく面白い小説。
だけど、読後感としてなんとなくモヤモヤした感があって、それは読み終わってもストーリが最終的にすっきりしないからだと思う。
なんですっきりしないかと考えると、
第一章はエピローグ
第二章が14年前の殺人事件を題材とした推理小説と、現在から過去の当事者を尋ねての事件の真実探し。 第二章の最後に小説中の推理小説の内容が明らかになるが、なんとなくすっきりしない読後感の悪い推理小説。
第三章で、14年前の殺人事件の真相が明らかになると思うが、ここで肩すかしを食わされるが、二つのどんでん返しを食わされる。
第三章の二つのどんでん返しは14年前の殺人事件との関連性が薄いので、第二章の推理に対してのすっきりしない読後感が残っている。第二章は『館シリーズ』に対するパロディと思えば良いのかもしれないが。
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 48回
- この商品を含むブログ (81件) を見る