まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

この中に1人、妹がいる!9

この中に1人、妹がいる! 9 (MF文庫J)

この中に1人、妹がいる! 9 (MF文庫J)

ストーリー
普通の友人として振る舞いつつもお互いへの気持ちを捨てきれず、ぎくしゃくする将悟と心乃枝。
そんな中、母・鹿野子が、将悟を留学させようとしているという情報が入る。
心乃枝と離れたくない将悟は、母の説得を試みるが……。



予想を超えて長く続いた今作も、ようやくの大団円を迎えました。
いやはや、前巻で妹の正体が判明して、さすがにこれ以上ひっくり返されることはないだろうと高をくくっていたのですが、見事にしてやられましたね!
まさかこんな形で決着がつくとは思っていませんでしたが、状況が錯綜しまくっていたわりに、綺麗にお話をまとめてくれました。
将悟だけでなく、ヒロインそれぞれに未来への希望があるようなエンディングだったと思います。


将悟と心乃枝のために、みんなが力を尽くす。そんな熱いストーリーでした。
何よりもまず将悟ですよ。ちょっと前までは妹の存在にびくびくして、誰と付き合うかうやむやにし続けていたのに、もうすっかり心乃枝に一途になっちゃって。
しかし本気になった将悟さんはなかなか凄い。好きな女のためならなんだってやらかしそうな勢いでした。実の母親を相手にしてここまで戦いますか。
なんというか、似たもの親子だなと思いました。将悟も鹿野子も、そして熊五郎も、とても我が強くて自分勝手です。
でも、流されるだけではなくて、自分で道を切り拓いていこうとするその姿勢は、なかなか格好良いですね。この結末も、色んな人の協力があったにせよ、将悟の地道な努力があったからこそのものなのでしょう。
雅をはじめ、愛菜や凛香や芽依、柚璃奈といったかつての「妹」たち、衣楠や小都里先生などのサブキャラたちも、それぞれ自分にできるやり方で将悟たちの味方をしていましたね。
珍しい剣幕を見せてくれた愛菜、顔に似合わぬニクい働きをしてくれた小都里先生なども素敵でしたが、やっぱり個人的に一番印象深いのは雅でしょうか。
恋にやぶれ、代わりに得た妹という立ち位置さえもなくした雅。それでも愛する「兄」と、大切な友人のために本気で頑張る彼女の健気さたるや。
ちょっと空回り気味だったことも多いけれど、そこがまた可愛くて、見ているだけで元気をもらえるキャラでした。
私の中でのメインヒロインは雅です! 彼女には、幸せになってほしいと心から思います。


ずっと将悟の敵役だった鹿野子ですが、最後に母親らしい一面を見ることができて良かったです。
帝野家は確かにちょっと変わった家族でした。しかし同時に愛情に包まれた一家だったということも確かめることができて、胸が温かくなりました。
また新たな家族を迎えることになったけれど、彼らならきっと、笑顔溢れる家族を築いてくれることでしょう。
本編はここで終わりますが、番外編の後日談が次巻として出るそうです。コメディタッチということで、久しぶりに思い切り笑わせてもらいたいですね。楽しみです。


ピンナップの柚璃奈さんの破壊力が高すぎる。