MSTISLAV ROSTROPOVICH “SHOSTAKOVICH SYMPHONY No. 7” (1989/2002)
Dmitry Shostakovich(1906-1975)
Symphony No. 7 in C major, Op 60(1941)
I. Allegretto
II. Moderato(poco allegretto)
III. Adagio
IV. Allegro non troppo
Mstislav Rostropovich, Conductor
National Symphony Orchestra
1989 Kennedy Center for the Performing Arts, Washington
ショスタコーヴィチ7番。
“レニングラード”。
ショスタコーヴィチの交響曲7,8,9番は、「戦争三部作」と呼ばれているらしい。7番はその通称の通り、第二次世界大戦中、ドイツ軍によるレニングラード包囲戦の際に作曲された。しかし作者の意図がどこにあるのかについては、生前の公式発言と没後に刊行された『証言』とで大きく揺らいでおり、定かではないようだ。
第三楽章および第四楽章。
溢れる緊迫感とは裏腹に、軽快に展開される。たしかに戦意を昂揚させるプロパガンダとも取れなくはないが、もっと政治的立場を捨象した、戦時下における純粋な生存意欲を表現しているように感じた。集団的帰属意識を強化する一体感・陶酔をもたらす曲ではない。これをみんなで聴いても連帯感は生まれないと思う。それには深く重すぎる。クライマックスでさえも、シンプルな勝利というよりは、運命のように超越的なものに面したときの空虚さ、およびそれに対するある種の開き直り、が入り交じったような複雑な表現のような感じがする。
この曲は、個人の内面を向いている。戦争という過酷な状況に対峙する個人の心理状態が描かれている。